損益分岐点と収支分岐点

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-最低必要な売上高は-
●損益と収支のズレ
「勘定合って銭足らず」という言葉があります。もちろん、利益が出るということが企業成長の原動力ではありますが、利益額そのものの金額が資金として増加する例ばかりではありません。
「利益はこんなに出ているはずなのにちっともお金がない」と嘆いている方も多いのではないでしょうか。
この現象はなぜ起こるのでしょうか。
その原因は利益=収益ー費用、収支=収入ー支出と計算されることに起因します。つまり収益と収入、費用と支出が必ずしも一致するとは限らないからです。
例えば、現金で売上げた場合、収益も収入も同じですが、掛けで売上げた場合、収益は計上されるのに、収入はゼロのままです。
逆に支払の場合も請求書が来ただけで費用となるのに対し支出はゼロです。これらの差額が利益と収支の差異を生むのです。

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●損益分岐点と収支分岐点
損益分岐点売上高とは、利益がゼロとなるための売上高のことであり、費用を変動費と固定費に分けた上で損益分岐点売上高=固定費/(1ー変動費率)として表れさます。
この指標は、市販の会計ソフトでもボタン一つで表示されるもので皆さんもご存じのことでしょう。
目標利益額を分子に加算することにより目標達成に必要な売上高も判断できるため、予算書作成の際にも利用なさっている方も多いと思います。
では、もし「うちは一体最低いくらの売上高があればよいのか」という質問を受けた場合、どのようにお答えしたらよいのでしょう。
損益分岐点売上高でしょうか?一面では正解かもしれません。しかし、利益だけではなく資金収支も安定するためには「収支分岐点売上高」も知っておく必要があるのではないでしょうか。
●収支分岐点とは
収支分岐点売上高とは、収入と支出が均衡する売上高のことです。
計算式で表すと(固定費ー非資金費用ー期首運転資金)/{限界利益率ー(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間)}と非常に複雑なため、当事務所では、独自のシミュレーションプログラムによって計算しております。
これにより、利益を出すためには最低○○円、資金収支が安定するためには最低△△円の売上高が必要であるという分析が可能となります。
また、その収支分岐点は、損益分岐点と大きく異なる点があります。それは・・・
●売上高が多ければ良いというわけでは
損益分岐点は、売上高が分岐点を越えた場合それ以降は常に利益が増加することになります。
しかし、収支分岐点の場合はそうとは限らないのです。資金には売掛金回収のサイト及び棚卸資産の回転期間と買掛金支払いのサイトにより売れば売るほど資金が足りなくなるという場合があるからです。
このような場合は逆に一定額以上の売上高があると資金が不足するという状態になるのです。
また、赤字企業の場合、はじめから資金不足で、されに売上高が増えれば増えるほど資金が不足するということも考えられるのです。このような場合、限界利益率の改善と入金支払サイトの変更が緊急課題となります。
ですから損益分岐点だけでなく収支分岐点を分析することにより、御社の資金増減のパターンを理解するとともに、損益及び資金収支ともに余剰の出る「経営の安全領域」に達するための売上高を知る必要があるのではないでしょうか。
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