SNSをビジネスで使う上で「やらない」「書かない」と決めたルール

SNSをビジネスで使うには

twitterを始めたのが2009年の7月。気がつけば10年以上もtwitterを使っていることになります。

一時期、ブログよりもずっとカンタンに情報発信できるとその利用の比重を高めましたが、今は、twitterではブログの更新を案内する程度。

利用者も多くなるに連れて、「本来出会う必要もない人」にまで接し、どうにも噛み合わない議論もあったりとする中で、twitterやfacebookといったSNSは、何をしても自由であるがゆえに、ビジネス上の集客に役立てようというのであれば「これはやらないほうがいい」ということも見えてきました。

そこで、今回は、SNSをビジネスで使う上で私が定めた「書かないこと」「やらないこと」というルールについて話をしてみようと思います。

なお、あくまでも「私の仕事の仕方では」というお話です。

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SNSのメリットは単純接触効果、デメリットは時間泥棒

会合やセミナーなどでお会いした方に、良い印象を持っていただいたとしても、スイッチングコストの高い税務顧問契約をすぐに受託できることは少ないです。

人は、「いつか顧問契約をしよう」と思っていても、徐々にその関心はなくなっていくもの。

しかし、それらの方と、SNSでの接触を通じることで後日契約につながることもあるでしょう。

やはり、SNSは「人は接触頻度が高まるにつれて好意を持つ」という「ザイアンス効果」(単純接触効果)を得るのに有力なツールなのです。

一方で、SNSは「時間泥棒」と言われるほど中毒性が高く、人によっては無駄に時間を費やしがちです。

「いや、移動時間などの空き時間でやっているだけだ」などと言っているかもしれませんが、実際には、SNSが気になって仕方がなく、暇さえあればスマホを確認しているのではないかと。

特に、どうでも良いことなのに知らない人と議論になると、イライラして仕事に集中ができないということもあるのでは?

少なくとも私自身はそうでした。

では、SNSのメリットを得ながら、デメリットを避けるにはどうしたら良いのでしょうか。

SNSで「やらないこと」ルール

(1)業務時間内には投稿しない

税理士が顧問契約を頂くということは、「いつでも何度でも相談ができる」ことをお約束していると思っています。

そのため、本来24時間いつでもサービス提供をしなくてはいけない。

そのために、時間に関係なく頂いた質問のメールには極力スピーディに回答をしていますが、さすがに24時間はキツい。

そこで、最低限ビジネスアワー(平日の9:00-17:00)は「お客様にお売りしたもの」として、業務上の告知を含めてSNSへの投稿はしないようにしました。

少なくとも業務時間は、まずはご契約を頂いている「既存顧客のためのもの」であるという姿勢をきちんと示したいということです。

(2)お客様からの質問が残っているうちは投稿しない

同様に、お客様からの質問で回答の終わっていないものがあるうちは、業務時間外であっても、質問への回答を優先し、SNSに投稿はしないことにしています。

もし、そのお客様にSNSへの投稿を見られたら、「その前にこっちの質問に答えてくれ」と思われてしまいますから。

(3)仕事でトラブルがあった日には投稿しない

特に注意しているのが、仕事でトラブルがあった時。

私は、納期遅れと言うのは未だに起こしたことがありませんが、仕事でトラブルがあれば、その対応を最優先するのは当然ですし、自分に非があるのなら、しばらくはSNSへの投稿は自粛します。

仕事を頼んだ人が、多忙だといいながらSNSに今言わなくてはいけないとも思えないことを投稿しているのを見ると、私自身も「そんな時間があれば、頼んだ仕事を先にやってくれよ」と思いますし、それで納期遅れを起こされたりすれば、いつも以上にイラッとします。

ましてや、トラブルを起こした日に楽しく宴会などしていたら「こいつ全然反省してないだろう」と思うわけでして。

たとえば、半年も前に依頼したセミナーのレジュメ作成をもう告知も済んだ開催直前に「私にはできない」と言ってゼロ回答でぶん投げられたとして、「なんで石垣島での休暇中に尻拭いをせねばならんのだ」「”ポモドーロで仕事に集中”だとか寝言を言うなよ」という思いを押し殺し、大慌てでレジュメをつくっている最中に、twitterで「今日は女子会でお寿司!」などと当の本人が楽しそうにしている写真が流れてきたら、怒りの炎は10倍に膨れ上がるというものです。

それでも、わざわざセミナーで何を話すべきかレクチャーしたのに、私がつくったそのレジュメをそのままパクってライバル企業でセミナーやろうとするとか意味わからんです。

いや、これはあくまでもたとえですよ。

これでは、なんのリターンもないのにSNSの利用により「ミスをした時の依頼人の怒りが倍増する」というリスクを高めていると言ってもよいでしょう。

そのため、SNS利用について、上記のような時間的な制約を設けるようにしたのです。

SNS「書かないこと」ルール

(1)お客様が特定できるような内容は投稿しない

税理士には守秘義務がありますので、お客様が秘匿している情報を外へ漏らすことはできません。

仮に某◯◯などと書いたとしても、読んだ本人が自分のことだとわかるようなことを許可なく書き込んでいたら「信用ならない奴」だと思われるのでそのような投稿は絶対にしません。

もちろん、プラスの要素でお客様も喜んでいただけるであろうことなら、ちゃんと相手先を特定した上で書きますよ。

(2)過去を含めたお客様への批判は投稿しない

仮にお客様に納得のいかない言動をされたからといって、顧客への不満を相手を特定せずともSNSに書き込むようでは、それを見た人は「ああ、この人と顧問契約をしても自分もそのように扱われるのか」と思われるはずです。

そういう話は誰もが見られるSNSにはしないでクローズドのLINEでしましょう。

(3)専門外のことには意見をしない

専門外のことには、事情をよく知らずに事実誤認や「浅い」コメントをしてしまうこともあるでしょう。

そうすると「この人は自分の専門分野もこの程度の知識で話をしているのか」と思われかねないので、他人の専門分野にはちょっかいを出さないようにしています。

(4)意見が分かれそうな事に意見をしない

意見が分かれそうなことに自分なりの強いメッセージを送れば、当然ながら反対意見を受けることになります。

SNSは言葉足らずになりやすく、表情が見えないため、直情的なやり取りになりがちです。

仮に、論破したところで相手の恨みを買うだけですし、感情的にヒートアップして議論をしている姿は、傍から見ていてあまり格好良いものではありません。

また、お客様の中にも、賛否両論の人がいるわけですから、その中で安全な立場を取るには何もコメントをしないのが一番でしょう。

もちろん、自分の仕事への姿勢を明らかにするためには、他者の意見に真っ向反論することも時には必要です。

ただ、それを行うのは、それで得るものが失うものよりも大きいことに確信を持てた上で、SNSのようなフローの媒体よりは、ブログや自身のサイトのようなストックとして蓄積される媒体に書いたほうが良いのではないでしょうか。

(5)業務に関する個別の質問に回答しない

SNSで税理士が税金などのトピックについてコメントをしていれば、中には個別の税務についての質問を投げかけられることもあります。

その質問に答えることで親近感をもって、顧問契約に至るというのであれば、まさに正しいSNSの集客への活用法と言えそうです。

これは、初回相談を無料とするのと同様、新規顧客獲得のためには有用な手法です。

では、既存顧客から見るとどうでしょう。毎月お金を払う既存顧客にとって新規顧客向けの無料キャンペーンはあまり気持ちのいいものじゃないはずです。

同様にSNSで丁寧に無料で税務相談などに応じている姿をみれば、毎月の顧問料をお支払いいただいているお客様は、「うちはなんなんだよ」といいいたくなるのではないかと。

ですから、SNS上で投げかけられた業務に関連する個別の質問には一切解答は致しません。

なお、既存のお客様からのご紹介のないお客様からの初回面談も有料です。

うちは、一貫して既存顧客優先の「えこひいき戦略」を採用しております。

(6)多忙のアピールはしない

私自身「忙しい」という言葉は禁句にしています。

この程度でもう弱音を吐くのかと自分のキャパシティの小ささを大声で宣伝しているようなものだと考えているからです。

それでも、自分では一度も多忙であると言ったことはないつもりなのに「忙しそうなので、仕事を頼んでよいのか躊躇した」などと言われるのは、必死に隠している自分のキャパシティの小ささを見透かされてしまっているのでしょう。

既存顧客にみられていることを意識したSNS活用を

では、この他にも「家族については触れない」「診断や名言シェアはしない」「誕生日のお祝いメッセージは送らない」などいくつかルールを決めた結果、どんなことを私は投稿しているのか?

実は、試行錯誤の結果、twitterはブログの更新告知のみ。facebookはブログの更新告知とテニスをしている話と飯を食った話ばかりです。

これならば、誰からも怒られることは少ないのではないかと。

ああ、「遊んでばかり」「いいもんばかり食いやがって」という人は、そもそもうちと”相思相愛”にはならなそうなので無視してます。

では、そんなことにビジネスとしての意味が本当にあるのでしょうか。

「単純接触効果」というのはそういうものです。「いいことをいうな」などと思わせる必要もなく、とにかく目に触れればそれでいい。無理に刺激的なことを言って誰かの反感を買う必要はないのです。

なので、ぶっちゃけた話、人の投稿にずっと「いいね」をつけまくっているだけでも、それなりに単純接触効果は見込めるものなんです。

それに、ちゃんとプロとしての知識については、ブログの更新告知をしていますし、かといって、そればかりでは「売り込み感」が強くなりすぎですから、これくらいで丁度いいのではないかと。

では、実際にSNSでの集客の成果は上がっているのか?

お客様からの紹介や書籍・ブログで直接面談をお申し込みになるケースのほうが圧倒的に多いですが、全く面識のない人とSNSを通じて顧問契約をしたことは一度もないものの、会合やセミナーでお会いして名刺交換をした後、SNSでの交流を通じて顧問契約に至ったケースは、SNSをビジネス用として利用する価値が十分あるといえるほどたくさんありますよ。

まさに「SNSで新たに見込み客を作るのではなく、既に接点のある見込み顧客の取りこぼしをなくす」という目的通りの成果です。

* *

顧客が生涯でもたらす利益である「ライフタイムバリュー」が大きく、経験を蓄積するほど生産性が高まる「経験曲線効果」も大きい税理士業務では、対既存顧客のほうが対新規顧客よりも「時間あたりの稼ぎ」は明らかに大きくなります。

ならば、新規顧客獲得に目を向けすぎて、それ以上に既存顧客の満足度を下げたら何にもならない。

SNSでの新規顧客獲得は、既存顧客の目にも止まっていることをお忘れなく。

情報発信というものは、書籍、ブログ、facebook、twitter、ステップメールなど、それぞれのツールを何の目的で利用するのかを体系的に設計して行わないと、むしろ害にもなりかねないということなのです。

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