その支払は外注費?給与?ー税務調査で見られる4つの判定基準

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いま税務調査で最も厳しく見られる項目の一つ

最近税務調査で厳しく見られるものの一つに「外注費とされたものが実は給与ではないのか?」というものがあります。

それこそ、前回の税務調査では「外注先である」として支払先に修正申告を求めた事実がありながら、「前回の指摘は間違いでした。ペナルティは課しませんので今回からは給与としてください」と過去の指摘を「誤指導」だと認めてまでも、強硬に「外注費の支払いを給与である」と認定してきたこともあります。

そこで、今回は、なぜ税務署が外注費を給与とするのか、外注費と給与の判断基準はどこにあるのかを見てみることにします。

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外注費と給与の税務上の取り扱いの違い

請負の報酬として支払われる外注費は消費税の課税対象です。一方、雇用に基づく給与は消費税の対象外なのです。

同じ10,000円を支払ったとしても、外注費として支払えば、その10,000円には8%の消費税が含まれているものとし、その消費税額を自身の消費税の納税額の計算上、仕入れ税額として控除することができます。

しかし、給与として支払うとその10,000円には消費税は含まれていません。当然、仕入れ税額として控除もできません。

つまり、支払う側からすれば、外注費として支払うほうが、給与として支払うよりもその消費税分だけトータルの支払いが少なくて済むことになります。

さらに、外注費の支払いにはその内容によりますが原則として源泉徴収義務はありません。しかし、給与であれば源泉徴収を会社がしなくてはならないのです。

ここに税務署が目をつける原因があります。

なぜなら、外注費として処理されているものが、税務上給与とされれば、消費税を過大に控除していたとして消費税の修正とさらに源泉徴収をしていなかったとして源泉税の追加徴収を求めることができるのです。

黒字法人の比率が約30%と言われる中、赤字企業ならばいくら法人の利益に誤りがあったと指摘したところで、結局繰越欠損金の範囲内として法人税の追徴課税が生まれないものの、消費税と源泉税の追徴は赤字企業であっても取れます。

そのため、税務署にとって”都合の良い漁場”としてこの外注費と給与の判断について厳しい目が向けられるようになったのだと予想されます。

外注費か給与か4つの判断基準

国税庁が消費税の納税義務の有無について、その者が個人事業者なのか給与所得者なのかを判断する基準として次のような4つの判断基準を示しています。

(個人事業者と給与所得者の区分)

1-1-1 事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。

(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。

(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

では、それぞれを具体的にみていきましょう。

(1)代替性の有無

代替性とは、他の者に代わりに業務に従事させても良いかということです。プロ(事業者)であれば、期日までに依頼人から求められた品質のものを自分のリスク負担により納品することが求められます。

依頼人とすれば、求めた品質のものさえきちんと仕上がって来れば、誰が作業したのかは問わないはずです。

例えば、税理士と顧問契約しても別の担当者が巡回監査に来るということもあるでしょう。

逆に雇用した場合には、本人が来ると思ったらお父さんが会社に仕事しにやってきたというのは認められないはずです。

ですから

(外注費)

・他人が代わりに業務に従事しに行っても問題なし

(給与)

・依頼された本人以外が代わりに従事しに行くことは認めない

ということになります。

(2)指揮命令監督下にあるか

指揮命令監督とは、その業務をするのに誰の管理下で行うのかということです。プロであれば期日通りに仕上げさえすれば、仕事に従事する時間は問われないはず。夜中に寝ないでやろうが土日にやろうが関係ありません。

しかし、雇用の場合には、勤務時間が定まっており、その時間は上司などがサボっていないか監督をするはずです。

ですから

(外注費)

・納期さえ守れば作業時間や場所は指示されない

(給与)

・就労時間や作業場所が依頼人から特定される

・業務は依頼人の指揮の元で行われる

ということになります。

(3)リスク負担

リスク負担とは不可抗力で業務が遂行できなかった時にそれまで掛けた労力はどちらが負担するのかということです。プロであれば、理由はどうであれ仕事が完了しないかぎり、その報酬の請求はできません。

一方、雇用であれば、途中で業務が遂行できなかったことの責任を負うことはないはずです。

ですから

(外注費)

・途中で業務が中止になった場合、報酬は請求できずそれまでに受けたお金は返金する

(給与)

・途中で業務が中止されても、それまでの報酬は請求でき、過去にもらったお金は返金しない

・支払金額が従事した時間や日時をベースに計算される

(4)用具や移動手段の提供

用具等の提供とは、その業務を遂行するのに必要な材料や工具、あるいは現場までの移動手段についてどちらが負担しているのかということです。プロであれば、工具などは自分で用意するはずです。一方、雇用であれば業務に必要な資材や工具は会社持ちということがほとんどでしょう。

ですから

(外注費)

・用具や現場までの移動手段は自分の負担で用意している

(給与)

・用具や資材は会社が提供

・現場にはみんなで集まって会社の車でいく

ということになります。

一言でいうと外注費と給与の最大の違いは、自己のリスク負担で仕事をしているかということです。

この4つの判断基準に照らすと、建設業で実質的に自社専属の一人親方などや非正規雇用を社会保険の加入を回避するため請負だとした人などはほとんど給与だとされるということがわかるでしょう。

それだけ間違えている人も多いので、税務署としては「行けば簡単に修正事項がでる」という入れ食い状態なわけです。まさに税務署にとっての「過払い金請求」のようなものなわけです。

外注費か給与という泥沼の議論を回避するには

外注費か給与かという判定は非常に難しく、「雇用なんかした覚えが全くない」というものも「いや給与だ、いや外注だ」と税務調査で不毛な議論になりがちです。

では、それらの議論を回避し外注費とする方法はないのでしょうか?

実は、支払先に法人設立をしてもらえばよいのです。

そうすれば、会社にベッタリ常駐していて社員と変わらない働きをしていても、その支払は会社に対する業務委託費となります。

事実、大手企業の中には、メンテナンス業務など、実質的には個人事業主と変わらなくても法人でないと取引をしないという会社も多いものです。

その理由の一つには、この税務上の問題と社会保険の問題があるのだと思います。

今後は、マイナンバーも導入され、個人事業主への報酬の支払はマイナンバーを徴収しなくてはならないなどの面倒臭さが加わります。法人の番号はネットで簡単に検索ができます。

”得意先の要請”という理由で個人事業主が一人法人化する例はもっと多くなるのかもしれませんね。

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