税務会計処理が”面倒くさい”業種トップ3とその注意すべきポイント

特殊な税務会計処理を求められる業種

複式簿記の原理というのは、どの業種でも使える普遍的なもの。

なので経理処理など業種間の差はさほどないようにも思えますが、実際には、その税務会計処理に手間がかかったり注意が必要な”面倒くさい”業種というものがあります。

そこで、私が従事している中で、実際に注意を要し手間がかかって税務会計処理が大変な業種と、そのどこに注意すべきなのかをみていこうと思います。

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第3位|建設業

現場別の原価管理

建設業では、請け負った工事について、かかった原価をすぐに仕入や売上原価に計上するわけではありません。

すべて未成工事支出金(資産)として計上をしておき、引き渡しがされた時点で、それを売上原価に振り替えるという処理をします。

そのためには、現場ごとにかかった原価を集計しておき、共通でかかった経費についても一定の基準で按分するなど通常の複式簿記による経理処理の手前で、工事現場別の原価管理が必要となるのです。

収益の計上基準

収益の計上基準については、その物件の引渡し時にまとめて計上する「工事完成基準」が採られます。

ですが、部分完成した分の都度引き渡しがされ、それに応じた工事代金を受け取る場合には、その工事代金についてはその都度益金に計上する必要があるのです。

(工事期間が1年以上で対価が10億円以上などの「長期請負工事」については、工事の進捗度に応じて益金とそれに対応する原価が損金とされる「工事進行基準」が適用されます)

(部分完成基準による収益の帰属時期の特例)

2-1-9 

法人が請け負った建設工事等(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除く。以下2-1-9において同じ。)について次に掲げるような事実がある場合には、その建設工事等の全部が完成しないときにおいても、その事業年度において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事収入をその事業年度の益金の額に算入する。(昭55年直法2-8「六」、平10年課法2-17「一」、平14年課法2-1「六」により改正)

(1) 一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

(2) 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

消費税の仕入税額控除時期

消費税については、課税仕入がされた時点で消費税の控除がされるのが原則のため、未成工事支出金として計上された時点で消費税の控除をすることになります。

ただし、継続適用を条件に、物件の引渡し時に課税仕入があったものとして消費税の控除をすることも認められます。

未成工事支出金の支出時に消費税の控除をした方が、消費税の還付が早く受けられたりと有利になるはずですが、還付手続きは税務署が多くの証明資料の提出を求めてくるなど実は面倒です。

そのため、消費税の還付と多額の納税を事業年度ごとに繰り返すくらいなら、引き渡し時に課税売上も課税仕入も計上されたほうがいいという判断をする人もいるのです。

(未成工事支出金)

11-3-5 

事業者が、建設工事等に係る目的物の完成前に行った当該建設工事等のための課税仕入れ等の金額について未成工事支出金として経理した場合においても、当該課税仕入れ等については、その課税仕入れ等をした日の属する課税期間において法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのであるが、当該未成工事支出金として経理した課税仕入れ等につき、当該目的物の引渡しをした日の属する課税期間における課税仕入れ等としているときは、継続適用を条件として、これを認める。

第2位|不動産販売業

物件ごとの原価管理

仲介のみの不動産業の経理処理は極めてシンプルですが、不動産を仕入れて販売をする不動産販売業の経理処理は極めて面倒です。

不動産販売業は商品である販売用不動産を仕入れた場合、そのために要した原価は販売用不動産(資産)として計上をしておき、販売がされた時点で、物件ごとに売上原価に計上します。

ですから、複式簿記の仕訳をするのとは別に物件ごとに原価管理をしておく必要があります。

消費税の区分がメチャクチャしんどい

納付する消費税額は、「課税売上に伴って預かった消費税額」ー「課税仕入に伴って支払った消費税額」と考えますが、実際には「課税仕入に伴って支払った消費税額」がすべて控除できるわけではありません。

消費税額を支払ったとしても控除できるのは、その仕入れ等が「課税売上に対応するもののみ」であり、この控除できる金額を「控除対象仕入税額」といいます。

一般的な販売業やサービス業の場合、その商材のほとんどは課税売上なので、結果的に支払った消費税額のほとんどは控除対象仕入税額になります。

しかし、不動産販売業では、非課税売上である土地の販売もあるので、原価や費用の支払いについて、それが「消費税対象外」なのか「消費税課税対象」なのかを判断した上で、さらにその「消費税課税対象」が「課税売上のみに対応」するのか「非課税売上のみに対応」するのか「共通して対応」するのかを一つ一つ厳密に区分をして集計をする必要があるのです。

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第1位|ネット広告代理店業

Googleなどは経理処理について微塵も配慮せず

ネット広告とは、検索をした際に上位表示される広告(リスティング広告)など自社のサイトに誘導するための広告のことで、ネットで通販や集客を行う会社やアフィリエイト業者では、多額の支払いがされています。

それらのネット広告費の支払先は、Googleやヤフー、facebookなどですが、これらの会社はマーケティングのことしか頭にないのか、それらの支出をどのように経理部門が処理するのかという配慮など全く無いです。

24時間秒単位で常時広告は出稿されていくため、一定時点の締め日での金額を確定させた「請求書」など見当たりません。

広告出稿に際しては、Googleなどへの先払い(ディポジット)を求められ、広告が出稿された時点でそれが「広告費」として消費され損金となるのですが、どの時点のどの数字をもって広告費の経理処理を確定させればよいのかが悩みます。

また、これらのディポジットは、まだ実際の広告は出稿されていないので「前払金」となりますが、その代金の支払いは大抵クレジットカードでされます。

クレジットカードは、その利用代金が引き落とされるまでには時間のズレがあり、それまでは「未払金」とされるでしょう。

この時点で、Googleに預けた「前払金」とクレジットカード会社への「未払金」という普段両立することのないものが同時に計上されることに。

さらに、クレジットカードの与信枠を超えるような支払いについては、今度はクレジットカード会社が事前入金(ディポジット)を求めてくるのです。

これらの残高を自社の広告だけでも合わせるのに難儀なのに、他社のリスティング広告の運用代行などを行う会社の場合、それを顧客ごと、さらにアカウントごとに管理をしなくてはならず”地獄絵図”になるわけです。

消費税処理のルールが理解されない

Googleやfacebookの広告は、国外の事業者の提供するサービスであるため、その支払に消費税額は含まれていません。

そのため、その支出をしても消費税額を控除できないのが原則です。

一方で、ヤフーは国内の事業者であるため、そちらが提供する広告費には消費税が上乗せされており、支出をすれば消費税額を控除できることになるのです。

しかし、Googleやfacebookと言った国外の事業者が提供するサービスであっても、一旦国内の広告代理店が”仕入れ”てから顧客に”販売”をしたということになると、課税取引となり消費税を上乗せして請求をし、支払った顧客は消費税の控除をすることになります。

ですが、顧客からすると、「自分が直接Googleのリスティング広告の運用をしていたときには、支払う金額に消費税は上乗せされていなかったのに、その運用の代行を依頼するため国内の広告代理店経由で広告費を利用すると、消費税が上乗せされるのは損ではないか」と考える人もいます。

実際には、直接Googleに支払えば消費税の支払いもない代わりに消費税の控除もない、国内の代理店に支払えば消費税は上乗せされるが消費税の控除もされるので同じなのですが。(簡易課税、免税事業者は除きます)

これは、いくら説明をしてもなかなか理解してもらえません。

その結果、「広告費については自分で負担をするので運用の代行だけをして欲しい」という依頼が広告代理店に来ます。

その場合には、こちらでGoogleに支払った広告費は顧客に対する「立替金」となるため、また個別に残高の管理が必要になる。これらが混在し完全なカオスになるわけですね。

ネット広告を利用している会社も大変

実は、ネット広告などのインターネットを通じた役務提供については、消費税の対象になるかの判断基準が「役務提供を行う者の住所」から「役務提供を受ける者の住所」に変更されました。

これにより、Googleなど国外の事業者が提供するサービスであっても国内の事業者が利用をすれば消費税の課税対象となったのです。

ですが、この課税方式が「リバースチャージ方式」という不可思議なもの。

一言で言うと、「Googleの広告費には消費税は上乗せされないが、使った国内の事業者が代わりに国にその分の消費税を支払え」というものなのです。

実際には、課税売上割合が95%以上の会社には当面の適用はされないので、Googleなどの広告費の消費税の取扱は従来通りで良いです。

ですが、課税売上割合が95%未満の会社で多額のリスティング広告を利用している会社はもうその影響があります。

リバースチャージ方式とやらでGoogleAdWordsの消費税の取り扱いはどう変わるの?

具体的に影響が見込まれるのは、一時的に多額の土地を販売した会社や不動産販売業、教育機関、そして医療機関などですが、どうも忘れている会社が多そうですね。

消費税の基本と節税そして大改正

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