株式会社移行の損得

-特例有限会社のたどり着く道-
●新会社法で有限会社が廃止され、株式会社に統一
今年5月施行予定の新会社では、従来の有限会社法は廃止され、以後設立される法人は株式会社に統一されることになります。
有限会社は、「商号変更」のみで、株式会社に移行することがすることも可能ですが、経過措置として、従来どおり有限会社として存続することも可能です。
そこで今回は、従来の有限会社が新会社法施行に伴い、株式会社に商号変更するか、あるいはそのまま「特例有限会社」として存続するのではどのようなメリット・デメリットがあるか検討してみることにします。

スポンサードリンク


●株式会社移行と特例有限会社存続のメリット・デメリット
「株式会社移行」の「特例有限会社存続」に対するメリット・デメリットには、下記のようなものが考えられます。
<メリット>
◆対外的なイメージが良い。
◆商号変更のみなので組織変更に比べれば、登記は簡単。
◆会社の役員として会計参与を置くことが出来る
◆バラエティに富んだ会社の機関が選べる
<デメリット>
◆有限会社にない決算公告義務がある (現行法にも一応存在)
◆有限会社にはない役員の任期が最大でも10年。
 そのたびに役員変更登記が必要。
◆名刺等の名称変更コストが発生
◆新法の影響が予測不能
           参考:週刊ダイヤモンド2005.7.23号
●「節税カンパニー」は特例有限会社、それ以外は株式会社移行がベター
一応ある程度の数のメリット・デメリットを掲げてみましたが、ポイントは「対外的なイメージと管理コストが最大の判断要因になると私は思います。
「別に対外的なイメージなど気にしないので、管理コストの上がる株式会社移行は避けて、特例有限会社という道を選択する。」
ちょっと待って下さい。確かに今は株式会社と有限会社が混在しているためあまり実感はないでしょうが、いずれは大多数が株式会社に収れんされる中で有限会社として存続し続けるというのは、本人が気にしなくても周りが違和感を感じる可能性も否定出来ません。人材募集上も明らかに不利になるでしょう。
つまり特例有限会社として存続するということは、ちょうど今の合名・合資会社形態で事業をおこなうのと同じようなものと考えて良いのではないでしょうか。
最も気になる、公告義務もぶっちゃけていうと「現状の株式会社に求められているレベルと変わらない」(あえてどんな状況かは省略)というのが大方の予想のようですので、それ程のデメリットにはならないのではないでしょうか。
要するに節税対策のために設立したような会社や特定の得意先しかないようなであれば、特例有限会社として存続、多少なりとも今後の得意先増加を希望するような通常の会社は管理コストを掛けた上でも、いずれは株式会社への移行を選択することを私はオススメ致します。
●繰越欠損金を含み益で相殺したければ、今のうちに
ちょっと、複雑な話ですが、新会社法における有限会社から株式会社への移行は単なる「商号変更」です。一方現行法では、有限会社から株式会社への移行は「組織変更」となります。
同じようなものに思われそうですが、税務上は組織変更では時価の範囲内で土地や有価証券換えをして含み益を計上することが出来るのです。つまり、期限切れ間近の繰越欠損金を抱えている法人では、現行法に従い含み益を計上することによって、繰越欠損金の期限切れを防ぐことが可能になる場合があるのです。
かなり特殊な例かも知れませんが、中にはあえて今のうちに有限会社から株式会社へ移行した方がよい場合があると言うことですね。
「含み益どころか、含み損ばっかりだ!」ってそういう方には言われそうですが(^^)・・・
とりあえず、いつものようにまずは自分が先遣隊として有限会社から株式会社への移行を行ってみます。想定外の問題があったら、このブログもそっと書き直しておきます。[emoji:e-263]

9割の人が間違えている「会社のお金」無料講座公開中

「減価償却で節税しながら資産形成」
「生命保険なら積金より負担なく退職金の準備が可能」
「借金するより自己資金で投資をするほうが安全」
「人件費は売上高に関係なく発生する固定費」
「税務調査で何も指摘されないのが良い税理士」

すべて間違い。それじゃお金は残らない。
これ以上損をしたくないなら、正しい「お金の鉄則」を

株式会社移行の損得” に対して6件のコメントがあります。

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    やはりほとんどが株式会社になるのでしょうか?
    将来、老舗の有限会社として
    歴史ある会社みたいにはならないでしょうか?!
    [絵文字:v-10]

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >>ママさん税理士様
    う~ん、そういうことを言っている本をよく見ますね。
    ただ、今の合名・合資だって、古くからの呉服屋さんなどだと「おお、老舗ですね」っていうことになるでしょうけど、それ以外だと人材募集にも苦労してますでしょう。
    私は、「こういう理由で有限会社のままなんですよ」なんていちいち説明が面倒だから「株式会社にしちゃえ!」っていう考えです。

  3. SECRET: 0
    PASS: 5e4bfee78e5f4b244aad1a158478ef50
    SEO対策とPPCについては、色々意見が分かれるところですよね。
    個人的には、地域戦が望めるジャンルなら、PPCで限定した方が効果があるような気もします。
    ・・・って記事に関係ない話題でスイマセン。
    自分にも関係アリアリの記事なのに、ブログでは一切スルーしているもんで(汗)。

  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >>smoothさま
    地域限定、とあとは即効性という点では、確かにPPCの方が有利ですね。
    もちろん、コンテンツが悪ければ、いくら広告で集めても、一過性に終わると言うのも全く的を得ています。
    実際、この本に書かれているように、仮にクリックに対して1%(かなりいいですよね)のコンバージョン率としても、結構コストがかかるので、やっぱりリピート購入してもらわないと。

  5. 若手税理士 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >とりあえず、いつものようにまずは自分が先遣隊として有限会社から株式会社への移行を行ってみます。想定外の問題があったら、このブログもそっと書き直しておきます。
    さすが先生!
    うちのお客さんで、「有限会社を株式会社に変更します」っていうお客さんが現れました。
    理由を聞いてみると、「上場するから」って・・・^^;
    新会社法に関係ないし・・・(笑)

  6. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >>若手税理士様
    うちは、「何時とは言わないけど、営業会社は出来るだけ株式会社に変えましょう」とアドバイスしてます。
    上場ですか。そんなことを考える先が、今まで有限会社だったと言うこと自体ビックリです。(^^)

コメントは受け付けていません。