はじめてのデジタルコンテンツ販売|ブログ、BASE、カラーミーショップ
目次
自分で売ると色々なことがわかってくる
税理士は、基本的に顧問契約による特定のお客様を相手にしたビジネスです。
ただ、そのお客様たちは、不特定多数を相手にしていることも多いもの。
そのビジネスの原理を理解するためにも、自分自身が不特定多数の人の批判にさらされながら、その反応を知るということも必要ではないかと。
そんな考えから、私は、書籍を執筆したり、本来、関与先向けのクローズド勉強会の音源を一般にダウンロード販売しているのです。
元々は「セミナーの参加特典としてプレゼントするのに実際に売っているものをプレゼントしたほうが効果があるだろう」などというヨコシマな動機で始めたのですが、おかげさまで多くの方にご購入頂いており、そこから顧問契約だけをしていたらわからない多くのことを学びました。
そこで、今回は、税理士がデジタルコンテンツを販売するなら、どのようなステップで行うのが良いかと実際に販売してみて気がついたことについてまとめてみようと思います。
私のデジタルコンテンツ販売手法の変遷
(1)ブログで告知し自分で販売
当初は、「実際に売っているものを差し上げていますよ」という”アリバイ作り”くらいの理由で始めたものなので、全く固定費は掛けていませんでした。
具体的には、クローズド勉強会の音源紹介をブログの記事としてアップし、申込みフォームはGoogleフォームを利用し、決済については銀行振込のみ、その入金を確認してファイルのダウンロードリンクをメールで送付するというなんともアナログな販売方法です。
これだと、手間はかかるものの、全く固定的な経費は発生しません。
売れるのかどうかわからない段階であれば、この方法で始めるのが一番良いでしょう。
ただ、Googleフォームに入力があると、自動返信メールが送られるスクリプトを入れましたが、どうもエラーが多かったです。
結局、注文が来たら自分のメールに通知が来るようにしておき、手動で受注確認のメールを送付し、楽天銀行への入金については、入金があればメールで通知が来るので、その通知が来たらすぐにダウンロードリンクを送付できるようメールをセットしておくということで、人力で可能な限りのクイックレスポンスはできていたと思いますが、注文が増えてくるとさすがにしんどくなってきました。
(2)BASEでの販売に移行
受注確認のメールやダウンロードリンクでの納品作業、それに預金への入金確認は注文が増えてくるとどうにも面倒になってきます。
ある程度売れる目処がついてきたので、自社サイトでの試験販売は終了し、BASEというカートを利用することにしました。
BASEとは、物販だけでなく、セミナー音源などのデジタルコンテンツの販売も可能なネットショップ構築サービスです。
BASEの他のサービスよりも良い点は
・従量課金制で月額固定の費用が発生しない
・決済手段構築のための審査が緩くスピーディに始められる
・機能的には必要十分。サイト構築が誰でも簡単
・クレカでの販売代金の出金のタイミングが早い
ということ。
このネット構築サービスを活用することで
・クレジットカード決済、コンビニ決済・Pay-easy、銀行振込、後払い決済、キャリア決済の5つの決済方法
・クーポンや期間割引などの価格政策
が、自社サイトで販売することに加えて簡単にできるようになります。
手数料は、カード会社等に支払う決済の手数料は一律で販売代金の3.6%+40円。これにBASEのシステムの利用料として3%が販売の都度従量課金されます。
要するに販売代金の約6.6%の手数料が差し引かれるということ。
粗利益率が極端に低い商材だと厳しいかもしれませんが、粗利益率の高い自作のデジタルコンテンツの販売であれば、固定費もかからずこれだけの作業が自動化されるのですから十分利用価値はあるといえるでしょう。
ご購入いただいたユーザーからみても、預金振込だと振込手数料の負担をした上で振込の手間が必要な上、入金確認がされるまで音源のダウンロードはできないものの、クレジットカード決済ならば購入申込みと同時にその音源をダウンロードすることが可能になるというメリットもあるのです。
とりあえず、個人で自分が創作したデジタルコンテンツを販売してみようというのであれば、このBASEは良い選択肢だと思います。
一方で、自社サイトで販売していたものをBASEに切り替えたことで次のようなデメリットがありました。
・物販が基本なので、デジタルコンテンツなのに、住所氏名などの入力が必須に
・デジタルコンテンツはカートの利用ができないので、まとめ買いができない
自社サイトで販売していたときには、Googleフォームでの申込みでしたので、一度に複数の音源の注文が可能でした。事実、ご購入いただく方は、複数本一度にご購入いただくケースが多かったのです。
それが、BASEの場合には、クレジットカード情報と住所氏名などの情報を一々一本ずつ購入に際して入力をし直さなくてはなりません。
そもそも、クレジットカード情報を入力するのは面倒ですし、せっかく販売サイトにまで来てくれてもここで離脱してしまうのが大きなデメリットと言えるでしょう。
デジタルコンテンツはAmazonPayでは決済できない
販売サイトでの離脱を減らすためにはできるだけ手間がかからず決済ができるようにする。
そのための有力な選択肢がAmazonPayです。
AmazonPayとは、自社のネットショップでAmazonのアカウント情報で決済ができるサービスです。
このAmazonPayを使うとAmazonユーザーであれば、クレジットカード情報などを新たに入力することなく、まるでAmazonで商品を購入するときと同じようにクリックするだけで簡単に決済が可能になります。
これで、購入の意思はあるもの手続きが面倒でやめてしまったという離脱を大きく減らすことはできます。
自分がユーザーならば、商品ごとにクレジットカード情報を入力し直しさせられるなんて、その時点で「やっぱりやめた」ということになるので、このAmazonPayの効果は絶大ではないかと。
しかし、AmazonPayはデジタルコンテンツの販売には適用できません。
BASEではAmazonPayに対応していなかったため、AmazonPay対応を大々的に謳うGMOのカラーミショップでも開設をしてみようとしてみたものの、ヘルプにも「AmazonPayはデジタルコンテンツ不可」と書いてある。
それでも、念のため問い合わせると、サポートの回答が曖昧で微妙な線だったので、とりあえずカラーミーショップで開設したところ、AmazonPayの一次審査を通過したものの、二次審査で「AmazonPayではデジタルコンテンツはダメ」というお知らせが来ました。
最初から「デジタルコンテンツの販売だ」といっているのに、なぜAmazonPayの一次審査を通したんだと。謄本や印鑑証明を二次審査で出させて、拒絶理由が「デジタルコンテンツはダメ」ってどういう一次審査なんだよと。
AmazonPayが使えないとわかった時点で、ソッコーでカラーミーショップは解約しました。
まあ、Amazonからすれば「知らんがな、最初からダメだと言っているだろう」ということなんでしょうけどね。
それでも、あえてカラーミショップでも開設してみて
・AmazonPayはデジタルコンテンツ販売には適用不可
・AmazonPayでも住所・氏名等の顧客情報の入力は不可避
・AmazonPayで回避できるのはクレカ情報のみで決してワンクリック販売ではない
・善悪は別にして、カラーミーショップよりBASEの方が審査は遥かに鷹揚でスピーディ
ということがわかったことは収穫だったと言えます。
なお、本気でワンクリックで販売したいのであれば、Amazonのマーケットプレイスに出店するしかなく、そのときには、デジタルコンテンツのダウンロード販売ではなく、CDかDVDにする必要があるのです。
一般に販売するには不断の告知・集客が必要
長期間の契約をしていただくため、ライフタイムバリューが大きい税理士業務は、ある程度軌道によると新規顧客獲得意欲はさほど強くなくなり、無理をせずともお客様からのご紹介などで賄われがちです。
ですが、不特定多数に広く販売をし続けるには、その商品を知ってもらい購入をしてもらうための、仕組みづくりと不断の努力が必要です。
そのために、私もステップメールという方法で、新たな読者の確保をし続けています。
なお、販売価格はBASEに移行した時点で10,000円から19,800円に変更しましたが、販売数量はほとんど落ちませんでした。クーポンによる値引き販売の有無でも販売数量の変化はあまり見られません。
販売促進費の確保のためにも粗利益額の確保は重要であり、比較対象が少なく、ターゲット層を絞った商材であれば、「自分ならこれくらいでも支払う」という線まで堂々の価格設定を上げていくことが、利益の極大化には重要であるということも肌でわかった気がします。
ちなみに、ご購入頂く方の約7割は税理士・会計士、コンサルタントなどの方で、リピートでの追加購入をして頂く傾向が強いです。
そのせいか、まずは音源をご購入いただき、お気に召した方が税務顧問契約を頂くというフロント商材として機能したことは一社しかありません。
顧問契約をご希望の方は、そんなことをしないで直接お問い合わせをいただくのです。
マーケティングの教科書通りにはいかず「俺は、一体何のために音源を売っているんだ」と悩むこともしばしばです。
顧客との共感のためにもまずは自分でやってみる
うちは、お客様にネットサービスの運営や通信販売をなさる方が多く、その勘所はある程度理解しているつもりでした。
しかし、実際に、ネットでモノを販売するということをしてみて、広告を打ったり、ステップメールを構築などを通じてその販売促進の苦労と成果について肌感覚でわかるようになったのです。
金融商品への投資などもそうですが、顧客への共感と情報提供という点で、税理士もモルモットとしてまずは自分でやってみるということは、ムダではないなと思う今日このごろです。
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