青色申告の承認がされているのに白色申告をしたらどうなるのか?

青色申告とは

申告書には青色申告と白色申告があります。青色申告とは、正規の簿記の原則に従いきちんとした帳簿をつける代わりに種々の税法上の恩典がもらえるという制度です。

この青色申告制度を利用するには、青色申告承認申請書を一定期日までに提出し税務署に承認をしてもらう必要があります。

では、青色申告の承認を受けたのにも関わらず、うっかり白色申告書を提出してしまったらどうなるのか。

青色申告制度の概要と合わせて考えてみようと思います。

青色申告のメリット

青色申告制度は、法人でも個人事業(不動産所得・事業所得・山林所得のある場合)でも利用が可能ですが、それぞれ利用できる主な税法上の恩典は次のように異なります。

法人の青色申告のメリット

・欠損金の繰越控除

・欠損金の繰戻還付

・特別償却、税額控除

・少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

個人事業主の青色申告のメリット

・青色申告特別控除(65万円または10万円)

・青色専従者給与の必要経費算入

・純損失の繰越控除

・純損失の繰戻還付

・貸倒引当金計上

青色申告制度(タックスアンサー)

青色申告の承認申請

青色申告制度を利用するには一定期日までに税務署長に青色申告承認申請書を提出し承認を受けなければなりません

法人の場合の青色申告承認申請期限

原則

青色申告によって申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日まで

普通法人等の設立の日の属する事業年度

設立の日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで

個人事業の場合の青色申告承認申請期限

原則

青色申告の承認を受けようとする年の3月15日

新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)

業務を開始した日から2か月以内

なお、法人、個人事業とも、税務署から「承認しました」という連絡が来ることはなく、必要事項を記載してあれば自動的に青色申告が承認されたものとされます。

また、一度青色申告の承認が申請されれば、その後2期連続で期限内に申告がないことなどにより青色申告が取り消されない限り承認は続くため、毎期青色申告承認申請書を提出し直す必要はありません。

法人の青色申告の承認の取り消し(タックスアンサー)

青色申告の承認後に白色で申告してしまったら

青色申告の承認申請を受けているのにうっかり白色申告で提出してしまったらどうなるのでしょうか?

例えば、法人税の欠損金の繰越控除については、「欠損金の繰越控除をする法人は、欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人です。」とされています。

そうなると、欠損金額が生じた事業年度についてうっかり白色申告書を提出してしまったら、青色申告の承認申請を受けていても欠損金の繰越控除は受けられないと考えられます。

しかし、実際には、青色申告の承認中に提出された法人税の申告書は、すべて青色申告書として取り扱われるので万一誤って白色申告書を提出したとしても欠損金の繰越控除の適用はされるのです。

どこにもそんなことは書かれていないのに、なぜ、知っているのか。

それは、私がうっかり間違えて青色申告承認申請後に白色申告の提出をしてしまったところ、「ちゃんと青色欠損金の繰越控除してね」と税務署から指摘を受けたからです。

設立第一期には青色申告承認申請が間に合わず、翌期から適用できるよう青色申告承認申請書を提出しておくと、第一期は白色、第二期は青色となります。

申告ソフトでは、青色も白色もボタン一つで切り替わりますが、法人では青色申告が当たり前になっているので、白色から青色に切り替えるのを忘れるということもあります。

直されるとかっこ悪いので注意しましょう。

なお、青色申告の特典を受ける場合には、それぞれの適用要件を満たすことが必要であることは当然です。

セミナー音源No.13:どこまでならOK?税務のさじ加減

9割の人が間違えている「会社のお金」無料講座公開中

「減価償却で節税しながら資産形成」
「生命保険なら積金より負担なく退職金の準備が可能」
「借金するより自己資金で投資をするほうが安全」
「人件費は売上高に関係なく発生する固定費」
「税務調査で何も指摘されないのが良い税理士」

すべて間違い。それじゃお金は残らない。
これ以上損をしたくないなら、正しい「お金の鉄則」を