消費税、税務申告上有利なのは税込経理?税抜経理?

税込・税抜どっちも選択が可能

消費税の経理処理については、消費税額を含めた収益、費用の額で利益計算をする「税込経理」と消費税額を含めない収益、費用の額で利益計算をする「税抜経理」の2つがあり、どちらも選択することが可能です。

なお、税込経理であっても税抜経理であっても、「原則として」最終的な利益は同じになり、消費税の納税額も変わりはありません。

つまり、どちらを選んでも損得はないのですが、「部分的に」税務上処理が異なる点があるのです。

そこで、今回は、消費税について、税込経理と税抜経理では、どっちが税務的に「お得」なのかを考えてみることにします。

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税込経理、税抜経理の会計上のメリット・デメリット

まず、税込経理と税抜経理の会計的な違いを見ると、税込経理であれば、いちいち消費税額を分けて計算しないため、経理処理はカンタンだとは言えます。

ただ、実務上は会計ソフトが計算をすることが多いので、その場合には、どちらの経理処理でも、手間は、さほど変わらないでしょう。

なお、税込経理は、売上、経費とも消費税を含めた決済金額をベースに計上がされるため、資金繰りの感覚と一致します。

しかし、税込経理だと消費税率が変わった時に、同じ売上高であっても、金額が異なるので、正しい前期比較がしづらいという問題もあるのです。

一方、税抜経理であれば、そのような税率変更の影響もないこと、期中にすでに計上された「仮受消費税」と「仮払消費税」の差額から、現時点で納税すべき消費税額の目安を付けやすいというメリットがあるのです。

税込ならば未払計上有り無しの選択が可能

税込経理であれば、売上高にも経費にも消費税額が含まれているため、計算される利益は、税抜経理よりも大きなものになります。

しかし、そこから納税すべき消費税額を「租税公課」として当期の費用にすることで、税抜経理の利益と一致します。

ところが、税務上、消費税の損金算入時期は、原則として、消費税の申告書を提出した時点であり、例外として、損金経理をして未払い計上をしたら当期の損金とすることもできるとされています。

つまり、税込経理であれば、当期の消費税について、翌期の損金とすることと当期の損金にすることのどちらかを選択できるということです。

そして、この消費税の損金算入時期については、毎期変更が可能です。

正しい業績判定を行うためには好ましくはありませんが、業績が良ければ未払い計上をして当期の損金とし、業績が悪ければ未払い計上をせず翌期の損金へと先送りするという利益操作の余地があるということなのです。

これが税抜経理であれば、そもそも消費税額が利益には影響がないので、そのような利益調整の余地はないことになります。

税抜経理ならば修正申告時に法人税の減額が可能

さて、税務調査で、本来消費税の控除対象ではない居住用の家賃などについて、誤って控除対象としていたことを指摘されたとします。

税込経理であれ、税抜経理であれ、追徴される消費税額に変わりはありません。

しかし、消費税の損金算入時期は、原則として、消費税申告書の提出時期であり、例外として、当期の損金とすることはできますが、会計上、未払い計上をした場合に限ります。

そうなると、この消費税の修正申告に伴う追徴税額については、その修正申告書を提出した期で法人税の計算上「租税公課」として損金算入されます。

今から損金経理をして会計上の未払い計上はできないので、その消費税の誤りがあった期の損金として、その期の法人税の課税所得を減らすという処理はできないのです。

一方、税抜経理であれば、同様に消費税の追徴税額があった場合、その時点の損金に算入すべき金額が過小に計上されていたことになります。

例えば、100万円の居住用の家賃をした場合、本来、法人税の課税所得の計算上、100万円が損金算入されていなければならないのに、実際に損金に算入されていたのは、約90万円(消費税率10%として)ということです。

そのため、税抜経理であれば、消費税の修正申告をした期間について、その期の法人税の課税所得から消費税の追徴税額分が控除され、法人税等が還付がされるのです。

要するに、法人税の実効税率が30%とすれば、税込経理の場合、その消費税の追徴税額100円のところを、税抜経理の場合、税務調査による実質的な追徴税額は70円(100円×70%)になるということです。

もちろん、税込経理であれば、消費税申告書の提出をした期の法人税が減額されるので、トータルの税負担は、どちらも同じです。(ただし、どちらの期の課税所得に対する税率も同じであれば)

ですが、実質的な追徴税額が少ないということは、資金繰り上も心理的な負担も小さいということはあるでしょう。

この他にも、交際費や少額減価償却資産などその支出額に上限金額がある場合、その金額は税抜経理であれば税抜金額で、税込経理であれば税込金額で判断をされます。

その点からすると、税抜経理のほうが、若干ですが、税務上有利な点があります。

それに加えて、免税事業者はそもそも税込経理であり、簡易課税事業者は税抜経理は選択できるものの馴染まないことからも、一般的には、小規模な事業者は税込経理を、ある程度事業規模の大きくなった会社は税抜経理を選ぶ傾向があるといえるでしょう。

あなたの会社がどちらのほうが合うのかを検討の上、選んでみてください。

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