話題のKindleで電子書籍を出してみたらこうなった。

隣の相続は、なぜあんなにもめたのか
なぜ隣の相続はあんなにもめたのか
◆なぜ、あえて自己出版で本を出すのか?
「誰でもが本を出せるようになる」と話題の
amazonが提供する「自己出版」KindleDirectPublishing(KDP)
私は、これまでに、単著、共著をあわせて12冊の本を
商業出版で出す機会を頂いております。
ですから、今からKindleで電子書籍を自己出版で
出す理由は、あまりないかもしれません。
それでも、あえて自己出版をしたのは、
・商業出版に乗りにくいテーマの本を出す道を探る
・商業出版に関わる人たちの仕事を自ら体験してみる
という理由によります。
(それに加えて、新しいもの好きということも大きいですが)
そこで、今回は、一人で電子書籍の制作をしてみてわかった、
電子書籍についての仮説と検証について、
まとめてみようかと思います。

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◆電子書籍を出すのは本当に簡単なのか?
「誰でも簡単に本が出せる」というのがKDPの売りなわけですが、
結論からいうと「方法がわかっていれば手続きは簡単だけど、
それを理解するのはかなり難しい」と言うのが実感です。
これから出す方のために私がやった方法を簡単にお伝えします。
最初は、GoogleDriveで執筆した原稿を
形式を指定してダウンロード>ウェブページ(html,圧縮)で変換して、
後はKDPにアップすると言う方法でやってみました。
実は、まだ最終的な校正もしていないような原稿を使って、
練習のつもりでボタンをクリックし続けていたら、
勝手に出版がされてしまったという(汗
その点で考えれば、意外と簡単に登録は出来るということに
なるのですが、この方法でアップしたファイルを
どんな状態で読者が読めるのかという確認が必要です。
読者からお金をもらうのですから当然です。
そのために、amazonでは、
KindlePreviewerというツールを用意しています。
ところが、GoogleDriveから変換したhtml(zip)形式だとなぜか
このツールでは読むことができないのです。
そのため、もう一つKDPが対応しているePubという規格に
calibreという電子書籍管理ツールで
変換して読んでみたところ、フォントや文字サイズ、一行開け
などがグチャグチャになってしまい、
このままでお金をもらうのはまずいと気がついたわけです。
そこで、既に販売状態になっていた本を取り下げようと思ったのですが、
その方法がわからない(涙
そのため、本来であれば、正月休みの時間つぶしにでもやろうと
していた原稿の校正を一日も早くやらなくてはならないはめになりまして。
結局、大慌てでGoogleDriveからテキストファイルに一旦変換した後、
すべてテキストエディタで修正をすることにしました。
なお、テキストエディタで入れた改ページと一行開けは全く反映されず、
Kindleでは改行した箇所で自動的に一行開けて表示されるようになります。
また、テキストファイルなのでフォントや文字サイズは一種類になってしまいます。
(リッチテキスト形式もKDPは対応しているようですが、
calibreやKindlePreviewerで読み取りエラーが出るので断念しました)
このように書くと、それほど難しくないようですが、
ここに至るまでは、何本ものツールのダウンロードをして
試行錯誤をしています。
多くの人は、この時点で断念してしまうのではないでしょうか。
いずれにしても、私は
GoogleDrive→テキストファイル→CalibreでePubに変換→KDPへ
という方法で最終的にこの本をアップいたしました。
なお、calibreでファイルを書き出したためか、
本の名前がローマ字で表示されてしまいますが、
直し方が未だにわからないのでそのままです。
何卒ご容赦ください。

(いつの間にか直ってました)
◆商業出版に乗りにくいテーマの本を出せる?
出版社から印税を頂く商業出版は、本が売れなくては
仕方がありません。
読んだ人にとって役に立つ良い本であることも大切ですが、
それ以前に売れなくちゃどうしようもないわけです。
本が売れるためには、読者の求めに応じることが必要です。
ビジネス書を見る限り、読者から求められているのは
「読後の爽快感」だと言えます。
最近の売れ筋の本を見てもその傾向が顕著であると言えます。
現状の閉塞感から「お金を支払って読書している時くらい
未来に希望が見えるものを」ということなのかもしれません。
そのため、本当に読んだ人に役に立つ情報が記載されているような本だとしても
テーマとして、商業出版に乗りにくいものもあります。
そこで商業出版では出しづらいがどうしても伝えたいテーマの本を
KDPを通じて世の中の人に届ける道が開けるのではないか
ーそんな実験として自己出版をしてみたわけです。
そのため、今回は過去に商業出版を目指して書いたものの
ボツになってしまった相続に関するテーマの原稿を
利用してみました。
相続というのは、雑誌などの記事にはなりやすいが、
一冊の本というとなかなか商業出版にはなりにくいテーマです。
なにせ「読後の爽快感」とは、程遠いですから。
では、実際に目指した目的を達成することができたのでしょうか。
「自己出版で読者にメッセージを届けるくらいなら、
ブログのほうがいいじゃん」というのが結論です。
前述のように、電子書籍を作成するのは思ったよりも大変です。
また、Kindle版の電子書籍を読むことが出来る
ツールを持った人にしか、その本を届けることはできません。
現時点では、対象者は読書好きのヘビーユーザーのみでしょう。
Kindleによりスマホでも本を読めるようになったといっても、
ブログでもそれは可能であり、ブログのほうがより多くの人に
届くことは間違いないのです。
ちなみに、何の告知をすることなく一週間を過ぎての
販売数は、0冊でした(驚
少なくとも「amazonというプラットフォームに乗せることで、
読者に届く可能性が飛躍的に増えるということは全く無い」ということは
しっかりと理解できましたね。
印税についても「紙の印税率は低すぎる。
電子書籍のほうが紙の本よりも印税率が高いので有利」ということに
普通の人がなりそうもないのは、私の販売実績が示す通りでございます。
一部の人を除いて、電子書籍の印税額が
紙の書籍の印税額を超えることはあまりないでしょうね。
このあたりは、出版社から出させていただいた本の
電子書籍版の売上高をみれば、わざわざ自己出版をしなくても(ry
ということで
「読んだ人に役に立つどうしても伝えたいニッチなテーマはブログでどうぞ」
というのが、現時点での感想です。
そのほうがより多くの人に届くし、簡単ですから。
◆一人で本を作れば、なんでも自由に決められる?
商業出版で本を作るということは、著者一人ではなく
編集者やデザイナー、時にはライターなど多くの人との共同作業になります。
TV番組に例えるならば、編集者がプロデューサーで
著者が主演俳優、ライターやデザイナーがカメラマンなどの技術スタッフと
いったかんじでしょうか。
実は、商業出版の場合、著者がなんでも自由に決定できるわけでは
ありません。
もちろん、編集者と著者でお互いの意見はぶつけあうものの
最終的には自分の思いとは違うものになることがあります。
特に売上に大きな影響を与えると言われる
タイトルとカバーデザインについては、意見を求められることはあっても
著者が関与できる部分はほとんどありません。
そこで「自己出版であれば、著者が思い通りの本を作ることができる!」
ということになるのですが・・・。
結論からいえば、ほとんどの場合、
「自由なのは事実だが、自分の仕事だけしていれば良いことに
改めて感謝する」ということになるはずです。
ちょうど、会社に不満をもって、自由に仕事をしたいと
フリーランスになった人が会社をやめて初めて
「会社ってありがたいものだ」と
気がつくようなものでしょうかね。
原稿も自分で手直しをしなくてはなりませんし、
カバーデザインなど自分が作ったものはあまりにダサくて、
途中から「すみません誰か作ってください」と泣きが入ります。
私も紆余曲折の末、WEBから無料の写真画像を引っ張りだしてきて
そこにkeynoteで文字を載せ、JTrimでサイズを調整するというのが
精一杯でした。
本気でKindle版の本を出したいのであれば、
原稿を書く以外の作業は専門業者さんに外注する方が合理的でしょうね。
自分の本に携わっている方々の仕事に改めて感謝をしたいという著者は
是非一度自己出版をしてみてください。
◆電子書籍を読者と著者の両方を体験して感じる紙の本の近未来
電子書籍化が進むことは、出版に関わるものにとってみると
「三方一両損」というより「三方十両損」くらいではないでしょうか。
私も読者としてはKindleには非常に魅力を感じています。
場所を取らない上に、複数の端末間で同期できることにより、
いつでもどこでも本を読めるというのは、紙の本以上に便利なわけで、
紙の本と電子書籍が同じ値段であれば、私は電子書籍を選びます。
そのため、電子書籍主流の時代に移行しても価格はそれほどは
下がらないのではないかと最初は思っていました。
しかし、100円、200円で売られている本の中には、
紙の単行本や新書と遜色のないものもあります。
(中には、無料レポートくらいの内容と分量のものも
たくさんありますが)
今回、私が作った本も元々商業出版用に作った原稿を流用したものなので、
その内容も分量も1200円程度で販売されている単行本と同等以上の
ものであると自負をしています。
それらと一緒に並んだ時には、1000円以上である紙の本を電子書籍化した本が
非常に高いものに見えてきてしまうのです。
確かに内容は良いものなのかもしれないが、100円の本の10倍以上の
価値があるのかと。
また、電子データになってしまうと、無料のネット情報との
比較にもなります。
紙の本というパッケージがあれば有料であることも納得していたが、
スマホで同じように読める無料の情報と比べてそれほどの価値があるのかと。
結果的に、本の値段は低い方に引っ張られて行く事と思われます。
グローバル化による製品単価下落のメカニズムと同様に、
あたかもお湯が入ったコップが割れて、周りの水と交じり合った結果、
ぬるま湯になるようなものでしょう。
値段が下がった代わりに読者数ないし購読数が増えれば
売上規模は維持、あるいは増大していくかもしれません。
しかし、紙の本を読まない人が電子書籍なら読むというのも
電子書籍なら紙の本よりも本をたくさん読むというのも
今ひとつ想像できません。
そのため、出版業界全体の売上のパイは小さくなる可能性が高いので、
出版社も著者も、そして紙の本を取り扱う書店の売上高も下落していくことでしょう。
関係者に得をする人がいないのですから、
日本で急速に紙の本から電子書籍への移行が進むかと言われれば、
疑問もあります。
しかし、読者の要請により、徐々にではあるが確実に
その流れが加速していくのはまず間違いないでしょう。
制作販売サイドが満足な収入を得ることが
できなくなることがもたらすことと、自己出版により
本が濫造されることが、一巡回ってきた時に
読者にどんな作用をもたらすのかは、まだわかりませんが。
一方で、電子書籍から紙の本へという新たな出版ルートも
確立されて来るはずです。
つまり、新人著者はまずは電子書籍で実績を積み、
売れた人に紙の本の出版オファーが来るというもの。
その流れは、徐々に新人著者だけでなく、既に紙の書籍を
出している人にも及び、最終的には
「紙の本を出すのはその道で偉業を成し遂げた人やベストセラー作家のみ」
ということになるかもしれません。
ビジネス書に関しては、本来そうであったものが、
近年、商業出版のハードルが下がってきたため、
私のようなものまで本を出させて頂く機会をたまたま
頂けただけなのかもしれませんけどね。
ということで、電子書籍を一人で出してみて
紙の本を出させて頂く機会をいただけることに改めて感謝をするという。
親に文句ばかり言っていた不良息子が自分が親になってみて
親のありがたみを知るというか。
なんだか日本昔ばなしに出てきそうなオチになりましたとさ。
ということで、料金以上の価値はあると思いますので、
よろしかったら一冊ダウンロードして見てください。
隣の相続はなぜあんなにもめたのか〜”相続のプロ”が自分の親の相続でできなかったこと
隣の相続はなぜあんなにもめたのか〜

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