事業承継しない人に自社株式を相続させるには?|無議決権株式という選択

本来は事業承継者が100%所有すべき

企業経営の安定性を考えれば、事業承継者が株式の100%を所有するのが理想です。

しかし、自社株式の評価額があまりに高いケースでは、事業承継者がすべての株式を相続するのは、他の相続人に対して支払う代償金や相続税の負担が大き過ぎて難しいこともあります。

では、事業承継者以外の人に株式の相続をさせながら、企業経営にはあまり口を挟まれないようにするにはどうしたら良いのでしょう。

そこで、今回は、事業承継での種類株式の活用についてまとめてみることにします。

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株式には、議決権と財産分配権の2つの権利がある

会社の株式を保有することで、株主は、大きく分けて2つの権利を有することになります。

一つは、「自益権」といわれるもので、「会社からお金をもらう権利」のことです。

会社は、株主が拠出した資本金を元手にビジネスという運用をした結果、お金を増やしたり減らしたりしています。

この運用の成果について、株主は、その株式の所有割合に応じて、配当や会社を解散したときに残余財産としてお金を受け取ることができるのです。

つまり、この権利は、会社に対する「財産請求権」といえるものです。

もう一つは、「共益権」と言われるもので、「会社の意思決定に参加する権利」のことです。

会社が重要な意思決定をする際には、株式の所有数に応じた多数決で決議がされます。

つまり、この権利は、会社に対する「議決権」といえます。

通常の株式(普通株式)では、この「財産請求権」と「議決権」は同じ割合で付与がされます。

例えば、全体の株式の10%を所有する株主は、10%の財産請求権と10%の議決権を持つということです。

どうしても相続人間でバランスが取れない時には?

「兄弟仲良く」などと言って株式が50%ずつ相続させるというのは一見公平のようですが、誰がイニシアチブを取るのかがわかりづらく、兄弟で意見が別れたときなどに、会社が立ち行かなくなる可能性もあります。

そのため、事業承継者が自社株式を100%相続し、他の相続人には、他の相続財産を相続してもらったり、それでも足りない場合には、事業承継者が他の相続人に対して自らの資金から「代償金」を支払うことでバランスを取るのが理想です。

しかし、財産の大半が自社株であり、その金額が高額である場合には、事業承継者にとって、他の相続人とのバランスを取るための資金の負担があまりに重いことがあります。

事業承継者以外は、会社の経営に興味もなく、「評価額は高いが、売れるような株式でもない」のであれば素直に自社株は事業承継者に相続させてほしいところですが、一方で、相続後にあっさり「会社を解散して残余財産を独り占め」ということもできてしまうことから、なかなかカンタンにはまとまらないことも多いものです。

種類株式で議決権と財産請求権を別々に

株主の権利は、この「議決権」と「財産請求権」の二層構造であり、普通株式では、この議決権と財産請求権は同じ割合で有することになります。

事業承継者以外の相続人は、会社の経営に口を挟む「議決権」には興味はないが、会社の財産の分配を受ける「財産請求権」には関心がある。

というのであれば、「議決権」はないが、「財産請求権」はある株式があれば良いことになります。

このように普通株式とは異なる内容の権利を与えた株式を「種類株式」といいます。

会社法では9つの種類株式の発行が可能ですが、この中に「無議決権株式」というものがあります。

「無議決権株式」とは、議決権のない株式です。

「無議決権株式」は、議決権がない代わりに、より高い配当や残余財産の請求権を受け取れるように定めることもあります。

この種類株式により、普通株式であれば、必ず同じ割合となる「議決権」と「財産請求権」を異なった割合に定めることができるわけです。

事業承継者以外の相続人は、会社からお金さえ受け取れれば、会社経営にはタッチする気はないので「無議決権株式」で問題はないはずです。

なので、無議決権株式を発行し、事業承継者以外の相続人にその無議決権株式を相続してもらうことで相続のバランスを取ることもできるでしょう。

種類株式が混乱をまねくこともあるので時間を掛けて解消も

種類株式により、相続人それぞれの要望に応じた自社株式相続の余地が生まれるのは間違いありません。

しかし、無議決権株式により議決権はなくとも「財産請求権」が残っているゆえに、後日、相続人間、あるいはさらにその子供たちなどとトラブルが生じることもあります。議決権はなくとも株主代表訴訟は起こせますから。

ですから、一時的に、無議決権株式により「経営には口を出さない」という状態を作っておいても、事業承継者が他の相続人から無議決権株式を時間を掛けて買い取るなどして、ねじれた権利関係は解消していくことをおすすめ致します。

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