遺産相続のやってはいけない|連帯保証という時限爆弾

遺産相続トラブルのリスクを上げてどうする

遺産相続は、金銭面だけでなく、当事者間の感情などが複雑に絡み合うため、トラブルになりがちです。

こうすればトラブルが確実に回避できるという特効薬はありませんが、逆にこんなことをすると確実にトラブルの温床になるということはあります。

そこで、ここでは、軽い気持ちでしたものの、そのことで遺産相続トラブルが生じるリスクを高める「遺産相続でやってはいけない」ことを具体的な事例に照らして見ていくことにします。

三つ目は、「連帯保証という時限爆弾」ということです

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連帯保証は忘れた頃にやってくる

結婚して10年、吉田和彦夫婦はけんかばかりしながらも楽しく暮らしていた。

ある日一本の電話があった。

一月ほど前に叔父が亡くなったとのことだ。

叔父には身寄りがなく、残っていた現預金を叔父の兄弟で分けることになったらしい。

しかし、その兄弟の一人であるうちの親父は既に他界していた。

その結果、私が代襲相続人となる。結果的に予期せぬ遺産が飛び込んできたわけだ。

なんとその金額は500万円。

私の年収と同じである。

私たち夫婦は小躍りして喜んだ。

早速、念願の車を買換え自分たちの幸運に酔いしれていた。

それから1ヶ月がたった夏のある日、全身黒いスーツの男が尋ねてきた。

その男はある借用書を私に見せたのだ。

そこには全く見覚えのない名前が書いてあった。

「実はこの人が昨日夜逃げをしましたね。そこであなたにこの1億円を返してほしいのです。」

私は、男の言うことが全く理解出来なかった。

「なんで、こんな知らない人の借金をうちが支払わなくてはならないんだ!」

そういう私にその男が冷たく笑った。

「ここを見てください。連帯保証人の欄にあなたのおじさんの名前が書いてあるでしょう」

私は凍りついた。

どうにか落ち着こうと手にしたタバコには、なかなか火がつかない。

「連帯保証というものも相続されるのはご存知ですよね。あなたが財産をもらったのと同じようにこの連帯保証についても負ってもらう必要があるのです。」

突然のことにパニックになりながらも、昔読んだ法律書のことを思い出した。

「そ、そうだ。それだったら相続を放棄しますよ。相続開始を知ってから3ヶ月以内なら相続放棄はできるからね。」

「もうもらったお金はつかっちゃったけど、1億円の借金を背負わされるよりははるかにいい。あの500万円はどうにかして返すから、それでいいだろう!」

精一杯の笑顔を作る私に、その男は哀れみを見せるかのようにゆっくりと話しかけた。

「それは出来ませんよ、あなたはもうおじさんの財産に手を付けてしまった。」

「その時点で相続放棄ではなく、プラスマイナスの全財産を相続する単純承認を選択したとみなされるのですよ。」

「だから、たとえ相続開始から3ヶ月以内であっても、もうあなたは相続放棄など出来ないのです。」

* * *

これは全くの事実です。

次の場合には、自動的にプラスマイナスの財産すべてを相続すると意思表示したことになります。

1.その相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。

2.その相続人が、自分のために相続があったことを知った時から3ヶ月以内に相続放棄又は限定承認をしなかったとき。

3.その相続人が相続放棄又は限定承認をした後でも、相続財産の全部若しくは一部を隠したり、消費したり、あるいは悪意にそのことを財産目録中に記載しなかったとき。

これを「法定単純承認」と言います。

降って湧いたような遺産相続の場合、隠れた債務がないか十分に調査してから相続をする必要があります。

それこそ会ったこともない親族の相続で、受け取る遺産が十数万円であれば、相続放棄なども視野に入れる必要があるといえるでしょう。リスクのほうがずっと大きいですからね。

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