依頼人が求めているのは”最適値”とは限らない

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GoogleDriveにはない機能

最近はスプレッドシートといえば、ほぼGoogleDriveで作成をするようになってきています。

それだけ私のようなライトユーザーが使うには十分な機能がGoogleDriveに備わってきている。

しかし、シミュレーションモデルを作成するときには、チェックのためのトレースがしやすいこともあり、まずはExcelで作成し、汎用性の高いものをGoogleDriveにアップロードするようにしています。

そのシミュレーションをする際に、スプレッドシートには、ゴールシークやソルバーといった便利な機能がありますが、最近「これは便利だ」と強く実感するものに「データテーブル」という機能があるのです。

この機能は、「依頼人の納得を得るためのシミュレーションづくり」という点でも非常に有用です。

そこで今回は、データテーブルを具体的にどんな用途で利用しているのかまとめてみたいと思います。

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データテーブルとはこんな機能

・データ/What-if分析/データテーブル

データテーブルとは、数式に対して一つないし二つのパラメータ(変数)を変化させた時に値にどんな変化が生じるのかを一覧できる機能です。

通常であれば、それぞれパラメータを変化させた結果を一つ一つ記録していかなくてはなりませんが、この機能を用いると一発でその結果の変化を見ることが可能になります。

最も一般的な使い方は、例えば「単価」と「販売数量」を変化させながら、どちらがより利益への影響度が大きいを測定する「感度分析」などでしょう。

税負担を最小にする最適な役員報酬額を試算

法人個人を通じた税負担等を最小にする役員報酬である”最適役員報酬額”を求めたいのであれば、役員報酬額を変化させた時にトータルの税負担等がどうなるのかというシミュレーションモデルを作成すれば簡単に算出はできます。

しかし、役員報酬として個人に残したお金は、会社で利用することも個人で利用することにも制約はありませんが、会社の利益として会社に残したお金は、会社で利用はできても個人で利用すると役員への貸付となり資金調達でマイナスの評価をされる可能性もあるのでその使いみちの”自由度”に違いが出ることになります。

そこで、「税負担」と「お金の使いみちの自由度」を天秤に掛けた上で役員報酬を決定する必要があり、そのためためには、役員報酬額によってどれだけ税負担が変わるのかを「一覧で表示する」ことが効果的なのです。

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第一次相続でいくら配偶者が相続すべきかを試算

世代間の財産の移転には、第一次相続(一般的には父)と第二次相続(一般的には母)という二回の相続を経ることが必要ですが、第一次相続で配偶者がどれくらいの遺産を取得するのかによりトータルの税負担が大きく変わります。

しかし、いつ第二次相続が発生するかは誰にもわからず、それまでに配偶者がどれだけ遺産を消費するかがわかりません。

そこで、税負担を最小にする遺産分割を検討するには、「第一次相続で配偶者が遺産を相続する金額」と「配偶者が消費する遺産額」という二つの数字を変化させながら二回合計の税負担を見ていく必要があるのです。

データテーブルでは、変化させるパラメータは一つだけではなく二つでも表示が可能です。

そのため、それぞれの数字の組み合わせごとの結果を簡単に計算し、一覧表示させることができるのです。

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自分の希望が妥当であるのかを確認してもらう

”税負担を最小にする役員報酬額”にしても、”税負担を最小にする遺産分割額”にしても、Excelのソルバーという機能を用いれば、その結果は簡単に求めることは可能です。

しかし、税負担が最小と算出された金額が、そのシミュレーションを依頼した人にとって必ずしも”最適”なものとは限りません。

依頼人には「自分の希望」があるものの、それが「果たして税負担の見地から大きな損をしていないか」という不安を抱えているのです。

そこで、自分の希望を満たした時の税負担が、最小にすることができた時の税負担とどれだけ異なるのかを示すことで、「それくらいの負担増ならば」と納得して受け入れるのか、「そこまでの負担増は回避したいが、これくらいの負担はしても良い」という地点で”折り合いを付ける”ことを手助けする。

それがこれらの場合での本来のシミュレーションの役割でしょう。

つまり、依頼した人が腹落ちする提案をしたければ、依頼人が納得して選択するための”メニュー”を提示し、お客様の希望を聞いた上で、おすすめのメニューの提案をすることが大切ということです。

決して、いきなり「これが一番旨いのだからこれを食え」ということではありません。

その点からも、このデータテーブルという機能はすごく使い勝手が良いということですね。

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