相続税は関係ない人でも遺産相続のために絶対にやっておくべきたったひとつのこと

遺産相続の問題は相続税の問題とは限らない

「遺産相続」と言うと、相続税の心配をする方が多いようです。

これは、相続税法が改正により基礎控除額が大きく削減されたことを「一億総相続税時代到来」などとマスコミで煽ったことによるのでしょうが、実際に、相続税の納税義務があるのは、亡くなった100人に対してわずか8人程度のものです。

遺産相続に対して、相続税の負担という無用の心配をしながら、本来準備をすべきことができていない方も多いのでは。

そこで、今回は、相続税の負担はなくとも、誰もが行うべき「遺産相続準備の第一歩」について、考えてみることにします。

遺言書を書いてもらうのはかなりハードルは高い

「誰が何を相続するのか」を決めるという遺産分割協議というのは、多少なりとも財産があれば、誰もが乗り越えなければいけない問題です。

「うちはそんなに多額の遺産なんてないから関係がない」と思う方もいるかもしれませんが、係争事案の70%以上は遺産総額が5,000万円以下のケースなのです。

その遺産分割協議をクリアするための有力な手段となるのが「遺言書」の作成。

しかし、実際に遺言書を作成する人が近年増えたとはいえ、まだまだ一部の方に過ぎません。

それは、多くの人が遺産分割協議をスムーズに成立させるためには、遺言書を作成することは有用であることは理解しながらも、自分の死を意識するというのは決して楽しいことではなく、優先順位が低くなるからでしょう。

かといって、子どもたちから親に遺言を書いてくれというのも、「お前は俺が死ぬのを待っているのか」などと言われそうで、言い出すのを躊躇しがちであり、実際に、遺言書が作成されるというのは意外とハードルが高いものなのです。

財産目録は誰もが作成すべき

誰にどんな財産を相続して欲しいのか考える上で必ず必要なことがあります。

それは、自分がどんな財産をどれだけ持っているのかを明らかにするということです。

そのためには、自分が所有する財産と債務を一覧にした「財産目録」というものを作成します。

しかし、財産目録は、常に数字が”動いてしまう”という問題があります。

そこで、私は、新たに記載すべき財産、債務が増えた場合には適宜追加をし、金額については毎年、年初に更新をするようにしています。

なお、この作業をストレスなくスムーズに行うために便利なのが、Google ドライブです。

このGoogleDrive上の「財産目録ファイル」には、万一の場合に、誰に連絡をすれば良いのかも一緒に記載をしてあります。

このリンクを家族に伝えておくことで、突然死などを迎えた場合でも、どこにどれだけの財産と債務があるのかと誰を頼りにすれば良いのかを間違いなく伝えることができるのです。

財産目録を作るのが面倒ならばクリアフォルダで一元管理を

とはいっても、財産目録を一々作成するのは面倒という人も多いでしょう。

そのような方には、預金や証券口座、保険証券などを一つのクリアフォルダにまとめておいてもらうということをおすすめしています。

富裕層の中には、財産を自身で管理しており、家族は生活費分を消費するだけで預金等がどこにあるのかがわからないというケースが意外と多いものです。

そのような方が事故や病気で突然死をした場合には、家族がどこに預金があるのかがわからず、当座のお金に困ったり、最悪の場合、家族のためにせっかく残したお金が家族の手に渡らないということも起こり得えます。

そのようなときにも、とりあえずどの金融機関などと取引があるのかがわかれば、あとはプロがなんとか亡くなった方の財産を見つけ出す余地があります。

ですから、取引金融機関がどこなのかがわかるようなクリアフォルダの一元化をしておいてほしいのです。

また、クレジットカードやネットサービスなど、死亡後に解約すべきサービスについても、一緒にクリアフォルダにメモをいれておくと良いでしょう。

遺言書を書いてもらうためのベイビーステップとしても

いきなり「遺言書を書いてくれ」と言うのは、かなりハードルは高い。

それであれば、まずは、親に「どこに財産があるのか、万一の際には誰に連絡をすればよいのかがわかるようにクリアフォルダにまとめておいてくれ」とお願いをしてみてください。

この作業をすることで、親は、自身の遺産相続について、具体的な第一歩を踏み出したことになります。

人は、小さくとも具体的な一歩を踏み出すと、一貫してその目的に従った行動を取ろうとする傾向があります。これを「一貫性」といいます。

まずは、「クリアフォルダでの一元管理」をしてもらうことは、その後の「財産目録の作成」、そして最終的に「遺言書の作成」という目的を達成するための小さくとも重要なベイビーステップとなるはずです。

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