自宅は持ち家が良いのか賃貸が良いのかなんて誰にもわかるわけがない

ケチな社長はなぜお金を残せないのか?

誰にもわからないものを断言するのはよくわかっていない証拠

「マンションは購入するのと、賃貸にするのではどちらが得なのか」という話は、個人向けのファイナンス雑誌やサイトなどで何度も言及されてきたテーマです。

ファイナンシャルプランナーの中にも、持ち家派、賃貸派がいて結局どちらがよいのかわからないと言う人も多いのではないでしょうか。

結論は「この株は勝ったほうが儲かるのか損をするのかというのと同じで誰にもわからない」ということ。

その理由を、今回も全然売れなかった”この本”から転載します。

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Q:社長の自宅は持ち家がいい?賃貸がいい?

A:損得は自宅の売値次第。ただ、持ち家の自宅は社長にとって武器にも重荷にもなる

◆持ち家とは「自分が店子の不動産投資」である

私の「自宅は持ち家と賃貸では、経済的にどちらが得なのか」という質問に対する答えは一つです。

「そんなもの、株は買ったら儲かるのか、金利は固定と変動ではどっちが得なのかと同じ質問でわかるわけない。それが予想できるなら、私は人の税務申告書など書いていない」というものです。

自宅を持ち家にするのか賃貸にするのかの損得を比較するには、「持ち家=自分が店子の不動産投資」と考えるとわかりやすいと思います。

不動産投資の損益は、賃貸収入だけで決まるものではありません。譲渡による損益を加味した上ではじめてその投資の成果がわかります。

持ち家=自分が店子の不動産投資ということになれば、その投資の成果はその持ち家を売った時の値段次第であり、売ってみるまでわからないということなのです。

言いかえれば、賃貸との損得の比較もその持ち家を売った時の値段次第ということでしょう。

ただ、一般論として、持ち家と賃貸の損得の比較は可能だと思います。

その前提は、「この世で不動産賃貸業が成立しているというのは、オーナーはその投資リスクを負うことで、期待される利益を得ている」ということです。

つまり、不動産投資に必要なコストに一定の利益を乗せて店子に賃貸をしているということでしょう。

ですから、やれ持ち家は固定資産税や修繕費が掛かるだの、地震のリスクを被るだのといわれても、それらのコストをひっくるめてそれにオーナーの利益を乗せた水準の家賃を店子は支払っているのです。

一方で、持ち家=自分が店子の不動産投資でありますが、他人に貸せばその賃料は課税対象になるのに、”自分から受け取る”賃料(帰属家賃と言います)はその課税対象になりません。

結果として、自分の利益分だけそのまま自分に戻ってくるので、その店子であるオーナーは”原価”でその家に住むことができるはずです。

ちょうど、個人経営の八百屋さんが、売れ残った野菜を仕入れた値段で食べられるようなものです。

また、持ち家としてのマンションの財産的価値は、「その部屋に一定期間住んでもよい」という権利なので、「まとめて先払い」で購入している分、細切れで短期間住む権利を購入することといえる賃貸よりも大きな「割引」があるはずです。

これらを考慮し、

持ち家と賃貸とでどちらも損得がない水準で賃料の相場が形成されるので、持ち家と賃貸では本来損得はありません。

持ち家ならばローンの支払いが終われば資産になるが、賃貸ならば何も残らないから損というわけでもありません。

そもそも投資において、必ずどちらが得だと言い切れるような取引は、確実に損をするほうをわざわざ選択する人などいないので、成立しないのです。

要するに、持ち家にすることは投資のリスクを負い、すぐに希望の値段で売れるとは限らないことによる転居の制約があったり、住む人のライフステージに合わせた間取りの変更がしづらいといったデメリットを受け入れるということです。

一方で、賃貸とは持ち家よりも割高なコストを負担することで、地価変動のリスクを回避し、ライフスタイルに合わせた住居変更の自由を手に入れるということであり、どちらを選ぶかは損得の問題ではなく好みの問題だといえるでしょう。

◆社長にとって持ち家は武器にも重荷にもなる

では、オーナー中小企業経営者にとって持ち家とはどんなものなのでしょうか?

それを知る一つの側面は「資金調達」です。

まず、持ち家であれば、住宅ローンの利用が可能です。

なかには、余った資金で住宅ローンの繰上償還をすることが大好きな人もいますが、35年低利固定のローンなど事業資金ではありえないくらい有利なものです。

支払利息が必要経費にならないことを差し引いても、十分魅力的な資金調達方法だと言えます。

また、持ち家に担保として価値の余裕(担保余力)がそれほどなかったとしても、事業資金を貸したいと金融機関が思っているのであれば、その不動産の担保評価額を引き上げるなどしてどうにか貸すたの”材料”にしてくれます。

物件が何もないのであれば、銀行も努力のしようもないのです。

これが、中小企業オーナー経営者が持ち家にする一つ合理的な理由となります。

もう一つの側面は「信用」です。

実は、担保としてだけでなく、中小企業のオーナー経営者が持ち家かどうかに金融機関や取引先は強い関心を示しています。

というのも持ち家について、多くの人は思い入れが強いため、その家を守るために必死に事業を継続しようと思うものです。

持ち家であること自体が「この人は最後まで頑張る人だ」とお金を貸す側や商材の納入する側に対して大きな信用となるのです。

逆に言えば、中小企業のオーナー経営者で自宅が賃貸という人は、最後の踏ん張りがきかない”浮き草”的な見方を金融機関や取引先からされていることは知っておいたほうが良いでしょう。

しかし、この思い入れが逆に作用することもあります。

それは、事業が本当に行き詰まり、再起を図ろうとする時です。

確かに、親類縁者など支援者がいれば、破産をしながらも自宅を確保する方法はなくはないです。

しかし、破産をすることが再起を早めるくらいの厳しい経営危機に見舞われた場合、持ち家を残すことに固執すると、再起のハードルがかなり上がり、債務を清算して新たな出発をするための時間も余計にかかるようになります。

要するに、中小企業のオーナー経営者にとって、自宅は武器にも重荷にもなるということなのです。

◆お金を残す鉄則

持ち家は、自分が店子の不動産投資をするものと心得え、自分のライフスタイルや資金調達、さらには社外的な信用を考慮して賃貸と比較をする

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