5分で学べる「会社のお金と数字」金言・格言50選

「会社の財務」のまとめのまとめ

随分前ですが、「会社の財務」という高額本を日経BP社から出させていただきました。

「中小企業がいかにしてお金をコントロールし安定成長につなげるか」という視点で、キャッシュフロー、借入、節税、計数管理、などの各項目について私なりの手法や考え方をまとめたのですが、各項目の最後に理解を深めるための「まとめ」を記載しております。

見返してみると、それだけ見ても結構役に立つものもあるなと。

そこで今回は、この本から厳選した「安定成長に必要な会社のお金の考え方」について「まとめのまとめ」を作ってみることにします。

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「会社の財務」金言・格言

 

目指すべき会社の姿と財務の役割

 

「無敵の会社」とはニッチ市場でブランド構築されファンが継続購入。粗利益率が高く運転資金が小さい。少資本・少数精鋭での運営が可能。その「結果」低コストでの資金調達も実現する会社。

 

潰れる会社と潰れない会社を分ける6つのキーワード。「粗利益率」「必要運転資金」「リピート率」「労働生産性」「設備投資の必要性」「参入障壁の高低」。

 

無借金経営を「目標」にしてはならない。競争に打ち勝つためには借金を過度に躊躇しない。無借金経営は競争に打ち勝ったことでもたらされる「結果」の一態様に過ぎない。

 

会社は「顧客創造」という上半身を支えるための「潰れない会社作り」と いう下半身も必要。その「潰れない会社作りに寄与」するのが財務マネジメントの目的。

 

会社は勝手に大きくなる。そして効率が悪くなる。まさに「ビジネス版メタボリック」。会社の成長を売上高や組織・資産規模に求めると効率が悪い経営になりがち。

 

キャッシュフロー

 

企業経営とは投下した資金を「より早く」、「より大きく」して回収するもの。「より大きく」(利益の極大化)は多くの経営者が着目するが「より早く」(資金効率UP)にも目を向けないと手許にお金は残らない。

 

キャッシュの余裕の差が会社の業績や体力にスパイラル上の差をもたらす。なぜなら余裕のあるキャッシュが選択肢そのものを増やすから。

 

会社・個人一体のキャッシュフローは「(現預金の増加-銀行借入金の増減)+支給した役員報酬」。この金額が大きいほど稼ぐ力のある会社。

 

資金収支が安定するために必要な売上高は「固定的な支出」を売上高による「資金の増加率」で割ることで算出される。

 

資金運用表からお金の流れが分かる。あなたの会社の金庫に金がないのは、「売上債権」「棚卸資産」「設備投資」という「三匹の金食い虫」が会社にいるから。

 

最低でも売上が2ヶ月間ゼロでも資金ショートしないだけの「いつでも使えるキャッシュ」は持っておく。なお、いつでも使えるキャッシュとは「今日かき集めることのできる会社と個人の資金の合計」のこと。

 

土壇場の資金繰りには優先順位も。その優先順位は、手形決済>人件費>諸経費>金融機関>社会保険>税金。それを踏まえて「緊急資金繰り表」を作成せよ。

 

「キャッシュを作り出すスピード」で資金への貢献度を図り、需要、生産能力などの制約条件を考慮する。それが最もキャシュを生み出す最適製品ミックスに。

 

どの商品が会社に利益をもたらしているかは貢献比率=粗利益率×商品回転率×商品構成比で判定。特に、粗利益率が低かったり、仕入ロットの大きいものは資金の立替が大きくなるので商品回転率に注意。

 

経営が苦しいときは、まずは出血を止めることから。その上で既存顧客の取りこぼしを拾うことと既存顧客への追加販売を模索せよ。新規事業進出は経営が苦しいときにやってはいけない。

 

少数精鋭化とは「少数にすることで精鋭化する」こと。普通の人に普通以上の働きをしてもらうには「成果の上がる行動」をパターン化し、まねできる仕組みを。

 

利益を直接生まない間接業務は最適品質ではなく経済品質で。チェックリストの項目を無意味に増やすことなく、ここだけ合わせれば品質が安定するポイント「アンカー(碇)」を見極めよ。

 

資金調達

 

借金で買える3つのもの。「信用」「安全」「時間」

 

タイムリーな資金調達を行うのは理想。しかし、現実には金融機関の融資に対する姿勢変化がおきることを念頭に置いた財務マネジメントが必要。

 

いつでも調達できるとは限らない。ある程度の預金の厚みはたとえ借入金と両建てにしても持っておくべき。そのための金利はまさに「金融環境対応変化保険料」である。

 

一行取引ではリスクも高く、競争原理も働かない。金利交渉を有利にするためには、まずは別の銀行からの融資を引き合いに出す。

 

銀行の特徴を理解し「規模別の段差」をつけて複数行との取引を。競争を促しながらも相手と相思相愛となれる金融機関を選択せよ。

 

銀行はいわば「お金の仕入先」。情報は入手し活用すべきだが、提示されたものを何一つ検討しないのはまさに会社経営の命綱まで相手に預けたようなもの。あくまでも決断は自分ですべき。

 

銀行とフェアな資金調達をするには、きちんとした資金調達に関する知識を持つことが前提。最も効率が良いのは、普遍的な基本知識をきちんと押さえた上で最新情報とケーススタディをフォローしつづけるということ。

 

銀行取引約定書には、銀行からの融資を受ける場合の当然のルールが書かれている。あとでそんなことは聞いていなかったと言うことがないよう一読しておく。

 

業種によるが「借入金過多」のいくつかの目安。「債務償還年数が10年超」「残高が平均月商の6ヶ月超」「残高が総資本の60%超」「支払利息が粗利益の6%超」

 

売上予測から立替えるべき必要運転資金を算出。そこから「経常運転資金」を差し引き、追加融資を受けるべき「増加運転資金」を計算してあれば説得力は高い。

 

説得力の高い設備資金の申し込みには、回収可能期間による「設備投資の必要性と金額の妥当性」と債務償還年数による「融資の返済可能性の高さ」を明示。

 

銀行借入以外の資金調達方法を網羅的に知っておく。それらの特色を銀行借入との違いで捉えておくと何を利用すべきかがよくわかる。

 

融資を手法別に分類すると「手形割引」「手形借入」「証書借入」「当座借越」に。資金の使い道と返済財源がどのようにして生まれるかに合わせて調達を。

 

資金使途ごとに「運転資金」「決算資金」「賞与資金」「季節資金」「工事立替資金」「肩代わり資金」「設備資金」に分けられる。それぞれの資金使途に応じて必要額と返済が可能であることを合理的に説明を。

 

抵当権は特定の借入金とリンク。根抵当権は特定の借入金とはリンクしない枠取りの担保権。融資残高に比べて極端に大きな根抵当権は他行からの借入の障害となるので極度額を引き下げる交渉を。

 

銀行は役員貸付金の増加を嫌い粉飾には厳しい目を。税務署は役員借入金の増加を気にし脱税には厳罰を。ともに逆の事はむしろ寛容。

 

金額が大きく期間が長くなりがちな設備資金やプロパー融資には、ワンシートの「カバーレター」をつける。また、そのカバーレターには「回答期日」を必ず書く。

 

銀行が嫌う5つの勘定科目。「短期貸付金」「仮払金」「売掛金の増加」「棚卸資産の増加」「開発費」。特に役員への貸付金はその発生原因と解消方法はほぼ100%聞かれる。

 

銀行への決算報告は行くだけで好評価。その上で「今期業績の総括」「来期以降の見込み」「希望する資金調達方法」を伝えることで後々の資金調達をスムーズにせよ。

 

銀行は粉飾を発見するプログラムで検証している。中小企業の粉飾は「売掛金」「棚卸資産」「買掛金」という粉飾三点セットで行われていることは十分承知。

 

誰でもわかる「こりゃ粉飾」と見抜ける決算書のパターン。「経常収支比率と経常損益比率の差が大きい」「売上減なのに粗利益率上昇」さらに「総資本回転率が減少」

 

個人の住宅ローンも貴重な資金調達方法。法人・個人トータルで最良の資金調達を考える。

 

節 税

 

節税には、内部留保のできる(手ガネが貯まる)節税と資金不足になる(手ガネが減る)節税がある。繰延型節税は単なる税金支払期限の延期。目的を見失って節税対策をし続ける「麻薬患者」になってはいけない。

 

国が効果を予定していないものは、「真っ当な節税」ではない。法律の盲点を突くようなウルトラCは後でとんでもないしっぺ返しも。

 

内部留保を最大にするには、法人個人を通じた税負担を最小にする役員報酬の設定が有力。しかし、留保した資金を使う時の「自由度」まで視野に。極端に低い役員報酬では役員貸付金が年々増加し決算書が「歪む」。

 

保険は加入した時点で損となる確率の極めて高いギャンブル。会社の財務体質強化には自前ではリスクをカバー出来ない部分だけ「やむなく加入する」という姿勢で加入を。節税や余剰資金運用に使うものではない。

 

一期だけ利益が出たときは、不良資産処分、未払計上、高齢な創業者への役員退職金支給をまず検討する。

 

設備投資により「特別償却」「税額控除」が利用できる場合、当座の資金繰り優先であれば「特別償却」を、トータルの節税メリット優先ならば「税額控除」を。

 

経営者にとって、持ち家は武器にもなるし重荷にもなる。名義は持ち家も賃貸も会社名義にした方が税制上は有利。

 

前期が黒字で当期が赤字の場合、繰戻還付制度で前期に納税した税額の一部を還付。また、仮決算により中間納税額を引き下げる事も考える。

 

計数管理

 

目標達成のためには数値による管理は非常に効果的だが、数字にとらわれすぎて「目的」と「手段」が入れ替わりがち。常に目的を再確認することを忘れずに。

 

投下した資金の効率を知るのに総資本回転率は有力な指標。この指標が大きく悪くなっていると設備投資の効果が出ていないか粉飾の可能性あり。

 

業績基調をタイムリーに把握するには「移動年計」の分析が効果的。ただし、直前の変動が過小評価されるのであくまでも対前期比などと併せて活用を。  

 

自分で勝手に言っておいて「金言・格言」なんていうのはどうかと思いますが、お役に立つものがひつつでもあれば幸いです。

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