やたらと利回りの高い投資用不動産のカラクリ

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利回りは投資採算性の重要な指標だが

投資用不動産の採算性の良否を図る上で「利回り」というものがよく用いられます。

一番良く用いられるのは、年間の賃料を投資額で割った「表面利回り」というものです。

ただ、利回りが高い=よい投資物件とは限りません。

そこで、今回は、やたらと高い利回りの物件には注意が必要という話をしてみようと思います。

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地方や海外物件の利回りが高い理由

「都心にはもう利回りの高い物件はないけど、地方ならまだ利回りの高い物件もある」、「海外不動産なら日本ではありえないような投資利回りの物件もある」などということがよく言われます。

それだったら、不動産投資をする目ざとい人はサッサと都心の不動産など売っぱらって、ドンドン地方や海外の物件を買えばよいでしょう。

それをしないのはなぜか。

それは都心の物件のほうが魅力的だからです。

では、なぜ、魅力的なのでしょうか?

それは、物件の人気があるので今後も賃料が安定的に入り、売る時の金額も高いはずだという期待があるからです。

魅力的だから多くの人が高くても欲しいと考えるので購入するための投資額が高くなります。

利回りは、賃料/投資額なので、同じ賃料で投資額が大きくなればその分利回りは小さくなるのです。

逆に、地方や海外の物件は、今は良くても将来本当に今と同じような水準の家賃が入ってくるだろうか、売るときに価格が大きく下がっていないだろうかという不安を感じるでしょう。

同様に、築年数の古い物件も一旦空いたら次に同じ賃料ですんなり入居者を探せるか、多額の修繕費が掛かるのではないかという不安も感じるでしょう。

不安を感じるから、高い価格ではその不動産を欲しがらない。

利回りは賃料/投資額なので、同じ賃料ならば、投資額が小さくなるほど利回りは高くなるのです。

それでも、安く買えて同じ賃料がもらえるなら採算性の良い物件と思えるでしょう。

しかし、今は同じ賃料100万円だとしても、将来の家賃についてはブレ幅が大きい方がその価値は低くみなくてはなりません。

そうなると、都心の物件の賃料100万円は”堅い”100万円なのに対して、地方や海外の物件は”危うい”100万円だということになります。

その将来のキャッシュフローを現在の価値で換算した「現在価値」でみると、ブレ幅の大きい地方や海外の物件の賃料の価値は小さくなるので、「現在価値で見る利回り」は大きく下がるということです。

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売る方の立場で考えればわかりますが、表面利回りが高い物件は、高く売りたいけど安くしないと売れないから結果的に表面利回りが高くなるということ。

高く売れるのにわざわざ安く売って人に儲けさせたいなんていう投資家はいないでしょう。

別に、都心はもう目ざとい人に買い尽くされてしまったが、地方や海外ならば、まだお宝物件が残っているというわけではないのです。

そんなに将来有望で利回りが高い物件は、買い手が殺到して購入のための投資金額が大きくなりますが、「俺はこんなに高い値段で買ったんだ」といったところですぐに家賃を上げられるわけもなく、利回りは下がるはずですから。

利回りの高い物件=将来の賃料についてブレ幅が大きい物件だと理解すべき。

もちろん、必ず損をするとは限らず、賃料が想定よりも下がらなかったりむしろ上がることもあります。

つまり、高いリターンを求めるには高いリスクも覚悟しなくてはいけないという当たり前のことなのです。

作為的に利回りが底上げされていることも

利回りの高い物件ほど、賃料を期待利回りで割って求める収益還元価値が上がるので、高い価格で販売しやすくなります。

つまり、売る側としては、なんとか賃料収入を上げてから売りたいということになります。

そのため、中には、この利回りと収益還元価値を作為的にあげようとする輩もいるようで。

本来よりも高い賃料単価で”身内”により空室を埋めて利回りを上げた上で、売却後には賃貸契約を解除してしまうということも。

こんな”利回り偽装”、”満室偽装”された物件を買わされた方はたまったもんじゃないですが、表面利回りの高さだけに惑わされず、入居時期に不自然さがないかや入居者の賃料が相場と比べて高すぎないかなどもチェックしなくてはならないということですね。

利回りは、投資採算を判断する重要な指標ではありますが、その正しい意味を理解し、中には正しく表示されていないものもあることを理解しておく必要があるのです。

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