人を動かすには数値で説明をする

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現状維持でも何とかなっている時に改善をしてもらうには

現場で仕事をしていると、もっと改善すれば仕事がしやすくなるのにとか、
あるいは、そもそもこの作業に意味があるのか疑問に思うことも多いものです。

ただ、それを社長のような決済権のある人に進言をしても、
よほど業務に支障が出ていない限り、
「ああ、そう。まあ、頑張って乗り切ってよ」と言われるだけで、
なかなか改善策の実施には結びつかないものです。

では、どうすれば、決済権者に当事者意識をもってもらうような
「人を動かす説明や提案」ができるのかということを今回は考えてみます。

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要らないと思ってもなくそうとすると抵抗がある

例えば、試算表をできるだけ早く出すようにと命じられているのに
なかなかスピーディには試算表が上がってこないとします。

その理由は何かというと、別に経理処理のスピードが
遅いわけではなく、社長がその時の気分で命じた管理帳票の作成の
ためだったとしましょう。

すでに、社長の気持ちは飽きていて、作成したその管理帳票は
見もしていない。

だったら、その管理帳票を作成するのをやめたらどうかと
進言すると、大抵の場合、社長は「やっぱり必要だ」と
言い出します。

人間は、それまでぞんざいに扱っていても
いざ、なくなると思うと急に大切なもののように思う傾向があるのです。

なので、ただ「時間の無駄だからその管理帳票を作成するをやめたらどうか」
と提案をしてもなかなか受け入れられません。

自分がその作成のために汗をかいているわけではないですから。

人を動かすには金額に換算をして説明を

では、どうすれば、無駄な管理帳票の作成をやめるように説得できるのか。

そのためには、具体的に数値化をする必要があります。

まずは、その管理帳票を作成するために、誰がどれだけの時間を
掛けているのかを把握します。

数字というものは、非常に強い説得力を持ちます。

かの田中角栄元総理も説得力を高めるため
事前に徹底的に詳細な関連する数字をインプットし、
できるだけその数字を用いた演説をしたと言われています。

それでも、「この作業にこれだけの時間がかかっているから無駄だ」
といったところで、「ああ、そう。そうなんだ」で終わってしまいます。

では、どうすれば、社長がこちらの意見に耳を傾けてくれるのか。

社長を動かすには、単に時間ではなく、金額で換算する必要があるのです。

たとえば、年収400万円の従業員の「時間当たりのコスト」を計算してみましょう。

人を雇用するには、給与だけではなく、社会保険料や交通費等の負担が必要です。

その金額は、概ね給与の20%程度掛かります。

一年間の所定労働時間は、年間125日の休暇があるとして
240日✕8時間=1920時間

つまり、年収400万円の人を一時間業務に従事させるコストは
4,000,000円✕1.2÷1920時間=2,500円となります。

さらに、そのために残業をしたとなれば、残業手当も必要なので
一時間当たりのコストは3,125円(2,500円✕1.25)にもなってしまいます。

つまり、そのあまり活用されていない管理帳票を作成するのに
2時間掛かるとすれば、少なくとも5000円を払っていることになるのです。

この5000円の人件費を賄うためには、一般的に会社は
その3倍の粗利益を必要とします。

要するに、この無駄な管理帳票を作成するためには、
15,000円(5,000円✕3)の粗利益を稼ぐ必要があり、
もし、この会社の粗利益率が20%であれば75,000円(15,000円÷0.2)
もの売上高を上げる必要があるのです。

社長に、無駄だからこの管理帳票を作成するのはやめたらどうか?
と言っても反発されるだけだったものが、
「この帳票を作成するのに5000円掛かっています。
5000円払っても見るべきものでしょうか?」
「この帳票を作成することで、売上高を75,000円上げるほどの
効果を発揮するものなのでしょうか?」
と聞くことで「だったら要らないな」という改善案を
導き出すことができるでしょう。

無駄な会議はトンデモナイお金の無駄遣い

無駄な資料作成だけでなく、無駄な会議というものも
会社の生産性を下げる要因の一つです。

会議の場合、参加者の数に比例してコストも掛かる。

例えば、年収400万円の人が5人で1時間ミーティングを
すると12,500円(@2500円✕5人)ものコストが
掛かっていることになります。

それであれば、単なる報告で情報を共有したり、
決済を仰いだりする行為は、事前に社内のチャットなどで片付け、
アイデア創造など、あえてみんなでミーティングすべきもののみ
に会議の時間を使うようにする。

会議を主宰する社長が、無駄な会議は時間の無駄だと
漠然とは理解していたことも、この金額換算によってより鮮明に意識し、
本気で改善に取り組むキッカケになることでしょう。

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