投資信託のコスト最安値を追い続けるのはやめよう|資産運用の隠れたコスト

努力が報われやすいのはリターンよりコスト

高いコストを掛けてまでアクティブファンドを購入するというのは、ファンドマネージャーの目利き力により、インデックスファンド以上の運用益を上げてくれることを期待してのことでしょう。

しかし、株価の値動きについては、「実は予測不可能」という考え方が主流であり、プロであっても相場を読み解くということは困難です。

ですから、よく「インデックスファンドとアクティブファンドの運用成果を比較すると6-7割はインデックスファンドの方が上回る」といわれていました。

さらにスタンダード・アンド・プアーズ・グローバル社による調査で「ここ15年間ではアクティブ運用の92%がインデックスに敗れる」というデータまで発表されているのです。

このように、リターンは、どんなに研究をしたところでその努力が報われにくいのです。

一方、資産運用のコストについては、知らないより知るだけで確実に減らすことができます。

そのため、投資信託を購入する際にも、そのコストが最も安いものを選択するというのが合理的な選択肢となるのです。

そこで、今回は、投資信託についての「表のコスト」と「隠れたコスト」についてまとめてみることにします。

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投資信託の表のコスト

投資信託は、投資家から集めたお金をまとめて専門家が運用をしてくれるわけですが、そのためには投資信託を販売する「販売会社」、どの商品で運用するかを指示する「運用会社」、その指示に従って実際に金融市場で取引を行う「信託銀行」がその金融商品の維持に関わっています。

当然タダでそれらができるわけはありません。投資信託には、次の3つのコストが掛かるのです。

販売手数料

証券会社や銀行など、投資信託を販売する会社が徴収する手数料で、投資信託の投資額に上乗せされた形で支払いをします。

この販売手数料は、まったくない「ノーロード」と言われるものから、投資信託の購入額の2-3%のものまであります。

上乗せされていれば、どれだけの販売手数料が取られたのかわかりそうなものですが、投資信託は、購入額を指定して買うことができるため、対面で銀行や証券会社から購入する場合、「販売手数料込みで10万円」などという購入のされ方がされ、自分がいくら販売手数料を支払ったのかがよくわかっていないというケースも多いもの。

販売手数料の金額だけ、確実にマイナスからの資産運用となるので、その金額はきちんと把握したいものです。

信託報酬

投資信託の運用と管理のための諸経費のことであり、投資信託を保有している期間は、ずっと掛かってくるコストです。

この信託報酬は、「総資産総額の◯%」という形式で毎日差し引かれます。投資信託がどんな投資先にどのようにして投資されているのかにより、信託報酬の額は変わりますが、少ないものでは、年0.05%程度から高いもので年2%程度のものまであります。

信託報酬は、運用益から差し引かれるマイナスの運用要因であり、その金額が差し引かれた上で複利運用がされるため、長期投資であるほど、この信託報酬の大小が運用成果に大きな影響を与えます。

投資信託の3つのコストの中でも最も注目すべきものといえるでしょう。

信託財産留保額

投資信託を途中で売るときの解約ペナルティのようなものです。途中で換金をしたい場合、あえて運用している商品の一部を売却する必要があり、その費用を負うため、残った投資家のために投資信託の純資産内にお金を置いていくようなものです。

信託財産留保額が0のものもあり、信託財産留保額があってもさほど大きなものでもないので、購入すべき投資信託を選ぶ際の優先順位は、他の二つよりは低いといえるでしょう。

資産組み換えのコストの意義

資産運用には、リスクがつきものであり、より高いリターンを求めればより高いリスクを背負う必要があり、低いリスクしか取れないのであれば、低いリターンしか期待ができません。

仕事をしている人であれば、自らが稼ぎ出すお金があるため、その分、資産運用でマイナスが生じてもカバーすることは可能です。

その自らの稼ぎ出すお金はその人の年齢等により異なるため、ライフステージごとに取れる「リスクの許容度」は変化することになります。

そのため、ライフステージごとに運用対象の資産配分の組み替え(アセットアロケーション)が必要とされます。

また、リスクをコントロールするためリスク度に応じた金融商品を組み合わせてみたものの運用成果によってはそのバランスが崩れるため、儲かって割合の多くなった金融商品を売り、損をして割合の減った金融商品を買ってバランスをもとに戻す「リバランス」をする必要もあると言われています。

それを専門家に依頼する「ファンドラップ」などのサービスがありますが、これらのサービスを利用するには、投資信託自体のコストに加えて、さらにコストが上乗せされます。

これらの考えは合理的ではあるものの、より多くのリターンを上げるのは投資のプロでも人工知能であっても難しい上に、「資産配分の正解」など誰にもわからないのではないかと。

それであれば、誰もわからない「資産配分の正解」に合わせるため、わざわざ資産の組み換えコストを追加負担する意義が本当にあるのか個人的には疑問もあります。

もし、ライフステージごとに取れるリスクの許容度が変化するのであれば、それに応じてリスク資産への投資額を増減させる。

つまり、年齢が上がり、リスク許容度が小さくなってきたら、せいぜい数年に一度レベルで、定期的に購入していたインデックスファンドを解約して必要に応じて定期積金や個人向け国債など安全性の高い資産に振り向けるだけで良いのではないかと。

その程度なら自分でも簡単にできるので、資産の組み換えを誰かに依頼をするための追加コストは不要になるのではないでしょうか?

投資信託を比較検討すること自体がコスト

信託報酬については、長期間の運用になるほど、小さな差であっても大きな手取りの差となります。

ですから、最もコストの小さい金融商品を見つける努力は「報われやすい努力」だと言えるでしょう。

しかし、信託報酬等のコスト引き下げ競争は激しく「コスト最安値」の金融商品は短期間で入れ替わっています。

自分がこれから投資を始める時点でコスト最安値の金融商品を見つける努力は大切ですが、目まぐるしく変わるコスト最安値の金融商品を常にウォッチし続け、投資先を変更するような行為はそれ自体がコストであるということを忘れてはいけません。

そんな暇があったら、その時間で目の前の仕事に専念したほうがより多くのお金を稼げるというのが、ほとんどの「稼げる人」なのではないかと。

信託報酬や販売手数料という表のコストはよく見ますが、資産の組み換えのためのコストや商品選定の時間コストという隠れたコストには気がつきにくいもの。

あくまでも、「稼げる人」の「自分一点買い」という偏ったポートフォリオを補正しリスク分散をするための金融資産投資という立場に立てば、海外も含めて広く分散投資するコストの安いインデックスファンドで自動積立しておけばよく、一度選んだ金融商品の運用成果や市場のコスト動向については、せいぜい年一度確認するくらいで良いのではないでしょうかね。

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