メールに添付して送った領収証には収入印紙は貼るのか?

ネットで申し込みをしてクレカ決済するとなんの支払いかよくわからないことも

セミナー申し込みや通販で商品を購入する際、ネットで必要事項とクレジットカードの情報を入力するだけで申し込みが完了するということが多いもの。

メールで申込確認はあるものの請求書が送付されてくることは稀で、あとでクレジットカード明細をみても「収納代行会社」の名前しか書いてなくて内容がよくわからんということもあります。

そのため、セミナー運営や通信販売をしている会社には、「経理処理の都合上、別途領収証を送付して欲しい」旨の連絡が来ることがあります。

それを郵送するにも送付先の住所を聞かねばならないし、わざわざ郵送するのもどうよということで、領収証をPDFで送付するということも多いでしょう。

では、そのPDFで送付をした領収証には、収入印紙を貼る必要はあるのでしょうか?

今回はメールで送付された資料の印紙税について考えてみることにします。

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そもそも印紙税ってなんなの?

印紙税とは、契約書や領収証など印紙税法に定められた「課税文書」を作成し交付した際に、課される国税のことです。

所得税や法人税などの国税と異なり、税額に相当する「収入印紙」を購入し、その課税文書に貼った上で、二度と使用ができないように消印をすることによって納税をするのが原則です。

印紙税は、作成した文書が課税文書に該当するのかの判断が難しいため、お客様からの問い合わせも多く、税務調査でもよくチェックされる項目です。

では、どういう理由で、契約書や領収証を作成すると税金が課されるのでしょうか?

まともな課税根拠などありません。結論は、戦費調達のためお金が必要だから発明されたということ。

誕生したのは、1624年のオランダであり、スペインとの独立戦争(八十年戦争)の戦費調達のため、税務職員であるヨハネス・ファン・デン・ブルックが印紙税を発明したそうで。

なんとも余計なことをしてくれたものです。

日本では、明治維新の頃、「富国強兵政策の財源」として初めて印紙税が導入されたと日本史の教科書で読んだ記憶があります。

この21世紀に、明治維新の頃の理由で未だに紙文書に課税されるという意味がわかりませんが、印紙税は、H28年度で1兆円あまりの税収になっているので、そう簡単になくなることはなさそうです。

メールなどの電子文書は課税文書に当たらない

メールの文面で、業務内容の取り決めをし、「承知しました」などその内容について応諾したやり取りがあれば、そのメール自体がその取り決めの有力な証拠となるでしょう。

では、そのメールが契約書として印紙税の課税対象となるのでしょうか?

印紙税は、文書のタイトルが何であれ、その記載内容により課税文書とされますが、それは紙文書の話であり、そのやり取りのメールが契約書として印紙税の課税対象となるかというと、さすがにそれはありません。

では、契約書を作成し、PDFなどの形式にしてメールに添付した場合はどうでしょう?

課税文書を交付する代わりに、メールに添付して送付した場合には、印紙税の課税対象とはなりません。

ですから、契約書だけでなく、金額が5万円以上の代金の領収証などについて、メールで送付をした場合には、印紙税の課税対象とはならないのです。

また、メールを受領した相手方は、その添付ファイルを印字の上、保管などするでしょう。そのプリントアウトされた領収書等についても、単なるコピーとして、印紙税の課税対象になりません。

(問2)

問1の文例3から文例6までの文書について、借入人から貸付人に文書を交付する代わりに、ファクシミリ通信や電子メールを利用して送信する場合、印紙税の取扱いはどうなりますか。また、ファクシミリや電子メールで送信した後に、持参するなどの方法により改めて正本を交付する場合はどうなりますか。

(答)

1. 請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。
また、ファクシミリや電子メールを受信した貸付人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められることから、課税文書としては取り扱われません。

2. ただし、ファクシミリや電子メールで文例3から文例6までのような文書を送信した後に、改めて、文書を持参するなどの方法により正本となる文書を貸付人に交付する場合には、その正本となる文書は、それぞれ印紙税の課税文書となります。

3. 借入人が保管するファクシミリ送信用等の文書の原本は、それ自体が貸付人に交付されるものではないので、課税文書には該当しません。
また、その保管している原本を、後日、訴訟等のための証拠書類として提出するために、当該コミットメントライン契約の当事者以外の第三者に交付することがあったとしても、その時点でその保管している原本が、改めて課税文書となることはありません。

コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い

ですが、領収証というのは、発行した者が課税対象とされるものです。

万一、相手先の税務調査で、「この会社の発行する領収証には収入印紙がすべて貼っていないのでは?」などという濡れ衣を掛けられないよう、送付する領収証に「電子文書のため印紙税対象外」などという記載をしておいたほうが安全かもしれません。

まあ、それが原因でこちらに税務調査に来るということはまずないでしょうけどね。

【保存版】お問合せの多い印紙税の取り扱いについてまとめておきます

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