事業承継税制は個人税理士事務所に依頼するのはやめたほうがいい

税理士業界での新たなトピックに

一定の中小企業の事業承継に伴う相続税・贈与税の負担を猶予する「事業承継税制」は以前からありましたが、平成30年度から10年間限定で「特例措置」が設けられ一気に実用性の高い制度となりました。

そのため、税理士業界でも今年最大のテーマとして、各地で研修会が実施されております。

この事業承継税制はかなり特殊なものであり、依頼すべき税理士も限定的なものと言えそう。

ということで、今回は、この事業承継税制は個人税理士事務所には依頼すべきではない理由について説明してみようと思います。

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事業承継税制とは

事業承継税制とは、ひとことで言うと、相続や贈与により中小企業の自社株を移転した際の税負担の一定割合を「猶予」するという制度です。

「非課税」ではなく「猶予」というのは、一定の要件を満たしているうちは、税負担を課すことはないものの、要件を満たさなくなった時点で、猶予されていた税負担が生じるということです。

それが怖くて、事業承継税制の申請に二の足を踏むケースが多かったのですが、今回の新・事業承継税制では、入口である適用要件が大幅に緩和され猶予される税額が大きくなったのに加えて、満たし続けるべき「事後要件」のハードルが一気にさがりました。

もう無視はできない!30年度改正でリニューアルされた新・事業承継税制

一方、事業承継コストを「猶予」する目的は、相続税の負担のため事業を廃止せざるを得ない中小企業ががあるとその分雇用が失われるのを回避したいということであるため、事業承継後に従業員がいない資産運用だけの会社に形を変えていないかなど定期的に都道府県や税務署に報告を上げる義務がある

万一、期限内にその報告を怠ると、その瞬間、納税猶予はなくなり、相続税等に加えて利子税の負担をしなくてはならないのです。

事業承継税制の申請・申告・届出スケジュール

あまりに長期のフォローが必要で個人が対応するのはリスクが大きい

この事業承継税制により納税猶予されている期間は、ちゃんと事業が継続されているという「モニタリング」をされ続けるということ。まさに”執行猶予”です。

その猶予期間が”無事”に終了するのは「後継者が死亡した時」です。先代経営者が亡くなったときではありません。

当然、それまでには長期間を要するでしょう。

また、早期に株式を後継者に移転し、そのための贈与税の納税猶予をまず受ける場合、贈与契約をしたあとで納税猶予のための手続きが必要なのに、万一、依頼された税理士が突然死をした場合などには、株式の贈与契約だけが有効で、多額の贈与税の納税が生じることもありえるのです。

ですから、いくらその税理士が有能で事業承継に長けていたとしても、税理士一人しかいない個人税理士事務所ではこの事業承継税制をサポートするのにはなじまないといえます。

もし、事業承継税制のサポートを依頼するのであれば、相続税の申告実績の多く複数の税理士が所属する税理士法人に依頼をするほうが良いでしょう。

ということで、この事業承継税制についての私しか税理士のいない当事務所スタンスは、税務にも長けた弁護士法人である「弁護士法人ポラリス税務法律事務所」と共同で、「当事務所の顧問先に対して」対応をさせていただくことにしました。

事業承継税制を活用する場合には、どうしても、事業承継をしない別の相続人との法的な調整も必要となりますので、その点からも弁護士さんに関与していただくほうが望ましいはずですから。

事業承継税制の活用の余地のあるお客様には、すでにレポートは送付しておりますが、ご興味がありましたらお声がけくださいませ。

金融機関から事業承継税制の提案がされた際にも、協力をさせていただきます。

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