マイナンバーも導入されたし、もう支払調書を支払先に交付するのはやめませんか?

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1月末までに税務署に支払調書を提出します

年末調整が一段落すると今度は支払調書の作成をしなくてはなりません。

不動産の賃料や原稿料などの報酬について一定金額を超えるものは、その支払額と源泉徴収税額を記載した帳票である「支払調書」を税務署に提出することになっています。

この支払調書を外注先などの支払先にも交付をするので作成して欲しいという依頼を多く頂きますので、支払調書とはどんなものなのかをまとめてみます。

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なぜ支払調書を税務署に提出するのか

不動産賃料や報酬額などについて、その支出をした会社などが、支払金額を税務署に報告する理由は、ひとことで言えば「税務署のために税務調査の協力をさせられている」ということです。

支払先がこの金額を支払ったと報告をしているのに、受け取った側でその金額が収入に上がっていないければ、その時点で脱税が発見できるということです。

支払調書は支払先に交付すべき資料ではない

支払調書は、あくまでも税務署に提出するための資料です。

なので家賃や報酬等に関して、外注先や大家さんなどにその支払調書を交付する義務はありません。

サイズが源泉徴収票と同じで、同じように支払金額と税額が記載されているので、給与の源泉徴収票同様に確定申告をする際には添付義務のある資料だと思われている方もいるようです。

ですが、支払調書に、確定申告時の添付義務などありません。税務署にすでに提出されているのですから、同じ帳票を添付する意味はないでしょう。

しかし、本来支払先には交付義務もなく、本人の確定申告でも添付をする必要がないにも関わらず、いくら説明をしても執拗に支払調書の発行を要求をしてくる方がいるのも事実です。

好意として支払額と税額を伝えるならExcelで十分

本来、大家さんにせよ、報酬を受け取る人にしろ、自己の責任において自分の所得を把握する必要があります。青色申告を選択しているのであればなおさらです。

ですから、得意先に自分がいくらお金を払ってもらったかの計算を委ねるというのは明らかにおかしいことだといえます。

それであっても、大家さんや報酬を受け取る方に取ってみれば、自らの売上高を集計をしてもらえるのはありがたいもの。

それに会社として応えて上げることが、より良い関係を築く上で必要であるという理屈もわかります。

ですが、その際に必要なのは支払調書ではないはずです。

あくまでも知りたいのは、一年間合計の家賃や報酬額と徴収した税額ではないでしょうか。

それであれば、その支払金額等をExcelなどで集計するシートを作成して支出する度に入力しておき、その集計表をメールなどに添付して送付をすればよいでしょう。

その集計表を会計事務所に送付し、それを会計事務所が支払調書発行ソフトに入力して印刷し、会社が郵送で支払先に交付するというのは、あまりに非合理的な行為だと言わざるを得ません。

支払調書にはマイナンバーの記載も

平成28年度分以降(提出は平成29年1月末)の支払調書には、マイナンバーを記載しなくてはいけません。

ただ、これはあくまでも支払調書が税務署への報告用だからです。

もし、支払先へ交付する支払調書を作成するのであれば、そちらにはマイナンバーは記載してはいけません。

たとえ本人あてであっても税務署報告等以外の目的で作成する資料にマイナンバーを記載できないのです。

通常は支払調書発行ソフトで同時に作成するので、税務署用にはマイナンバーを記載し、支払先交付用にはマイナンバーを削除して印字し直すなり、マイナンバーをマスキングしなくてはいけないことになります。

なので、本来交付義務もないのにダラダラと慣習化して支払先に交付をしていた支払調書については、いっそのこと「マイナンバー制度導入」を一つの理由として、悪しき慣習を断ち切り、代わりにExcelなどで作成した支払額等を記載した書類をメールで送付する方式に変更してはいかがでしょう。

<参考>

タックスアンサーNo.7431「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数

 

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