政治資金収支報告書にヘンな経費が紛れ込む本当の理由

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大甘な政治資金収支報告書だが

どこからお金をもらったかについてはシビアにチェックされるが、何に使ったかのチェックはずさんと言われる政治資金収支報告書。

よく調べてみたら、コーヒーやガソリンをあり得ない量の消費をしたかと思えば、キャミソールを政治資金で購入したりというのが発覚するなど、とかくおかしな経費が紛れ込みがちです。

「そんなもの自腹で買えよ」と納税者としては言いたくなると思いますが、現実には単にセコいからではなく、別の理由があるのだと思います。

今回は、税理士としてその理由を想像してみようと思います。

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世の中領収証の取れない支出はある

事業に関連する経費の支出をすれば、領収証をもらい、それを費用として経理処理すれば良い。

しかし、世の中、領収証の取りづらい経費というものは実際に存在します。

得意先から大口の仕事の発注を条件に「税金の掛からないお金がほしい」などという要求をされることもあるでしょう。

支出をしたのに領収証がないとなれば、現金預金の残高が合わなくなり、無理やり合わせようとするとその支出は「社長への貸付金」などとして処理をします。

要するに会社としては、その金額は社長に一旦貸し付けましたが、その後社長がポケットマネーでその支出をしたということにするということです。

社長が自分のお金をどう使おうが勝手です。

社長と得意先との個人間のやり取りであれば、贈与となることはあっても非課税枠(年間110万円)までの範囲内であれば、問題になることはないでしょう。

不適切な経費は裏ガネの穴埋めでは?

しかし、決算書上社長への貸付金という勘定は金融機関からの評価上好ましくなく、どこかで精算をしなくてはなりません。

その一つの方法は、実際に社長個人の預金を会社に振り込む。しかし、その資金が個人にはない時にはどうするか。

その時は、役員報酬額を引き上げて、その貸付金の返済することになります。

そうすると、役員報酬額が上がる分だけ個人が負担する所得税・住民税額が増えます。

「なんで自分で使った金でもないのに税金を負担せねばならんのだ」と思う人もいるでしょう。

では、どうすれば余計な税負担をすることなく貸付金を精算できるのでしょう?

貸付金が発生したのは「支出をしたのに領収証がない」からなのですから、それを精算するのであれば「支出もしないのに領収証がある」ことが必要になります。

そのため、実際の使途とは異なる架空の経費を計上することになるわけです。

つまり、政治資金収支報告書に記載された大量のガソリンカードは、そのまま換金して裏ガネを作り、目的外の支出のために使ったものであり、キャミソール代も、領収証がもらえない裏ガネで支出をした穴埋めとして、スタッフが「自分が支払った生活費の領収証」を政治活動の費用に紛れ込ませたという可能性のほうが高いのではないでしょうか。

まあ、家族旅行代やおみやげの中国服などを政治活動費に紛れ込ませた元都知事の場合、元々人にお金をつかうのが大嫌いだったようなので裏ガネで支出をしたというよりは、単純に自腹を切るのが嫌なセコい人なんだとは思いますけどね。

いずれにせよ、税務調査でも、その使途や費目を偽って算入をした経費は問答無用で重加算税の対象となります。

裏ガネがどうしても営業活動に必要であるならば、本来相手が負担すべき税金を含めた負担を自分がせざるを得ないと覚悟するしかありません。

架空経費の計上は、税理士もかばいようがないので絶対にやらないでください。

ああ、政治資金収支報告書は税務署がチェックするのが一番良いのではないでしょうか?

元検事の「第三者の目」よりもずっと厳しく見てくれるはずですよ。

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