消費税増税前に駆け込みでモノを買うな

■消費税の二段階増税で駆け込み需要が喚起されそう
平成26年4月と27年10月の二段階で消費税の増税がされることは
既定路線のようです。
二段階で消費税を上げることで、増税の痛みを
和らげようということなのかもしれませんが、
経理の現場には、そのしわ寄せが来ることになりそう。
この上、軽減税率を導入するなどというのは
本当に勘弁して欲しいところです。
さて、二段階で消費税を上げるのは、
「消費税が増税される前にモノを買っておこう」という
駆け込み需要を起こそうという意図もあるように思えます。
前回、消費税が3%から5%に増税される際にも
住宅をはじめとする高額商品の駆け込みでの契約が
多数見られたものです。
確かに、同じ商品を手に入れるのであれば、
消費税額が少なくてすむほうが良いのは当然です。
では、企業経営者であるあなたは、
本当に消費税増税前に駆け込みで商品を購入をしたほうがよいのでしょうか?
今回はその点について整理していくことにします。

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■そもそも事業者は消費税を負担していない
消費税が増税される前に、駆け込みで商品を購入したほうが良いのかを
考えるには消費税の課税の仕組みを理解する必要があります。
消費税は「間接税」と言われています。
これは、納税義務者(申告・納付をする人)と税負担者(税金を負担する人)
がイコールではなく、税負担者の税金は納税義務者を経由して「間接的」に
集められるということを意味しています。
つまり、事業者にとって消費税というのは、その申告・納付はしているものの、
自分が懐を痛めて支払っているわけではないということです。
この事業者が納付する消費税額は次のように計算されます。
納付税額=預かった消費税額-支払った消費税額
消費税11
この算式からわかるように、事業者は、消費税が増税され支払った消費税額
が大きくなったとしても、同じ金額だけ国に納付しなくてはならない
消費税額が減ることになります。
要するに、消費税が増税されても負担増にはならないということ。
元々事業者は、消費税の負担をしないのですから、当然といえば当然です。
ですから、事業者は本来、消費税増税を前に駆け込みで
商品を購入する必要などないのです。
■消費税を全額控除できない人は駆け込みのメリットも
消費税の納付税額は上記の計算式で計算されるのですが、
必ずしもそうでない場合もあります。
(1)免税事業者
設立後一定期間の者や課税売上高が一定金額以下の者に
ついては消費税の納税義務が免除されています。
これらの者は、納付税額が元々0円で変わりがないのに、消費税増税により
支払った消費税額が増えるわけですから、その負担は大きくなります。
ちょうど個人ユーザーと立場は一緒ということ。
実は、消費税の納税義務が免除されるということは、
消費税の税負担者になるということでもあるのです。
(2)簡易課税選択者
課税売上高が一定額以下(基準期間について5000万円以下)の事業者は
通常の消費税の計算式にかえて、簡易課税という方式で
納付する消費税額を計算することができます。
これは、支払った消費税額を集計するのが大変であるという
小規模な事業者の手間を省く目的で、預かった消費税額に業種ごとに定められた割合
(みなし仕入率)を掛けた金額を支払った消費税額とするという方法です。
この簡易課税の場合、納付税額の計算上、預かった消費税額しか見ないのですから、
実際に支払った消費税額は全く考慮されません。
ですから、消費税増税による影響があることになります。
(3)非課税売上割合の低い者
実は、正確に言うと消費税の納付税額の計算で差し引くことの出来る金額は
支払った消費税額の全額ではありません。
あくまでも、差し引くことの出来る金額は、課税売上を獲得するために
要した支払いに対する消費税額だけなのです。
つまり、消費税が非課税である売上を獲得するために要した支払いに
対する消費税額は差し引くことができません。
消費税12
例えば、居住用の家賃は、消費税は非課税です。
その居住用の家賃を獲得するためにマンションを建設したとしても、
マンション建築費に掛かる消費税額は消費税の納付税額の計算上差し引くことができません。
言い換えれば、非課税売上分については、消費税の税負担者になるようなものなのです。
ですから、居住用の賃貸物件のオーナーや学校法人、医療機関など
その売上高に占める非課税売上高の割合が高い事業者については、
消費税増税により自ら負担する消費税が増え、その影響を受けることになります。
これらの事業者は、消費税増税前に駆け込みで物品を購入する
一定のメリットはあるといえるでしょう。
■駆け込み需要の反動で値段自体が下がることもある
消費税増税前に駆け込み需要が喚起されるということは、
消費税増税後に需要減と言う反動が来ます。
通常は、需要が喚起される増税前は値段が上がり、
需要が少ない増税後は値段も大きく下がるはずです。
場合によっては、その値下がり幅が消費税の増税分を
上回るということもありえます。
実際に、エコポイントの時も、制度終了前の駆け込みで
テレビなどの値段が急騰した後、制度終了後に大幅に値段が下落し、
エコポイント制度が終わってから購入したほうが安く手に入れられたと
いうことが多かったと言われています。
消費税増税を考慮する必要があるほど金額が大きい工作機械などは
需要変動でその値段も大きく変わります。
課税事業者には増税の影響がないことを理解していない人も
多いと思われるので、やはり増税前の駆け込み需要は喚起されるでしょう。
頭のいい企業経営者なら、慌てて消費税増税前に購入の契約などせず、
むしろ増税後にメーカーが機械装置などが売れずに困ってから
購入したほうが良いかもしれませんね。
*消費税増税による増税分を価格に転嫁しきれないと言うのは
 別の問題です。

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