専業主婦のへそくりは相続税の税務調査では要注意|名義預金とその原資

相続税の税務調査は預金の流れの調査が最重要

相続税の対象となる遺産は、被相続人が亡くなった日現在の財産の残高を基準にして評価されるのが原則です。

実は、税務調査では、不動産や有価証券の評価については、思いのほか注視されることは少なく、むしろ、もっとも時間がかけて調べられるのは、「預金の動き」なのです。

そこで、今回は、税務調査でよく指摘を受ける「専業主婦名義の預金」についてまとめてみることにします。

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死亡前後の預金の動きは要注意

相続税の対象が被相続人が死亡した日現在の残高であるというのであれば、誰もが考えるのが、「じゃあ、その直前に預金からお金を引き出してしまえば良い」ということではないかと。

預金から引き出したお金は、死亡後に入院費の支払いや葬儀代の支払いに使われてなくなるとしても、それらを債務・葬式費用として控除している以上、その引き出したお金については、「手許の現金」として相続財産に加算をしなくてはなりません。

死亡後に預金が凍結されるために、直前に預金を下ろすのは良いのですが、それが相続税の節税対策になるわけではないのです。

また、死亡後の預金への入金にも注意が必要です。本来、被相続人がもらえることが死亡前に確定しているものであれば、死亡後の入金であっても「未収入金」として相続財産への計上が必要です。

相続開始前5年間くらいの被相続人の預金からの引き出しは、申告をされていない別の預金や有価証券となっていたり、遺族の預金口座に振り込まれているのを忘れているということもあるのでよく見ておくようにしましょう。

名義は家族となっていても被相続人の預金とされることも

相続税の対象となるのが死亡した日現在の預金残高だというのであれば、死亡前に家族に預金を贈与してしまえば良いということになります。

確かに、そうなのですが、贈与というのは、贈与者の「上げます」という意思と受贈者の「もらいました」という意思が確認できないと成立しないのです。

ですから、子供の教育上よくないからと、せっせと親が子供の名前で定期預金をしていたとしても、子供がそのことを知らないのであれば、贈与は成立せず、被相続人の預金として相続財産となります。

この家族名義であっても、実質的には被相続人の預金とされるものを「名義預金」といいます。

贈与は当事者間の口約束であっても法律上は成立するものの、その事実を税務署はそんなに簡単には認めません。

子供名義の預金になっていたものについて「贈与税の時効(贈与税の申告期限から7年経過後)だから」などというのは通らないので注意が必要。

その贈与の事実を認めず、被相続人の預金であるとされるのですから、時効などないのです。

中には、少額の贈与税の申告をすれば、贈与は認められると考えている人もいるようですが、必ずしもそうではありません。

贈与の事実を認めてもらうのに最も重要なのは、「贈与契約書」の存在です。

それも、「これはあとから作成したものではないか」と言われることのないよう、作成した日にその贈与契約書が存在していたことを証明出来るようにしておく必要があるのです。

せっせと、毎年110万円の範囲内で子供への預金の贈与をしていても、あっさり名義預金として相続財産とされることが多いので、贈与契約書の整備は忘れずに行ってください。

専業主婦へそくりはまず相続財産とされる

名義預金で最も難しいのは、夫婦間のお金のやり取りです。

夫婦共に収入がある場合、それらの収入を合算して生活費を捻出し、その残りを蓄えているということが多いのではないでしょうか。

夫婦のような扶養義務者相互間の「生活費」の贈与については、贈与税は非課税です。ですから、夫婦が共同でお金を出し合い生活費を賄っていたとして、どちらかの収入が多いからと言って、贈与税が課されるようなことはないです。

しかし、それはあくまでも「生活費」の話です。

夫の収入を原資として、生活費を切り詰め余剰が出たお金を妻名義で貯金していた分については、名義預金の問題が生じます。

特に専業主婦である場合、夫の収入を切り詰めて、自分名義でせっせとへそくりを預金していたとすると、そのお金の原資は夫の収入であるとして、妻名義の預金についても夫の相続財産とされるのです。

「離婚の財産分与だって、専業主婦の貢献を考慮し、「婚姻期間中増えた財産の半分は妻のものとしているのに、税務署は、専業主婦の働きを0であると評価するのか」とブチギレられそうですが、実はそうではないです。

相続税には「配偶者の税額軽減」という措置があり、法定相続分(配偶者と子供が遺族なら全体の1/2)または1億6000万円のいずれか大きい金額まで配偶者が相続しても相続税はかからないことになっているのです。

つまり、「ちゃんと夫の遺産の半分は妻も稼いだ財産として相続しても相続税は課税しませんよ。でも、その前に、夫の収入を原資としている妻名義の預金があれば、それも夫の遺産に上乗せしてね」ということなのです。

なお、この原資の話については、親子間でも話は一緒です。

無収入の子供が消費者金融から借金をしていたのをきちんと毎月返済していた事実を税務署に掴まれて、無収入の人が借金を返済することはできないので、その原資は被相続人の預金からなされたものであるとして相続財産への加算を実際に相続税の税務調査で飲まされたこともありますから。

専業主婦でなくとも、夫の生前の収入に比べて預金が少なく、妻名義の預金が多い場合には、その原資の一部が夫のものであるとして、税務調査で相続財産とされるケースは多々あります。

相続税の申告をする段階で奥様から「なんで関係のない私の預金や収入まで聞かれるの」と税理士がお叱りを受けることもありますが、その理由はこういうことなんです。

「具体的に名義預金はいくらなのよ」というのは、税務署も明確に計算できるわけではないので、税務調査の着地点としては「じゃあ、このへんで」ということになりがちであり、積極的に家族名義の預金を申告段階で相続財産に取り込めば税務調査で指摘されるリスクは少なくなりますが、どこまで相続財産として申告するのかは悩みどころ。

もう「相続税は確定申告分だけでなく、税務調査での追徴課税分も含めてトータルで相続税の納税」と最初から考えておくことも必要なのかもしれませんね。

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