予定申告の金額が「前期の年税額の半分」から微妙にズレる理由ー正しい予定申告額の計算方法

一定金額以上の納税を前期にすると中間申告の必要性が

法人税では20万円超、消費税(地方消費税は含まず)では48万円超の年税額となると、その翌期について6ヶ月を経過した時点までなどを事業年度とみなして「中間申告」をしなくてはなりません。

その場合、原則として前期の納税額の”半分相当”の金額をその事業年度の課税標準として納税額を計算する「予定申告」という方法が認められており、大抵はこの方法により納税をしています。

ただ、この予定申告による納税額が「前期の年税額の半分」から微妙にズレていることもあります。

特に消費税は国税分と地方税分にも別れるのでイマイチ計算結果にピンとこないことも。

今回は、「なぜ予定申告の税額が前期の年税額の半分にならないことがあるのか」という素朴なギモンに答えます。

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予定申告は前期の年税額の半分ではない

いきなりですが、実は正確にいうと予定申告の納税額は、前期の半分ではありません。

正確には、

前期の年税額☓6/前期の事業年度の月数

です。

ですから、前期が12ヶ月でない場合には、当然半分ではなくなるわけです。

ただ、通常、前期は12ヶ月です。それであれば「前期の年税額☓6/12」でやっぱり、前期の年税額の半分になるはずです。

しかし、そうではないのです。

法人税の予定納税の申告額

どういうことかというと、「6/前期の月数」で前期の年税額に掛けるべき係数を先に計算するのではありません。

「前期の年税額☓6/前期の事業年度の月数」というこの計算式のとおりに前から1つずつ計算をしています。

さらに、条文上は「前事業年度の確定申告書に記載すべき法人税額を当該前事業年度の月数で除し、これに6を乗じた金額」とされており、このままの文言通りに順番に計算をしていくのです。

例えば、前期の法人税額が1,000,000円だったとしましょう。

これを「前期の年税額の半分」だとして計算をすると

1,000,000円☓1/2=500,000円

が予定申告による税額だと思われます。

しかし、実際には、条文の通りに前から順番に計算をします。

まずは

1,000,000円÷12=83,333.333・・・円

ここで1円未満の端数は切り捨てをします。

つまり、この時点で83,333円となります。

これに、6を掛けます

そうすると

83,333円☓6=499,998円

さらに、国税通則法では100円未満の納税額は切り捨てられることとなっていますので

499,998円(100円未満切り捨て)→499,900円

が正しい予定申告による納税額となるのです。

なお、地方法人税、事業税、都道府県民税などについても同様の計算をします。

この途中で1円未満の切り捨てをすることが微妙に前期の年税額の半分とはならない原因なのです。

法人税の中間(予定)税額の算出方法について

消費税の予定納税の申告額

消費税は、税率が10%である現在、国税分(7.8%)と地方税分(2.2%)と分けられています。

これが非常に厄介です。

消費税の予定申告による納税額は「前期の消費税の合計額」をベースに計算をするのではありません。

まず、申告書に記載されら前期の消費税年税額のうち「国税分」の金額から、予定申告による国税分の税額を算出します。

つまり、

前期の国税分の年税額☓6/12

となり、法人税同様先に12で割って円未満を切り捨てた数字に6を掛けます。

例えば、前期の消費税の国税分の年税額が500,000円、地方税分の年税額141,000円の合計641,000円だったとすれば

予定納税による納税額(国税分)は

500,000円÷12=41,666円(円未満切り捨て)

41,666円☓6=249,900円(100円未満切り捨て)

となります。

では、地方税分はどうするのか?

消費税の申告書のとおり、

地方税分は、国税分7.8%に対して2.2%であるため、国税分☓22/78という算式で計算をします。

この時は先に78で割って円未満切り捨てはしていなさそう。(どこにも明記されていません)

なので、

249,900円☓22/78=70,400円(100円未満切り捨て)

となり、国税分、地方税分合計で320,300円となるわけです。

単純に前期の消費税の年税額の合計額を12で割って円未満を切り捨てた上で6を掛け100円未満を切り捨てた金額320,500円(100円未満切り捨て)と微妙に違う金額になります。

おかげで、予定申告した消費税の国税分と地方税分の内訳がよくわからず、確定申告で面倒な手間が掛かったり。

結局、国税分も地方税分も同じ申告書で一緒に国に納付するのに、わざわざ分けて記載する意味がわかりません。

「ネット通販の売上高が都心の本社に計上されると地方が不利だから、国税分と地方税分の按分から除外する」だのとよくわからないことも言っていますが、どっちにしろ国と地方の分け前の話なので、「好きにやっていから申告書でわざわざ分けて計算させるな」といいたいところです。

ネット通販、配分計算から除外 政府、消費税の都市部偏重是正へ(SankeiBiz)

なお、確定申告の時に必要なので、予定申告時の国税分と地方税分の内訳がわかる予定申告書は、念のため、できれば取っておくか、内訳の数字を控えておいておください。

中間申告の方法|消費税(タックスアンサー)

 

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