ここはヤバいぞ!踏み倒されないために知っておきたい倒産する会社の予兆

得意先から決算書なんか入手できないよ

「危ない会社の見分け方」として、決算書の数字を分析して倒産するか見極めるという話はよく出てきます。

ただ、会社に倒産されて一番困るのは、その会社の当事者以外では、商品やサービスを掛けで提供している「仕入先」なんですよね。

お客様からお金をもらう「仕入先」が、得意先に対して「決算書を見せて下さい」などというのはまず無理でしょ。

なので、入手した決算書から危ない会社を見分けるというのは、それが可能な金融機関や商社などに限られるわけです。

では、決算書を入手することができない中小企業の立場で、得意先の倒産に向けての異変はどのようにつかめばいいのでしょう。

そこで、今回は、倒産しそうな会社に現れる外的な予兆についてまとめてみることにします。

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あそこは倒産するかも?こんな兆候が出てきたら要注意

一つ一つの事象は別に健全企業であっても珍しいものではありませんが、これらの現状がいくつも重なって見られる場合には、与信管理をする際には要注意だと考えたほうがよいでしょう。

あそこはヤバそうだという噂話が入る

業界全体が低迷してくると、バタバタと同業者が倒産していきます。

それらの会社に商品などを納入している卸売業者は、立て替えている金額も大きく、倒産されたときの被害も大きくなりがちです。

そのため、卸売業者は、得意先の動向について常に目を光らせています。

その上、「あそこの会社はこんなことをしている」というような業界内の情報自体が、付加価値となっていることもあるでしょう。

なので、倒産の予兆の第一歩としては、それらの卸売業者などからの「あそこはどうも調子が悪いらしい」という噂であることが多いのです。

環境整備に粗が目立つ

そんな色眼鏡で見るからかもしれませんが、倒産しそうな会社は、清掃などが行き届かなくなってきます。

今まではきちんと整理整頓されていたのに、その環境整備がおざなりにされてきているなと感じたときには、多忙のためというよりは、そんなことをしている余裕がないとみたほうがよいでしょう。

機械に見たことのないリース会社のシールが貼られる

得意先の工場にある機械装置などに今までなかったリース会社のシールが貼られていることがあります。

これは、その会社が所有していた資産をリース会社に売却をし、代金を受け取った上で、同じ資産をリースする「リースバック」という実質的な融資が組まれたということです。

リースバック自体は資産管理の手間を減らす方策として用いられるものでもあるのですが、金融機関からの資金調達が難しくなった場合に、苦肉の策として用いられることも多いので、このタイミングでの新たなリースバックは注意が必要です。

リースバックという銀行に見放された人への高金利融資

定期的に出入りをしていた納入業者が変更される

その噂話を裏付けるかのように、定期的に出入りをしていたはずの商品や消耗部材などの納入業者を見かけなくなり、新たな業者に変更されていることがあります。

これは、従来の業者に対する支払いが滞ることで追加の納入を断られたために、新たな業者に変更がされたためということもあるのです。

今までシビアであった値引き要請がなくなり発注がやたらと増える

業績が悪化してくると、その穴埋めのために、仕入先に対して強い値引き要請をしてきます。

しかし、あきらめムードが漂ってくると、もういいやと値引き要請がされなくなってくることも。

特に、すぐに転売できるような商品で、発注量が急激に増えたのであれば要注意だと言えます。

子供を社長にした別会社が設立されたという噂を聞く

会社を事業ごとに分社をしていくというのは、本来何ら問題はないです。

融資を受けるにしても、むしろ、資金調達の選択肢は増えることも多いものです。

しかし、「あそこはヤバいのではないか」と噂されるような状況での子供を社長にした別会社設立は、その会社を”救命ボート”にして、本体を倒産させる準備ということもあるので動向を注視しましょう。

支払日に社長も経理担当者もいない

人材の少ない中小企業では、支払日には、なにかトラブルがあったときに備えて社長か経理担当者は在席していることが多いもの。

それが、社長も経理担当者も支払日にいないということになると、資金繰りに奔走しているということもあるでしょう。

実際に、独立当初、「先生、いますぐ来て。今日お金が足りないんだって」と銀行に呼び出されて、その場で短期融資のための資金繰り表を書かされたこともあります。

後任も決まらず突然に経理担当者が退職する

そんな資金繰りの苦労は「血のションベンが出る」といわれるほどストレスフルなものです。

その苦労に耐えかねたのか、金庫番とも言える経理担当者が突然退職した場合には、結構ヤバいのではないかと。

さらに、社員がドンドンやめていくという状況であれば、かなりの末期状態だと言えるでしょう。

不動産の登記簿等に謎の抵当権などが設定されている

得意先の決算書を入手できないので、財政状態はわかりませんが、その会社が所有している不動産について登記簿謄本を入手することは誰にでもできます。

その不動産に聞いたこともないようなノンバンクの抵当権や税金滞納の差押などの登記がされているとなれば、これは相当資金繰りに逼迫していることが伺えます。

売掛金が高額であるならば、帝国データバンクや東京商工リサーチなどに信用調査依頼をすると良いでしょう。

危うい会社には、調査依頼が増加しているものです。

支払い条件変更や支払期日延期要請が来る

これは、もう外的な予兆ではなく、回収危機の当事者になるということです。

もちろん、支払い条件変更の要請は健全企業からでもありますが、この状況での支払い条件変更要請や支払い期限を延期してくれという要請は、資金繰りが相当厳しいと考るべき。というかそういう説明のもとでの要請になるはずです。

資金繰りが苦しく全てを期日通りに支払えない場合には、優先順位をつけて支払いをしていくしかありません。

この状況では、まずは、税金→社会保険料→銀行借入金→家賃の順番で滞納をし、その後に仕入先への支払いを延期してもらうのがよく見られるパターンです。

なので、仕入先であるあなたに支払い期日延期の要請がされた時点では、おそらく、税金、社会保険料はパンパンに滞納されています。銀行にも条件件変更(リスケ)申請しているかもしれません。

これが、手形の支払い期日のジャンプ(手形差し替えによる支払い期日延長)なら、予兆どころか完全に切羽詰まっているということは誰だってわかるでしょう。

資金ショートしそうな時にはどんな優先順位でお金を払えばよいのか?

危ない会社だからといってすぐに取引停止できないが

得意先が危ういからと言って、すぐに取引を停止したりできないのが、商売の難しいところ。

景気低迷時に簡単にそんなことをしていたら、売る先などどこにもなくなる上に、もし、その会社が復活したときに「あそこだけはこっちから取引は願い下げ」と言われてしまいます。

しかし、だからといって、「なーに、苦しいときはお互い様よ」というドラマのような浪花節的人情論でやみくもに債権を膨らませてもよいというわけでもありません。

やはり、最悪の事態を想定しながら、いくらまでならその会社に対する債権を持っても良いのかという与信管理をしておかないと、自社の命取りにもなりかねないのです。

長く続いた緩やかな景気拡大と金融緩和で貸し倒れの痛みが薄れてきているようですが、10年連続減少していた倒産件数も増加してきているようなので、そろそろ数値による与信管理についてもう一度徹底してみてはいかがでしょう。

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