社長個人にお金がなくても役員貸付金を解消する3つの方法とその注意点

役員報酬を引き下げすぎて発生する役員貸付金

オーナー企業では、会社のお金と個人のお金の区分は曖昧になりがちです。

会社のお金が足りずに社長のお金を充当した場合、そのお金は会社からすると社長に返済をすべき「役員借入金」となります。

一方、会社か社長がお金を引き出した場合には、そのお金は会社からすると社長に対する「役員貸付金」となるのです。

この役員貸付金は、融資を受ける際には大きなマイナス要因となります。

なぜなら、一蓮托生の社長に対する貸付金は財産性がないに等しい上、役員貸付金を通じて社外にお金が持ち出されていることを意味するからです。

そのため、融資を受ける際に、役員貸付金が決算書に載っていれば、必ずその発生原因と解消方法について金融機関からは問い合わせが来ます。

その上、融資を受ける条件としてこの役員貸付金の解消を持ち出されることもあるのです。

では、どうやってこの役員貸付金を解消すれば良いのか、その方法について検討をしてみます。

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役員貸付金発生のメカニズムとその解消が難しいワケ

役員貸付金が発生する理由には、主に二つあります。

一つは、業績が低迷しており、社長が立て替え払いをした経費について、本来事業関連の経費であっても必要経費に算入すると赤字に転落する場合、その領収証を”握りつぶしている”というケース。

もう一つは、社会保険料を含めた法人・個人を通じた税負担を最小にするために設定した役員報酬額があまりに低額で、生活費を引き出すことでドンドン役員貸付金が累積していくというケースです。

両者に共通して言えることは、個人の通帳にはお金がないということ。そのため個人の現預金で返済をすることにより役員貸付金を解消するのは難しいのです。

個人にお金がなくても役員貸付金を解消する3つのワザ

役員報酬額を上げる

一つ目の個人にお金がなくとも役員貸付金を解消する方法は、役員報酬額を引き上げるということです。

役員報酬額を過度に引き下げてしまい、役員貸付金が累積したのであれば、役員貸付金を減らすには、役員報酬額を上げれば良いことになります。

役員報酬額を必要な生活費以上に引き上げることで、余剰資金が生まれるので、その余剰資金で役員貸付金を徐々に返済していけばよいのです。

金融機関から「どうやって役員貸付金を解消するのか」と質問されたときの回答としては、もっともこのパターンが多いのではないでしょうか。

ただし、役員報酬額を引き上げれば、多くの場合、社会保険料を含めた税負担は一気に上がります。

税負担を引き下げようとして役員報酬額を引き下げたために発生したものを解消するために、役員報酬額を引き上げて税負担を増やすというのはなんとも皮肉なものです。

また、赤字を回避するために経費を握りつぶしていた場合には、役員報酬額を引き上げると赤字転落するケースが多く、この手法は使えない場合が多いでしょう。

役員退職金を支給する

高齢の先代経営者などがいる場合、役員退職金を支給します。

一旦退職者に役員退職金として支給をしたその資金について、個人間で社長に融資をし、その借りたお金を会社に返済することで役員貸付金が解消されます。

なお、役員退職金は、退職と同等の事実があれば、代表取締役社長から取締役会長への勇退などの際にも支給をすることも可能です。

役員退職金は、同じ金額の役員報酬額を支給されるよりも税負担がはるかに小さくて済みます。

うまく”知恵”を絞って、役員退職金を支給する条件を整えれば、小さなコスト負担で役員貸付金を解消することもできるのです。

ただし、多額の役員退職金支給により、単年度の利益だけでなく純資産も大きく目減りするため、時には、役員退職金支給により債務超過となるケースもあるでしょう。

そのようなときには、よく金融機関と事前に協議の上、役員退職金支給を実行する必要があるのです。

個人資産を会社に売却する

社長個人に現預金はなくとも、自宅や車などの固定資産を有しているケースはあるでしょう。

その場合には、それらの社長個人所有の自宅や車などを会社に売却をします。

その売却代金と役員貸付金を相殺することで役員貸付金を解消するのです。

ただし、その場合には、含み益について譲渡所得税が生じたり、所有権移転に伴い登録免許税などのコストがかかることもあるので注意が必要です。

では、売らずになんとかならないか。

まあ、その場合には、”知恵”を絞って「賃貸に伴い資金のやり取りが生じる理由」をなんとかしてひねり出すと良いでしょう。

目の前の税負担軽減だけを見てはいけない

それ以外の選択肢がなく役員貸付金が生じてしまうのはやむを得ませんが、目の前の税負担を軽減するため役員報酬を過度に引き下げた結果、役員貸付金が累積しているケースを良く見ます。

中には「この状態で引き継がされてもねえ」というほどのものも。

目の前の税負担軽減という「部分最適」ではなく、資金調達などを考慮しながら税負担を引き下げるという会社経営の「全体最適」を目指すような意思決定を目指したいものですね。

もし、役員貸付金がドンドン膨らんでいくような節税策の提案がされたときには、「資金調達にどんな影響があるの?」「会社に残したお金は最終的にどうやって引き出すの?」と確認をしてみてください。

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