給付付き税額控除は減税なので喝采するけど、全額給付金ならバラマキだから反対って意味不明すぎるでしょ
目次
給付付き税額控除までのつなぎで全額給付を先行
一定金額をまずは所得税から控除したうえで、控除しきれない金額については、現金での給付を行うという制度を組み合わせた給付付き税額控除というものの導入が検討されています。
しかし、公平にその制度を実現するには、所得だけでなく保有する資産などの把握も必要であるのに、反発も強く、実現は相当に先でしょう。
そこで、まずは、この物価高への救済措置として低所得者を中心にした全額給付から先行をさせると政府が示したところ、減税はしないのか!単なるバラまきではないのかと反発する声が大きいようです。
いや、いくらなんでも、それは支離滅裂すぎるのではと思うので、今回は、給付付き税額控除がどんなものかまとめてみようと思います。
まずは結論を
・給付付き税額控除は、消費税や所得控除の逆進性を解消する効果が期待され導入されるべきもの
・金融資産を一切考慮しない「簡易型」は、定額減税と実質的に何も変わらない
・給付のコストを節約しようとしたのが税額控除であり、貰う側はどっちも一緒
・どうせ控除しきれない分を給付するなら、公金受取口座への全額給付のほうがシンプルで合理的だ
給付付き税額控除が「本来あるべき姿」とは
給付付き税額控除(Refundable Tax Credit)とは、まずは減税分を税額から控除し、それでは控除しきれない分を現金で給付する仕組みです。
これ自体は日本独自の発想ではなく、米国・英国・カナダ・フランスなど多くの国が採用しています。
これらの国で導入されている給付付き税額控除(EITC型)は、働いた所得に連動して給付額が増えるため、就労を促進する設計が可能であり、米国のEITC(勤労所得税額控除)は、特定の対象層においては就労促進効果があったと言われています。
また、これらの給付付き税額控除は、以下のような問題の解決にも寄与すると言われています。
付加価値税の逆進性
ひとつは、消費税(付加価値税)の逆進性です。
飲食料品などへの軽減税率は「低所得者への配慮」という名目で設けられますが、実際には、高所得者も軽減税率について、恩恵を受けます。
むしろ消費額が多い分、絶対額では高所得者のほうが得をする部分もあります。
つまり、飲食料品へ軽減税率では、ピンポイントでの低所得者支援に寄与しづらく、財源の無駄遣いになりがちということです。
付加価値税の税率の調整では、広範に影響が出てしまうことから、所得税の減税ないし金銭の給付で特定の層を支援しようというのが給付付き税額控除の一つの役割と言えます。
所得控除の逆進性
もうひとつは、所得控除による逆進性です。
所得税の人的控除は、高い税率の階層に該当する高所得者ほど節税効果が大きいという逆進的な構造を持っています。
それを調整しようとして、もはや税理士でも、控除額を即答することが難しいレベルに人的控除が複雑化しています。
所得税の人的控除による逆進性を解消し、より効率よく特定の層を支援するというのが、給付付き税額控除の狙いとも言えます。
現在の日本の議論は、ただの人気取りの減税
ならば、今の日本で、給付付き税額控除を導入するのであれば、飲食料品についての軽減税率を取りやめ、単一税率化する。
あるいは、複雑になりすぎた所得税の人的控除を整理する。
その代わりにピンポイントで特定の層を支援するように設計すべきではないのか。
しかし、現在の導入が導入が検討されている給付付き税額控除では、このどちらも前提にしていません。
政治的にウケのよい単なる減税の「上乗せ」をしようとしているのが現状です。
あれだけバカにされた定額減税と何が違うのか
「増税メガネ」と揶揄されたことに反発をしたのか、岸田首相が2024年、一年限りで定額減税というものを実施しました。
具体的には、給与所得者の場合、企業が毎月の給与計算の中で減税分を源泉徴収税額から控除し、控除しきれない分は自治体を通じて現金給付されたのです。
給付付き税額控除も定額減税も、企業が源泉徴収税額と減税分をまずは相殺し、控除しきれない分は現金給付するという仕組みは基本的に同じです。
対象者には、所得制限を課す一方、金融資産の考慮もなし。違いは毎年実施するかどうかだけです。
要するに、資産を考慮しない「簡易型給付付き税額控除」が仮に実現したとしても、中身は「毎年やる定額減税」にすぎないのです。
あの時も、「定額減税なんて、またバラまきか、バラまくくらいなら、最初から取るな」と反発の声が強かったはず。
それなのに、全く仕組みが同じ給付付き税額控除を「減税だ」と称賛し、それが、まずは全額給付だという方向になったら「単なるバラまき」だろうと批判するのは、一体どういう理屈なのでしょう。
どうせ配るなら、全額給付のほうがシンプルだ
円安と原油高も相まってインフレのさらなる加速の懸念がある中で、財政出動をすることが正しいのかはわかりませんが、どうしても生活者支援が必要だとします。
しかし、それを税額控除という形式にこだわる必要はどこにもありません。
国がマイナンバーと公金受取口座を活用して、対象者に直接、全額を現金給付すればよいだけです。
そうすれば企業側も給与システム改修も不要、自治体も所得を合算して控除しきれない分を把握しての給付処理も不要です。
別にもらう側からすれば、金銭で給付がされようが、徴収される税金が減ろうがどっちも一緒じゃないですか。
所得税の減税を全額給付と言う形で届けるのか、まずは所得税と相殺することで、給付するのに掛かるコストを節約しようとするのかと言う違いに過ぎないのです。
その事務負担を押し付けられる企業は、たまったものじゃない。
制度改正で税制が良い方向に向かうならいざ知らず、単なる人気取りの減税だったら、国が勝手にやって欲しいものです。
加えて言うなら、「口座を登録していれば毎年給付が自動で届く」という仕組みにすれば、公金受取口座の登録促進にもつながります。
面倒なだけで登録をしない人や信条として登録をしない人は金銭的なメリットと比較をして、登録をするかを自分で決断をすればよいでしょう。
どうしても物理的に登録作業ができない人には、行政がその登録の支援をしたり、本人がマイナカード持参で窓口まで取りに来る仕組みにすればよいのではないでしょうか。
そのほうが、今後、もう一度パンデミックなどが起きたときにもスムーズな給付ができるはずなんですけどね。
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