税理士だってこんなお客はお断り

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お客様の盾となるからには

税理士がお客様から求められる主な役割は、一言で言えば、税務署や金融機関など自分自身では対処が心もとない相手に対峙する「用心棒」なのだと思います。

社長が税務署や銀行やときには従業員に対して「自分はいいけど税理士が納得しない」などということで、「社長の盾」となっているわけです。

顧問契約を頂いているお客様なので、全力でやりたいのですが、どうしてもそんな気になれない人もいます。

そこで今回は、お客様も税理士を選ぶことができる以上、「税理士もこんなお客はお断り」という話をさせていただきます。

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申告のスタンスはそれぞれだが税務調査対応のスタンスはみんな一緒

セカンドオピニオンとして顧問税理士が作成した会社の決算書・申告書をいくつも見させて頂いております。

そこで感じるのは、税理士によって申告のスタンスは人それぞれだなと。

ただ、税務調査での対応についてのスタンスはそんなに変わらないはずです。

それは「代理人として全力でお客様を守ろう」ということ。

そもそも、税理士が税務署側に立つメリットなど何一つありません。

そんなことは当たり前のことだと思うのですが、実際にはどうもそうは思われていないという事案を目にすることが多々あるのです。

税務調査で守ってくれなかったという批判は筋違い

税理士に対するクレームの中で意外に多いのが「税務調査の時に税理士が守ってくれなかった。まるで税務署の味方のようですらあった」というものです。

実際に、うちに顧問契約を変更したいという方の中にもそのような理由でいらっしゃる方もいます。

ただ、結論からいうと、それは大きな誤解だと思います。

そのような話を詳しく聞いてみると、「売上除外」や「架空経費計上」などやってはいけない仮装隠蔽行為をしていることも多いのです。

スクラップの売却代金を現金でもらっているのに売上計上していなかったり、配偶者控除を受けたいというパートさんの希望を叶えて家族名義で給与を分散したりと。

本人は「大したことではない」「やむを得ない」ことだと思っているようですが、これらの仮装隠蔽行為は金額の大小にかかわらず大目に見られるようなことはありません。

税務の世界は、グレーゾーンは常に存在しどこまでが白でどこからが黒なのか税理士も税務署も断言はできないので、最終的には「落とし所」を探すような交渉がされることがよくあります。

しかし、この仮装隠蔽行為については、「ミスや見解の相違」のように強気な交渉で有利な落とし所を探すようなことはできないのです。

また「ミスや見解の相違」での修正申告がされたとしても、「履歴に傷が付く」ようなことはまずなく、次回の税務調査までの期間が短くなるようなことも私の経験ではありません。

しかし、仮装隠蔽行為の場合には、「履歴に傷が付く」ため次の税務調査までの期間が短くなることも多い。

それも納税者だけでなく、申告をした税理士の履歴にも傷がつくということなのです。

万一その仮装隠蔽行為を主体的に誘導していたとされれば、税理士は、最悪資格剥奪や逮捕もあります。

要するに、知らないところで仮装隠蔽行為をされるというのは、全力で守ろうと思っていた相手に背中から切りつけられるような裏切り行為なわけです。

そりゃ、内心腹が立って当然でしょう。

ミスや見解の相違であれば、どんな無理筋でもなんとか落とし所を探そうとはするものの、仮装隠蔽ではその余地はないし、裏切られた相手を全力で守れるわけもない。

結果的に、「なんとかしてくれると思った税理士がまるで税務署の味方のようだった」ということになるわけです。

次に言われるのは自分なのでお断りいたします。

仮装隠蔽行為をしていながらも「税理士の税務調査での対応に不満があった」ということは、自分の行為を反省しておらずまた同じようなことをするということでしょう。

中には、よく聞いてみたら税理士に同情したくなるような案件や実際には税理士のほうから顧問契約解除を申し出られたということも。

何度疑問を呈して質問をしても「そんなことはない信じてくれ」と言っていたのに、実際に仮装隠蔽行為が発覚すると「税理士に任せていた」などといい出したりという。

なので、このような方については、顧問契約の締結はその場でお断りするようにしています。

だって、「あの税理士は税務調査で守ってくれなかった。まるで税務署の味方のようだった」と次にうちが他所で言われるだけですからね。

建前を無視して他所で言ったら怒られそうなホンネをぶっちゃけている税理士がここまで言っているんだから、「本当に仮装隠蔽はダメなんだな」と理解してください。

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