”お古”のiPhoneの有効活用も。中小企業も、そろそろマイナンバーの保管方法を真剣に考えよう
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本来は既に収集すべきマイナンバーだが
平成28年1月以降に記載をする一定の税金や社会保障関連の資料については、マイナンバーの記載が必要です。
しかし、実際に、全従業員にから一斉にマイナンバーを収集する必要がある場面というのは、年末調整であるため、平成29年の12月くらいにならないとまだ収集をしないという中小企業は多いでしょう。
必要もないのにわざわざ早く収集して漏洩するリスクを高める意味もないので、それはそれで正しい判断だともいえます。
あれだけ騒いだマイナンバーもみんなすっかり忘れてしまったかのようですが、確実に全従業員からマイナンバーを預からざるをえない時期はもうすぐ来ます。
その時に大騒ぎとならないようどんな方法でマイナンバーを保管するのが良いのかをそろそろ真剣に考えてみようと思います。
マイナンバーはそれほど大事なものとは思わないが
マイナンバーは漏れたらとんでもないことが起きる重要データのように思われていますが、現実にはそんなことにはならないでしょう。
税金や社会保障のデータは従来通り分散して管理されており、決して個人情報が一元管理されるわけでもありません。
マイナンバーに関係なく「従来通り」これらのデータは厳格に管理されれば良いだけで特に変化があるわけではないでしょう。
マイナンバーはそれらのデータの「名寄せの記号」のようなものです。
これらの個人情報にアクセスするにもマイナンバーだけでできるわけではなく、パスワードや電子認証カードなども必要になるはずですし、個人番号カードには顔写真が入り、その発行も厳格に行われています。
ですから、なりすましは難しいし、万一マイナンバーが漏れたとしても、せいぜい運転免許証の番号が漏れる程度のことであり、クレジットカードの番号が漏れるほうが実害が多いくらいでしょう。
ただ、そうはいっても、世間の雰囲気としては、マイナンバーを流出させるということは重罪を犯したかのように言われるので、「厳格に管理する」か、いっそのこと「できるだけ預からない」ということが求められるのです。
中小企業の現実的なマイナンバーの保管方法
1.必要なときだけ預かり、すぐに返却をする
マイナンバーが必要になる場面は、今のところ年末調整(給与支払報告)と入社退社時の社会保険・雇用保険の手続きくらいです。
そのためだけに、ずっと厳格な管理を求められるのは割にあわないというのであれば、従業員から必要なときだけマイナンバーを預かり、作業終了後にはすぐに返却をするという方法が考えられます。
そうすれば、マイナンバー漏洩のリスクはほとんど無くなります。
一方で、その都度マイナンバーを徴収する手間が生じます。
ただ、年末調整で言えば、扶養控除申告書や生命保険料の控除証明書に個人番号カードのコピーを添えてもらうだけなので、それほどの手間になるとも思えません。
それでも、人数が多いと必要資料にいちいち手書きでマイナンバーを記載をする必要があるので、その手間と漏洩のリスクを鑑みてこの方法を選択するかどうかを検討します。
2.専用のマイナンバー管理ツールを使う
マイナンバーを管理するツールは、いろいろ出揃ってきました。
クラウド上などでマイナンバーを管理し、年末調整や社会保険事務など必要なときだけそのデータを”借りてきて”資料に転記がされるというものです。
この方法であれば、安全(だと他者に言えるくらい)にマイナンバーを保管できる上に、いちいちマイナンバーを必要資料に書き写す手間が掛からないというメリットがあります。
確かに、利用人数が多い場合には、この方法が最も合理的ですが、少人数だとわざわざ年に1、2回の手続きのためだけに毎月利用料を支払うのには抵抗があるという方もいるでしょう。
そのため、こちらもその利用料という「コスト」と削減できる「手間とリスク」を比較した上で選択するということになります。
3.物理的にマイナンバーを保管をする
マイナンバーをパソコン上にファイル形式のデータとして保管をすると、どうしてもマイナンバー流出のリスクが高まり、より面倒な安全管理措置が必要になります。
それであれば、いっそのこと、必要なマイナンバーを紙に書き、それを金庫や鍵付きのキャビネットで厳重に管理をするというきわめてアナログな保管方法でよいのではないかと。
厄介だった扶養控除申告書へのマイナンバー記載を省略する方法も定められたので、マイナンバーだけならキャビネットがいっぱいになるほどの紙の量にはならないでしょう。
あるいは、通信契約をしていない”お古”のiPhoneのカメラで個人番号カードを一枚一枚写真に撮り、そのままそのiPhoneを金庫や鍵付きのキャビネットに保存するというもの良いかもしれません。
わざわざデジカメを買わなくても、追加・消去も簡単で、指紋認証やパスコードも掛けられますから。
万一盗難にあっても、マイナンバーの流出はしないはすです。
毎回徴収するのは面倒だし、専用ツールを使う程でもないという微妙な人数の場合、「物理的に保管をする」というのが意外とイケるのではないでしょうか。
いずれは、世の中が落ち着いて、メールでマイナンバーをやり取りするような時がくるかもしれませんが、ひとまず今は「ここまでやって漏れたのであれば仕方がない」とみられるくらいの管理はしておかないといけませんので、そろそろ保管方法をどうするか真剣に考えないといけませんね。
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