仮想通貨の損失を税金で取り戻す|法人で仮想通貨取引をするという選択肢

仮想通貨の使用による利益は雑所得に

国税庁がタックスアンサーを通じて「ビットコインの使用により生じた利益については、原則雑所得とする」と明示されました。

仮想通貨で多額の利益を得ている人も相場の乱高下で多額の損失を被った人も共にがっかりのようですが、今回は、だったらいっそのこと法人で仮想通貨の取引をしたらどうなのよという話をしてみようと思います。

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個人での仮想通貨の利益に対する課税

個人の所得は10の区分に分けられ、それぞれの計算方法で計算された金額を合わせて所得税額が計算されます。

このうち、9つの所得区分のどれにも入らないものを「雑所得」としています。

雑所得には、公的年金や原稿料、外貨預金の為替差益、先物やFXの差益、そして仮想通貨の利益などが含まれます。

このうち、先物やFXの差益については、他の所得とは別に税率が適用される「申告分離課税」が適用されますが、それ以外の雑所得については、他の所得と合算して「総合課税」が適用されます。

個人の所得には、所得税・住民税・復興特別所得税が課されますが、結果として、課税所得が195万円以下の部分への約15%から4,000万円超の部分への約55%へと累進課税がされるのです。

つまり、仮想通貨の取引で、利益が生じた場合、多額の他の所得がある人であれば、累進課税により最高で55.945%もの税金が課される。

一方で、仮想通貨の取引で損失が生じたとしても、他の給与所得等とは一切通算ができず切り捨てられるというなんとも不条理な課税がされることになるのです。

これだけは避けたい。個人で最悪の課税とは?

法人での仮想通貨の利益に対する課税

では、法人で仮想通貨の取引をした場合はどうなるのでしょうか?

法人の場合には、どのように発生したのかという区別はなく、すべての利益と損失が合算された上でその事業年度の所得となります。

法人の課税所得に対する実効税率(事業税を損金と考える)は原則約30%です。

ただし、資本金が1億円以下などの中小法人に対しては課税所得800万円までの部分については、その実効税率が約20%と軽減されます。

なお、事業活動全体で生じた欠損金は、翌期以降9期間繰り越され、その期間の利益と相殺することが可能です。

仮想通貨の取引についての課税関係の比較

つまり、個人と(中小)法人での仮想通貨の課税関係をまとめると次のようになります。

個人 (中小)法人
儲かった時 雑所得として他の所得と合算され総合課税

最高55.945%の累進課税

他の事業の所得と合算した上で

(1)課税所得が800万円超の部分

約30%の課税 ★★

(2)課税所得が800万円以下の部分

約20%の課税 ★★★

損をした時 他の雑所得内(先物・FX除く)での通算は可能、他の所得との通算は不可

 

他の事業の所得と合算した上で、欠損金は翌期以降9期繰り越し

★★★

(★の数が多いほど有利)

つまり、よほど個人での課税所得が少額(課税所得が195万円以下)でない限りは、儲かった時には、個人よりも法人の方が税負担が少なく、損をした時には、法人ならば、本業の利益と通算したり、通算しきれずに欠損金が生じても将来長期間に渡って通算することができることになります。

仮想通貨は、ブレ幅の大きな投資でもあるので、税金面では、損をした時でも「税金圧縮による損失の一部取り戻し」の効く法人で取引をした方が良さそうです。

個人での仮想通貨の投資は、”ネットなしの空中ブランコ”みないなもんですからね。

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法人で評価益の計上が必要なのかは不明だが

個人については、仮想通貨を取得したときよりも値上がりし含み益が生じていても、実際に仮想通貨を使用したり売買したりしない限り、所得税等が課税されることはありません。

しかし、法人については、仮想通貨の値上がり益については、実際に売買等がされていなくても、期末に時価評価をして損益を計上する必要がでるかもしれません。

というのも、外貨建の債権債務などについては、期末時に一定のルールで金額を換算することが求められているのですが、そのうち「外国通貨」については、「期末時換算法」により評価をすることが定められています。

この期末時換算法とは、「決算日ごとに、その時の為替レートで換算する」ということであり、要するに決算時の時価で評価をし、その評価損益をその事業年度の課税所得に含めるようにということです。

仮想通貨がこの外貨建の債権債務、それも外国通貨と同じ取扱いがされるのかは、まだ明らかにはなっていません。

ですが、個人ついては、仮想通貨を支払手段として、外国通貨と類似するものとして課税関係を整理したとも思われるため、ひょっとするといずれ法人では外国通貨と同様に期末時換算法の適用が求められる可能性があります。

どこかで課税がされるにしても、利益が実現していない段階で課税がされるとなれば、法人の方が個人よりも課税上は不利だともいえますが、一方で、含み損についても、他の利益と通算が可能ということです。

なお、明文規定もない中で期末時換算法の適用を求めるのは難しく、個人的には、現時点で仮想通貨の含み益も含み損も法人の所得に反映されることはないと考えます。

もし、会社の業績が良いものの、仮想通貨取引で含み損を抱えているならば、一度売却をして確定した損失を計上した後に再度仮想通貨を取得すればよいでしょう。

金融機関の評価も考慮する必要があるのか

メガバンクの中には、独自の仮想通貨を発行する実験をするところもあるようですが、金融機関では、まだ、仮想通貨に対する評価が定まっていない状況です。

決算書に多額の仮想通貨への投資が計上されているとなると、業績が良いときには不問とされるでしょうが、業績が低迷したときに、リスク要因として融資審査上の評価が引き下げられる恐れもあります。

ですから、法人で仮想通貨の取引をするかどうかは、税金面だけではなく、その会社が、金融機関からの評価をも考慮すべきか否かについても検討する必要があるでしょう。

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