値下げ分をカバーするには余計にいくつ売らなくてはならないのかを一瞬で求める公式を考えてみた

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1割値上げと1割増販ではどちらが儲かるのか?

例えば、売価100円、原価70円の商品を100個販売している会社があるとします。

この会社がより多く儲けたいのであれば、単価を引き上げる「値上げ」と販売数量を増やす「増販」のどちらを優先的に努力すべきでしょうか?

1割値上げをした時と1割余計に販売した時のそれぞれの利益を比べてみましょう。

1割値上げをすると売価は1個110円(100円✕1.1)となります。

販売数量は100個で変わらないので、売上高は11,000円(110円✕100個)となります。

一方で、1割増販をすると売価は100円のままで、販売数量は110個(100✕1.1倍)になるため、売上高は11,000円(100円✕110個)となり1割値上げをした時と同じです。

しかし、利益への影響は大きく違います。

1割値上げをすると、値上げ分10円(100円✕0.1円)に、販売数量100個を掛けた1,000円がそのまま利益として増えます。

一方で、1割増販をするには、その増販分10個について新たに商品を仕入れなくてはならず、その分の原価が発生します。

つまり、1個増販をすることで増える利益は30円(100円-70円)のみなので、
1割増販して10個余計に売れても、300円(30円✕10個)しか利益は増えないのです。

ここから、値上げの方が増販よりもはるかに利益への影響度は大きいことがわかるでしょう。

なお、サービス業のように仕入れがない場合であれば、値上げと増販の利益への影響度は同じになります。

しかし、サービス業で増販をするということは、それだけ役務提供の手間が増えます。

その分コストが増えるので、たとえ仕入れのない粗利益率100%の業種であっても、値上げの方が増販よりも儲かることのほうが多いのです。

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値下げ分をカバーするにはどれだけ余計に売らなくてはならないのか?

値上げが利益に対してプラスの影響度が大きいということは、値下げが利益に対するマイナスの影響度が大きいということを意味します。

もし、同じ会社で1割値下げをした場合に、値下げによる利益の減少額1000円(100円✕0.1✕100個)を確保するには、今より1割余計に売れば良いというわけではないのです。

では、具体的に値下げ分をカバーするためにはどれだけ余計に販売しなくてはならないのでしょうか?

小学校で習う四則計算で十分答えは導けますが、結論は

値下げ分を賄うための増販数量

=(現在の販売数量✕値下げ率)/(現在の粗利益率ー値下げ率)

*正確には粗利益率というより限界利益率

となります。

つまり、この会社が1割値下げをするには、その値下げにより5割(50個÷100個)も余計に売らなくてはいけないということになるのです。

競争上、値下げを検討せざるを得ないことはあるでしょうが、

・その値下げにより、どれだけ余計に売らなくてはいけないのか

・値下げによりそれだけの増販が見込まれるものなのか

・値下げをしない時と値下げをした時の予想利益の差異を

しっかり見極めないといいけないということですね。

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