【基礎】今さら聞けない「債務超過」の意味|赤字、資金ショート、債務超過の違い

債務超過になると会社は倒産するの?

企業が倒産した時には「負債総額◯◯億円」などと報道されます。

倒産すると負債については踏み倒されることになるため、「この倒産がどのくらいの規模の影響があるものなのか」を表す一つの指標として「負債総額」が報じられるのです。

その倒産報道の中で、倒産に至った経緯について「以前から債務超過の状態であり〜」という説明がされることも多いもの。

では、「債務超過」とはどんなことなのでしょうか?

今回は、ごちゃごちゃになりがちな、「赤字」「資金ショート」との違いから「債務超過」とはなんなのかについて説明をしてみようと思います。

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赤字と債務超過の違い

一般的に「財務諸表」という場合には、その会社の一定時点での財政状態を表す「貸借対照表」と一定期間の経営成績を表す「損益計算書」の二つを指します。

損益計算書は、個人について、給与(収益)がいくらあり、そこからどれだけの生活費(費用)を使ってどれだけお金が残ったり足りなかったかを記す家計簿に近い、いわば”会社の家計簿”のようなものです。

この一定期間の収益よりも費用のほうが大きかった金額が「赤字」になります。

一方、貸借対照表とは一定時点での会社が抱える財産と債務の残高の一覧表のことです。

貸借対照表に記載される、会社が保有する財産的にプラスの価値のあるものを「資産」、返済の義務のあるものを「負債」といい、 両者の差し引きを「純資産」と言います。

個人の貸借対照表を作るとすれば、保有する自宅や自動車、現金預金などが資産、住宅ローンが負債、その差し引きが純資産となります。

つまり、この純資産とは、今の時点で会社をたたんだ場合に、資産をすべて換金し、債務を返済するとどれだけお金が残るのかを表しているのです。

ただし、資産は必ずしも負債を上回るとは限りません。逆に、負債が資産を上回ることもあります。このように負債が資産の額を上回る状態を「債務超過」といいます。

このとき、負債は資産を上回るのですからその差引である純資産はマイナスとなります。

これは、今の時点でその会社を解散し持っている資産を全て換金したとしても負債全額の返済はできないことを意味します。

個人で言えば、購入した自宅の価値が下がり、その家を処分した上に預金など手持ちの全財産で住宅ローンの返済をしてもまだローンが残ってしまうような状態です。

まとめると、「赤字」は一定期間(単年度)での費用が収益を上回る損失額のことであり、「債務超過」は一定時点での債務が資産を上回る金額のことなのです。

債務超過と資金ショートの違い

会社が倒産をするのはどんなときでしょうか?

一番大きな理由は「手許のお金が底をつく」ということです。

この手許のお金が足りないため、約束していた支払いが期日通りにできなくなることを「資金ショート」といいます。

支払先が約束していた時期を延期してくれるような相手であれば良いですが、手形や小切手の決済のように期日通りの支払いをしないと銀行取引が停止されるなど、その後の事業活動の継続が難しくなることがほとんど。

そのためギリギリまで金策に駆けずり回っても回避できなかった資金ショート=即倒産となることが多いのです。

一方で、債務超過の状態だからといって即倒産というわけではありません。

いくら赤字続きであったとしても、債務超過の状態がどんなに長く続いたとしても、誰かがお金を貸してくれる限り、手許のお金が底をつくことはないので、自分がやめたいと言わない限り会社は倒産しません。

しかし、債務超過となるのは、売上が不振であったり、大口の得意先が倒産をしたり、過大な投資により多額の債務を抱えているということがほとんどです。

そのような債務超過の会社に、銀行は原則として融資をしません。

現時点で会社をたたんでも負債が完済できないのに、さらに融資をするのはリスクが高すぎるのです。

ただでさえ、売上不振や過大投資で経営が苦しいのに、銀行から融資を受けられないのであれば、その会社の「お金のやりくり」(資金繰り)は相当苦しいはずです。

そのため、債務超過になるといずれお金が底をついて倒産をしてしまう確率は相当高いと言わざるを得ません。

要するに、「資金ショート」は手許の資金が底をつくことであり即倒産となることがほとんどであるのに対し、「債務超過」は即倒産ではないが、それが原因で資金調達が難しくなり、いずれ資金ショートしやすいということなのです。

債務超過=どれだけ赤字が出せるかの”のりしろ”

債務超過の会社には全く融資がされないということではありませんが、債務超過になると融資を受けるためのハードルが”二段階くらい上がる”イメージで大変になります。

それだけ決算書上の純資産の金額がプラスであるということの意味は大きいといえます。

さて、事業を開始すると、通常は、元手=資本金を現金で拠出したところからスタートします。

ポーカーで言えば、元手=資本金であり、そこから勝負をして勝った金額(黒字)だけお金が増え、負けた金額(赤字)だけお金は減っていくでしょう。

純資産とは、この「元手」と「過去の利益の蓄積」を合わせたものであり、純資産が元手よりも大きくなった分だけ事業開始からトータルで儲かったということなのです。

ですから、黒字になれば、その金額だけ純資産は増え、赤字になれば純資産は減ります。

その純資産がマイナスにならなければ、債務超過にはならないのですから、純資産額=あとどれだけ赤字を出しても債務超過にならないかという”のりしろ”を表した金額とも言えるでしょう。

(所有する不動産や株式は時価=換金価値に置き直した上で、純資産額を評価し直す必要があります)

事業をしていれば大きな投資をする場面や予想外のトラブルに遭遇するものです。

その時には、最悪の事態になるとどれくらいの損失が生じ、それでも純資産額にあとどれくらいの余裕があるかを見極めた上で、成功すると信じてできることに全力を尽くすしかありません。

まさに「賢者は最悪の事態を想定し、楽観的に行動する」ということですね。

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