節税をする前にこれだけは読んでおいて欲しい!世に言われる節税を3つにわけてみると

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節税をするとお金は増えるのか?減るのか?

「節税はした方が良いのでしょうか?しないほうが良いのでしょうか?」

答えは、節税の目的を見極めて、それにあった節税をするということです。

では、節税の目的とはなんでしょうか。

それは税金という収益に結びつかない支出を減らすことで手許のお金をできるだけ多く残すということでしょう。

つまり、節税とは手許のお金をできるだけ多く残すという「目的」を達成するためのひとつの「手段」であるということです。

それが、社長たちの中にはいつしか手段が目的化してしまい「どうしたら節税ができるのか」という視点だけで意思決定をするような人もいます。

そのために必要のないものを購入したり、税金は減ったもののそれ以上に手許のお金がなくなったというのであれば全くの本末転倒だと言えるでしょう。

これではまるで健康オタクが「健康のためなら死んでもいい」と言っているかのようです。

そこで、今回は手許のお金を残す節税と減らす節税について話をしてみます。

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繰延型節税は単に税金の支払期限を延期する「延べ税」である

節税は、その効果により二つの種類に分けることができます。

一つ目の節税を私は「繰延型節税」と呼んでいます。

これは、今支払わなくてはならない税金の支払期限を翌期以降に延期するものです。

税額を減らしているわけではないので、正確には「節税」ではありません。

「延べ税」と言ったほうがその本質を正しく表しているかもしれません。

実は世に言われている節税対策の90%程度はこの繰延型節税だといってよいでしょう。

多様な金融商品を用いたり一見複雑な取引をしていても、「簿記の原理」に従い、減らされた利益はいずれ利益としてまた元に戻ってきます。

その時に結局課税がされてしまうのです。

その利益を消し去るためにはまた同じような「延べ税対策」に多額のお金を使わなくてはいけない。これでは「節税麻薬患者」でしょう。

そもそも「利益を上げても税金で半分持って行かれる」などとも言われますが、さすがに税金はそこまでは高くありません。

中小企業ではザックリというと、課税される所得が800万円を超えた部分についてはその約30%、課税される所得が800万円まではその約20%の税金が課税されます。

逆に考えると、節税をするために新たな支出をした場合でも、その支払期限を延期できる金額は最大でもその約30%に過ぎないのです。

ですから、節税のための支出をした方が確実に出ていくお金は多く、手許のお金を増やしたいのであれば、支出をしないで素直に税金を支払ったほうがお金は残るということなのです。

では、この繰延型節税がどんなときにメリットを発揮するのでしょうか。

一つは今期利益が出てしまったが来期の業績が不透明で赤字になることもありうる時です。

その場合には来期にも支払う可能性の高い費用を今期に支払うことで一定の効果があります。

例えば、ネットで物販をしている会社が広告費を掛けてメルマガなどの読者を獲得する、あるいは通販用のサイトをいくつも構築しておけば、これらの費用を支払った時点ではすべて損金になります。

将来そのメルマガや通販サイト経由で一定の収益を生むことが期待できるでしょう。

もちろん、その収益が発生した時点で税金は掛かるので、その効果は費用を先取りできたということに過ぎません。

それでも、来期の費用を今期に計上することで来期の負担が小さくなるとともに利益の出ているうちに将来の布石を打つ効果はあります。

しかし、これも「いくら利益を減らすためにいくら広告を掛けたらいいのか」というような逆算をするのでは、あのピーター・ドラッカーも「税制から経営の意思決定をするのは最悪の意思決定である」というようにまさに目的と手段が入れ替わったものになってしまうので注意が必要です。

加えて「合法的に損益計算を歪めたい時」にも効果を発揮します。

例えば自社株を譲渡する際の株価を下げるため、一時的に業績を悪化させたいというのであれば、この繰延型節税対策であっても効果はあるでしょう。

永久型節税でうまく手許のお金を残す

二つ目の節税は「永久型節税」です。

この節税は、一旦手に入れた節税効果は、特別なことがなければその効果が取り戻されるようなことはありません。

その意味ではまさに「節税」であるといってもよいでしょう。

この永久型節税は次の三つのパターンに分けることができます。

(1)過去の失敗の取り戻し

これは「不良資産」「不良債権」「不良在庫」などという「過去の失敗」を処分することです。

これにより、今期の利益を減らすことになるので、結果的に税金の支払は小さくなります。

この効果は将来取り戻されることはなく、追加の支出も必要ありません。

そのため、この節税により確実に手許のお金は余計に残ることになります。

加えて全体の資産が小さくなるので同じ利益を今後上げても会社全体の「利回り」は上がり、金融機関からの評価も上がります。

「ひょっとしたら回収できるかも」と思いがちで、なかなか過去の失敗を認めるのは勇気のいることですが、過去の失敗はスッパリ忘れて少しでも税金で回収してしまったほうが良いでしょう。

(2)政策的な優遇

これは、国が本来よりも税負担を軽減することである取り組みをする人に恩典を与えようというものです。

例えば、一定の設備投資等を行った時には一定額の「税額控除」が認められていますが、これもこの政策により企業の設備投資を促進しようとしています。

節税の効果が後で取り戻されるようなことはありませんが、その元となる設備投資には多額の支出を伴います。

実際にこの設備投資が費用対効果でベストであると選んだものであれば、当然積極的にこの節税は行ったほうが良いでしょう。

一方で、この節税をするためにそれほど必要でもない設備投資をしたのであれば決して全体として正しい選択であるとは言えません。

(3)課税構造の違いを活用

稼いだ利益を自由に使えるお金にするには必ず何らかの課税をいう「ゲート」を通らなくてはなりません。

どうせ通らなくてはいけないのであればその負担の小さいところを通りたいものです。

そこで「法人税と所得税」「日本と海外」などの課税構造の違いを活用し、できるだけ税負担が小さくなるようにして課税という「ゲート」をくぐろうとします。

例えば、法人税と所得税では税率の構造が違います。

ザックリといえば課税される所得が小さいうちは個人で課税されたほうが税率が低いものの、所得が大きくなると法人で課税された方が税率が低くなります。

さらに、役員報酬からは「給与所得控除」という概算の経費が差し引かれた上で課税がされます。

このような仕組みを上手く理解し、法人個人を通じてもっとも税負担が小さくなるような役員報酬額を設定するのもこの節税策です。

また、事業部ごとに会社を「分社する」こともこの課税構造の違いを活用した節税の一つです。

中小企業の場合、課税される所得が800万円までは約20%と、本来の税率である約30%よりも優遇されています。

この課税所得が仮に800万円以上の会社であれば、事業部ごとに分社することによって800万円までの軽減税率を1社ごとに受けられるのでその分トータルの税負担は小さくなります。

もちろん、税負担のためだけに分社政策を取るのは本末転倒ですが、その事業をいずれ第三者や責任者に譲渡する、あるいは将来子供たちに事業を分けて相続させたいなどの理由があるときには選択してみると良いでしょう。

いくらでも試合のルールを変えられるゲームで勝てるのか?

私は節税コンサルを専門とする税理士としてバブル期にはたくさんの節税対策を提案してきました。

正直に申しますが、中にはその後の税制改正により当初期待した効果がなくなってしまい、節税対策が無駄になってしまったこともあります。

もちろん、提案をしている時点では大きな効果が見込まれていたものばかりです。

税法が対象としているのは経済取引そのものです。

その経済取引は進化が激しく新たな商品・サービスが次々とうまれるため、すべての事柄について法律でその取扱を定めることが間に合いません。

そのため、「法律の盲点」ができてしまいます。

その法律の盲点をつくことによって税法が予定していない節税効果を得ることも出来るかもしれません。

しかし、その法律の盲点はいつまでも盲点ではないのです。

一方、節税効果を得るには多くの場合、節税のための対策をしてから実際の効果が確定するまでには長い時間を要します。

その間に、法律の盲点であったものは、法律改正の狙い撃ちに合うわけです。まさに、国はサッカーの試合の途中で負けそうになると「今のゴールはなし。ルール変えたので」という言う事を平然とやってくる力を持っているということです。

事実、最近でも「マンション購入時の消費税還付の抜け穴」や「法人契約の生命保険を個人に譲渡することについての税法の曖昧さ」をついた節税対策がターゲットにされ、その効果がなくなったばかりです。

節税対策は、一見華やかな節税の効果に惑わされることなく「ルールをいつでも変えられる相手」との勝負に勝つというのは相当大変であるということを頭において行う必要があるのです。

<出典>
つぶれない会社に変わる! 社長のお金の残し方
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