税務調査で修繕費や消耗品費にしていたものを固定資産だとされたときの修正申告が面倒くさい|資本的支出、翌期以降の後始末

税務調査でよく指摘される減価償却超過

税務調査でよく見られる事項に、消耗品費や修繕費があります。

なぜなら、その支出額などにより、有形固定資産に計上すべきとされると、本来有形固定資産としての減価償却費を超えて損金に算入されている部分については、「減価償却超過」として法人税法上課税所得に加算せよということになるから。

問題は、その翌期以降の処理です。

というのも、法人税法上有形固定資産に計上すべきとされた金額については、会計上は既に消耗品費や修繕費として計上されているので、翌期以降、減価償却費は本来計上されません。

しかし、法人税の課税所得の計算上では、損金に算入がされることになるのです。そのギャップを埋めなくてはならない。

では、この税務処理はどのようにするのか。実際に修正するのは税理士ですが、その面倒くさい問題の概要についてお伝えすることにいたします。

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翌期以降の減価償却超過認容処理

例えば、修繕費として費用計上したものの、実際には、価値が増加した部分もあるとして100万円は建物として資産計上せよとされたとしましょう。

この建物の耐用年数を20年、定額法で償却率を0.05、支出したのは期首であるとすれば、減価償却費は1,000,000円×0.05=50,000円となります。

その場合には、税務調査で以下のような修正申告が求められます。

建物 1,000,000 / 修繕費 1,000,000

減価償却費 50,000 / 建物 50,000

つまり、950,000円(1,000,000円ー50,000円)を「減価償却超過」として損金不算入、所得に加算するということです。

では、翌期以降はどのような処理をするのでしょうか?

次の2つのパターンが考えられます。

会計上の利益は修正せず、法人税の課税所得のみで調整

あくまでも、支出時に損金算入できないといっているのは、法人税法だけであるため、会計上費用として処理をしたことは修正せず、法人税の課税所得の計算上だけで調整をします。

さて、上記の資産は、会計上は費用として処理がされており固定資産には計上されていません(帳簿に計上されていない資産なので簿外資産といいます)。

ですから、上記の簿外資産の減価償却限度額分だけ減価償却費が不足することになります。

過年度で減価償却費の超過があるときに減価償却不足が生じる場合には、その減価償却の超過額について不足金額に充当することができるのでその分減価償却費の追加計上が可能です。

ですから、法人税法上の課税所得の計算上、上記の簿外資産についての当期分の減価償却費を会計上の利益から差し引くことが可能です。

こんな説明するとややこしいですが、要するに、会計上で簿外とされた資産の減価償却費の追加計上が可能。なので、法人税の課税所得の計算する際には、会計上の利益からその簿外資産の減価償却費50,000円を「減価償却超過認容」として減算するということです。

なお、減価償却費が損金に算入されるためには、「償却費として損金経理をした金額」であることが要件とされており、本来、会計上費用として減価償却費が計上されたものしか、法人税の課税計算上も追加で計上できないように思えます。

しかし、「法人が減価償却資産の取得価額の全部又は一部を資産に計上しないで損金経理をした場合、減価償却に関する明細書にその計上しなかった金額を記載して申告調整をしているときは、その記載した金額は、償却費として損金経理をした金額に該当するものとして取り扱う」とされているので法人の課税所得の計算上、減算が可能になるのです。

また、「償却費として損金経理をした金額」には、法人が償却費の科目をもって経理した金額のほか、損金経理をした次に掲げるような金額も含まれるものとされています。

(1) 減価償却資産の取得価額に算入すべき付随費用の額のうち原価外処理をした金額

(2) 減価償却資産について圧縮限度額を超えてその帳簿価額を減額した場合のその超える部分の金額

(3) 減価償却資産について支出した金額で修繕費として経理した金額のうち資本的支出の規定により損金の額に算入されなかった金額

(4) 無償又は低い価額で取得した減価償却資産につきその取得価額として法人の経理した金額が取得価額に満たない場合のその満たない金額

(5) 減価償却資産について計上した除却損又は評価損の金額のうち損金の額に算入されなかった金額

(6) 少額な減価償却資産(おおむね60万円以下)又は耐用年数が3年以下の減価償却資産の取得価額を消耗品費等として損金経理をした場合のその損金経理をした金額

(7) ソフトウエアの取得価額に算入すべき金額を研究開発費として損金経理をした場合のその損金経理をした金額

そのため、損金として処理していたものが有形固定資産であるとされた場合、その事業年度分について会計上減価償却費が計上されていなくても、減価償却費相当の損金算入は認められるのです。

償却費の損金経理|タックスアンサー

この作業を通じて、結果的に修正申告で追徴課税された分が、その後の法定耐用年数の期間で取り戻されるということになります。

しかし、この作業はとても面倒ですし、長期間に渡り税務申告上での管理・修正をしなくてはなりません。

では、どうすればもっとシンプルに調整ができるのでしょうか?

会計上前期損益修正益を計上し、通常通りの減価償却をする

税務申告のため確定した決算の利益をさかのぼって修正することはできませんが、翌期において「前期損益修正」として、会計上の利益を修正することは可能です。

具体的には、前期において、本来よりも減価償却超過950,000円分だけ利益が過少に計算されていたのですから、当期においてその金額だけ「前期損益修正益」を計上します。

これにより、当期の会計上の利益は950,000円増えることになり、そのまま法人税の課税所得も950,000円増えて法人税が課税されることになります。

しかし、既にこの減価償却超過については、修正申告で追徴課税をされているので、これでは、二重に課税がされてしまいます。

そこで、二重に課税されることを防ぐため、法人税の課税所得の計算上、950,000円を「減価償却超過認容」として減算をします。

これで、法人税の課税所得は、会計上で前期損益修正益が追加計上される前の金額に戻るわけです。

では、この建物の減価償却費はどうすればよいのでしょう?このままでは、950,000円の減価償却超過分が損金に計上される余地がありません。

それについては、固定資産台帳にこの建物を追加し、会計上で減価償却限度額までの減価償却をしていけばよいでしょう。

こうすることで、固定資産とされた分について毎期減価償却を実施しながら、法人税の申告書上の減価償却超過の受け入れは翌期一度だけでよくなるのです。

直前期以外の修正はその他の期への影響も

直前期の修正であれば、これで済みますが、例えば三期前の修繕費の支出について固定資産だとされるとその事業年度だけでなく、直前前期、直前期の課税所得について、そこから派生する法人事業税の金額までを考慮した修正をする必要があり修正申告がとても面倒くさくなります。

金額がさほど大きくもない消耗品費や修繕費についても固定資産に計上しろと言われることも多く、「どうせいつか損金になるものをうるせえなあ」と言いたい気持ちをグッとこらえて、「面倒くさいけど、別に返ってくる税金だし、それで税務署が納得するならいいか」と日々税理士は税務調査に臨んでいるのですね。

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