税理士が独立して体を壊さないために必要なたった一つのこと

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憧れのフリーランス?

組織に属して仕事をする人の中には、フリーとなって働くことで対人関係の煩わしさもなくなり、時間の制約もないので、ストレスのない仕事ができると思っている方もいるようです。

確かに、それは半分正しいことですが、半分正しくはない。

事実、ストレスは少ないであろうフリーランスがストレスのため体を壊してしまうことも多いようです。

そこで今回は、どうしてそうなるのか、どうしたらそうならないのかについて考えてみようと思います。

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「26歳、支部史上最年少の独立」という裏で

私が独立をしたのは平成6年、26歳の時。

当時、所属の税理士支部史上最年少の独立と言われていました。

将来独立を考えるような勤務税理士から見れば、とても華々しいもののように思えるかもしれません。

しかし、実際は、所属していた大手の会計事務所を勢いだけで辞めてしまい、自信満々で次の職場を探してみたものの
「あなたのような人がお客を奪ってやめるので一番怖い」といわれて次々面接に失敗。

結果的に、独立するしかないところまで追い込まれた、いわば「強制独立」だったわけでして。

さらに、退職間際に牡蠣にあたったと思われる嘔吐で病院で点滴を受けたものの、胆嚢の動きが悪くなり、半年間も慢性的な胃痛に悩まされるという最悪のデビューだったのです。

当然、お客様などいません。

事務所に行っても仕事がないので、スーツを着ながらゲームセンターに向かい、減りゆく預金残高をみながら「この独立ごっこがいつまで続けられるのか」と不安でいっぱいの日々を送っていたわけです。

そんな日々が三ヶ月くらい経過した後から、幸運にも過去にお世話になった人たちをはじめ、次々に顧問契約を頂き、
独立1年目を終えた時点では、勤務税理士時代の年収の3倍程度の所得があり、なんとか「食っていくことはできる」という状態にはなりました。

集客に苦しむ最近独立した税理士から見れば、嫌味なほど順風満帆に見えるかもしれません。

しかし、実際はそうでもないです。

それだけ、急激に仕事が増えると、仕事をこなすのが大変です。

独立当初から掲げたコンセプトが「専任担当のコンシェルジュ型税理士」というものであり、「私自身を買って欲しい」とアピールをしていたのですから、職員を増やして対応をするということはできないのです。

実は大して働いていないのに、体が疲れる

このように言うと、激務をこなしていたかのように思いますが、独立当初の作業時間を見ていると、今のほうがはるかに多くの業務をこなし多くの時間働いています。

このことは、独立当初より、どの顧客にどれだけの時間の作業をしたかを記録しているのでそのデータを見れば間違いがないのです。

しかし、その当時のほうがはるかに仕事がキツいと思っていました。

それは、なぜでしょう。

その答えは「時間配分が下手だった」ということです。

まず、その前提にあるのが、私自身の「税理士としてのキャパシティの小ささ」です。(私が自分のキャパシティの小ささをアピールしているものだと「忙しい」という言葉を禁句にしているのもそのためです)

今であれば、トラブルや事例のデータベースが経験となって頭の中に蓄積されているため、多少の突発事象ならば「ああ、ハイハイ。それならなんとかなるだろう」と思えるのですが、その当時はそんな余裕がありません。

ちょっとした、トラブルや変更であっても一大事に思えてしまっていました。

「やっとひとつ解決したと思ったら、お客様から別のトラブルの電話が掛かっている」

ーなんだか、連続ドラマのようだと当時は思っていたものです。

そんなキャパシティが小さい状態だと、トラブルが起きても慌てないように仕掛りの仕事を0にしておかないと不安で仕方がなくなってきます。

そのため、仕事が来ると期日はずっと先なのに、夜中までかかって仕上げてしまい、翌日まるで仕事がないと言う状態になるのです。

これは、非常に体が疲れます。

実際の作業量や仕事をしていた時間の割には疲れます。

時間あたりのパフォーマンスを最大にしたければ、できるだけ繁閑の差を小さくする必要があるのです。

そのため、新規の仕事が入ったりトラブルが起きても良いように自分が安心出来るだけの十分なバッファを用意しながらも、その日にやっても良い仕事の量を決めるというルールを作りました。

「今日はここまで。ここからは明日」と無理に資料をしまってしまい、キャビネットに鍵をかけて帰ったくらいです。

今では、仕事を先送りすることなく、いかに早く仕事に取り掛かれるかという工夫を一生懸命しているのですから、全く逆だと言えます。

このあたりは、仕事量と自分の心のキャパシティの大きさとのバランスで変えていく必要があるのでしょう。

お客様の問題を自分の問題としてはいけない

「顧問税理士がお客様の問題を自分の問題であるかのように真剣に取り組む」

ーなんとも、素晴らしいことのようにも思えます。

しかし、これは間違いだと私自身は思っています。

実際、独立した当初から数年間、そのように捉えて一生懸命仕事をしていました。

お客様にトラブルがあれば、夜中に起きてその対処法をレポートにしてまとめたり、想定問答集を作ったりしていたものです。

ただ、これはかなりしんどいです。

もし、これを徹底的にやろうとすると、その税理士が顧問先の数だけ会社経営をするようなものになってしまいます。

結果的に、私は独立して3年足らずで再度胃を痛めてしまいました。

ストレスで一年中下痢も止まらず、どこのトイレが一番近いかを把握しながら車に乗るという日々が続いたのです。

その時に「お客様の問題はお客様の問題で、自分の問題ではない」と常に考えることにしました。

こういうと、なんだか懸命に仕事に取り組んでいないかのようにも聞こえます。

しかし、一生懸命仕事をすることと自分の問題として捉えるというのは別問題なのです。

たとえば、業績不振で会社が立ち行かなくなったとします。

その時に、できるだけ早い時点で、ダメージの少ない再起を図るために「受け身」を取る対処をする必要があります。

ただ、当事者は冷静さを失いその判断は上手くできず、多くの場合、手遅れになります。

選択肢がなくなりニッチもサッチも行かなくなってから「あの時決断しておけば」と後悔をするのです。

そんな時に、顧問税理士までもが、当事者かのように自分の問題として捉えてしまっては判断を間違えてしまいます。

この状況で顧問税理士に必要なのは、熱血漢の情熱ではなく、事実を冷徹に見渡すクールさです。

一見冷たいようですが、顧問税理士は外から冷静にものを見るためにも、「この問題は自分の問題ではない」と言い聞かせることが重要なのです。

病気や事故に備えたセーフティネットも必要

独立すると、本当に体が資本になります。

いくら有能だとしても、体を壊してはその能力を発揮することができません。

そのスキルを期待しているお客様の期待にも応えることもできません。

もちろん、いくら注意しても不幸にして体を壊すことはあります。

ですが、自分の働き方で体を壊すリスクを軽減できるのであれば、リスクの高まる方法を選択しないことは、自分のためであり、お客様のためでもあるのでは・・・

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そうは、言っても不可避の病気や事故はあります。

そんな時のバックアップ体制を用意しておくことは必要でしょう。

そこで、私たちは同じ理念の税理士・会計士の連合体を作り、お客様の不安と不満の解消に努めているのです。

その一環が、傘下税理士事務所のお客様たちを一同に集めたアライアンスLLPセミナーなわけで。

とか、言いながら自分たちが楽しんでいるだけではありますがね。

「あの税理士と契約していると楽しい」っていうのも、選ばれるために大切なことじゃないですかね。

こんなことしている税理士がいるのかと、ご興味があれば、遊びに来てみてください。

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