もらった補助金や助成金には税金がかかるのか?

補助金と助成金の違いとは

一定の事業活動を支援する目的で国などから受給できるお金に「補助金」と「助成金」があります。

両者のザックリとした違いは、「補助金」は一定の条件をクリアしたものの中からさらに審査により選ばれた先に支給されるものであるのに対し、「助成金」は一定の要件を満たした先にはすべて支給がされるものといえます。

では、この補助金や助成金をもらうと税金がかかるのでしょうか?

今回はその点をまとめてみようと思います。

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補助金・助成金の課税

(1)法人税法上は益金に

補助金についても助成金についても、「受給できることが確定した日」に収益となり、法人税等は課税がされます。

せっかく何らかの事業活動を応援しようとしたり、困っていることを支援しようとこれらのお金が払われたのに、そのためにもらったお金には税金がかかるということです。

どんな収益とするかは、その内容によると思いますが、雇用調整助成金など販売管理費である人件費の補填であれば、営業外収益である「雑収入」として、ものづくり補助金のような設備投資促進のための補助金であれば、金額も大きく一時的なものであるため特別損益である「特別利益」とするのが妥当でだと思われます。

(2)消費税は課税対象外

補助金であれ助成金であれ、役務が提供されるわけでもありませんので、消費税については対象外とされます。

補助金で設備投資をした場合の圧縮記帳

人件費の補助である雇用調整助成金などであれば、その助成金は人件費に充てられており、助成金が益金に算入されたとしても、同じ金額だけ人件費が損金に算入されますので、その事業年度の課税所得はプラスマイナスゼロです。

ですが、設備投資のための補助金を受けた場合、その補助金収入が益金とされる一方、設備投資のための支出は一旦有形固定資産となり、減価償却を通じてしか損金に算入されません。

そうなると、その補助金を受取り設備投資をした事業年度で見ると、補助金全額を設備投資に充てて、手許にお金は残っていないのに、「補助金収入ー減価償却費」分だけ課税所得が増加し、税負担が増えてしまいます。

これでは、その税金支払のために設備投資ができないという本末転倒になってしまうでしょう。

同様に、火災などで保険金をもらい、その保険金で建物等を再建築しようとする場合にも、保険金を建物代金に充てようと思ったのに、税金支払が増えるので建物代金を支払えないということも起きます。

また、土地を交換した場合には、一旦土地を売却したものと考え、含み益を抱えていた場合には、税金が生じますが、交換しただけで手許のお金が増えていないので納税に困ってしまいます。

そこで、国庫補助金や受取保険金で固定資産を取得した場合や一定の固定資産間の交換をした場合には、その年の税負担が増えないような特例措置があります。

これを「圧縮記帳」といいますが、ザックリいうと、もらったお金から通常損金になる金額を超えて生じる所得について、固定資産の取得に充てた金額までその固定資産の取得価額を損金算入させ、その年の課税所得を増加させないというものです。

例えば、もらったお金を全額償却資産の購入に充てている場合、実質的にその償却資産については、支出時に全額損金算入が可能な「即時償却」と同じことができるのです。

ですが、これは、固定資産の取得に充てれば、補助金や保険料をもらっても非課税ということではありません。

償却資産を取得したのであれば、取得価額が既に圧縮記帳で損金算入に使われてしまっているので、減価償却をする余地はもうないです。

圧縮記帳を適用しなかったときよりも減価償却費分だけ課税所得は大きくなり税負担も増えます。

土地を取得した場合であれば、圧縮記帳で損金算入された分だけ土地の取得費が小さくなっているので、この土地を売却したときの譲渡益が大きくなり税負担も増えるでしょう。

要するに、もらったお金を全額固定資産の取得に充てると手許にお金がないので税金が払えないというのであれば、その税金の支払を後回しにしたり分割払いにしていいよというだけのことなのです。

補助金なんて、その設備投資がうまく行けば、会社の利益も増えて国に納める税金も増えるのですから、気前よく非課税にしてくれればよいのでしょうが、なかなかそうはいかないようです。

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