舛添都知事の退職金の税金と手取り額はいくらなのか計算してみました
2年5ヶ月で約2,200万円の退職金支給
舛添都知事がとうとう辞職に追い込まれました。
「あそこまで信頼を失ったのだから辞職は当然」、「いや、無駄な選挙費用も掛かるし、わざわざ辞職まで追い込むようなことでもない」といろいろ意見はあるようですが。
さて、舛添氏には、在職期間2年5ヶ月に対して約2,200万円の退職金が支給されるとのこと。
この金額の退職金が支給される例は、中小企業のサラリーマンではまずないですし、大手企業や公務員でも、一生を掛けて勤務した結果として支給されるような金額です。
あまりきれいな「去り際」でもなかったようでこれだけの退職金支給には腑に落ちない点もありますが、税理士として気になるのは、その退職金をもらうといくら税金が掛かるのかのほうです。
余計なお世話ながら計算してみようと思います。
退職金の税負担は給与よりも軽減されている
役務提供の対価として会社から支給されるのは給与も退職金も同じです。
しかし、退職金は長年の労働の対価であること、老後の生活資金に充てられることが多いことなどから給与よりもずっと税負担が軽減されているのです。
具体的には、退職金には次のような税負担軽減策がとられています。
・退職所得控除
退職金支給対象となった勤続期間1年につき40万円(20年を超える部分については1年70万円)の退職所得控除を退職金から差し引くことができます。
なお、勤続期間1年未満の端数は切り上げられます。
・1/2課税
退職所得を計算する際には、(退職金ー退職所得控除)の金額を1/2とすることが可能です。
・分離課税
給与は他の所得として合算した上で累進課税率が適用される「総合課税」なのに対し、退職所得は他の所得と合算することなくその金額だけで累進課税率が適用される「分離課税」が適用されます。
結果的に、本来給与でもらうべきものの金額を抑え、その分を退職金でもらったほうがトータルの税負担が少なくて済むことになります。
知事の退職金が勤続期間に比べて高額なのには、そういう理由があるのかもしれません。
官僚が天下り先をわずか数年ごとに退職して退職金をもらうことを繰り返す「渡り」という行為もこういう税金の仕組みをよく理解したがゆえに生み出されたものなのでしょう。
特定役員等の退職金の特例
しかし、あまりに短期の退職金支給を繰り返すことで税負担軽減効果を重ねて受けるのはいくらなんでもおかしいとして規制がされました。
具体的には、次に掲げる者のうち役員等の勤続期間が5年以下の者は「特定役員等」として、1/2課税の適用がされないことになったのです。(役員勤続期間1年未満は切り上げ)
この場合の特定役員等とは、次に掲げる人をいいます。
1.法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者
2.国会議員や地方公共団体の議会の議員
3.国家公務員や地方公務員
都知事は特別職の地方公務員であり、舛添氏の在職期間は2年5ヶ月とのことなので、この特定役員等に該当します。
つまり、1/2課税の適用はないわけです。
具体的に舛添都知事の退職金を計算してみると
退職所得
22,000千円ー400千円☓3年=20,800千円
(1)所得税
20,800千円☓40%ー2,796千円=5,524千円
(2)復興特別所得税
5,524千円☓2.1%=116千円
(3)住民税
20,800千円☓10%=2,080千円
(4)税額合計
(1)+(2)+(3)=7,720千円
手取り額
22,000千円ー7,720千円=14,280千円
となります。
勤続年数が40年と一生務め上げた場合には、22,000千円の退職金ですと税金は掛からないのですが、さすがに2年5ヶ月での退職となるとそこそこの税金にはなるようです。
まあ、この退職金自体税金から出たものなんですけどね。
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