全東信が破産!飲食店経営者が確認すべき「倒産防止共済適用の可否」と「日本政策金融公庫の支援策」

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全東信が破産で飲食店は大混乱に

2026年7月6日、クレジットカード決済代行会社「株式会社全東信」(大阪市)が自己破産を申請し、破産手続きが開始されました。

負債総額は約1,259億円と、2026年最大規模の倒産です。

全東信は、カード会社の審査が通りにくい個人経営の飲食店などを中心に、クレジットカード売上を通常よりも早く立替払いするサービスを手がけていました。

そのため、今後、他の決済代行会社の受け入れ先が見つからず、依頼をしていた飲食店の中には、現金決済のみになる懸念もあるとのことです。

全国で約20万店が加盟しており、少なくとも53億円・2万件の売上代金が入金されないまま焦げ付く見込みとなっています。

突然の破産で「どう対応したらいいかわからない」という経営者も多いはずです。

そこで、今回は特に「倒産防止共済(経営セーフティ共済)」と「日本政策金融公庫」の活用について整理します。

まずは結論を

影響を受けた飲食店が使える主な支援策は次の2つ。

・日本政策金融公庫のセーフティネット貸付:経産省が全国378カ所に特別相談窓口を設置。緊急の資金繰り支援として低利融資適用の余地あり(無利息融資には該当せず)

・倒産防止共済(経営セーフティ共済):倒産防止共済の「共済金の貸付(取引先倒産型・最大10倍・無利子)」は、適用不可。しかし、加入している場合、解約手当金の範囲内で30万円以上の一時貸付(年利0.9%)は適用可能

倒産防止共済(経営セーフティ共済)は使えるのか?

倒産防止共済(正式名称:中小企業倒産防止共済制度)は、取引先企業が倒産して売掛金等の回収が困難になった場合に、積み立てた掛金の最大10倍(上限8,000万円)を無利子・無担保で借りられる制度です。

しかし、今回の全東信破産に対して、この「共済金の貸付」は使えません。

中小機構の制度しおりには、対象となる被害額について次のように明記されています。

「回収が困難となった売掛金債権等の額(被害額)は、共済契約者と倒産した取引先事業者との取引によって生じた売掛金債権、前渡金返還請求権の合計額のうち、回収が困難なものの額をいいます。したがって、商品または役務の取引に該当しない貸付金債権などは、被害額には含まれません。」

飲食店と全東信の関係を整理すると、全東信は「カード売上の立替払いサービスを提供してくれていた業者」です。

飲食店が全東信に商品や役務を提供したわけではなく、あくまで決済代行という金融的なサービスの提供者です。

全東信が飲食店に払うべきお金は、「商品・役務の取引から生じた売掛金」ではなく、「立替払いの未払い」という性格のものです。

したがって、制度が求める「取引先への売掛金債権等」には該当せず、共済金の貸付(最大10倍・無利子)の対象外となります。

ただし、もう一つの使い道があります。「一時貸付金」です。

一時貸付金は、取引先倒産の有無にかかわらず、加入者が事業上の資金を急遽必要とする場合に、解約手当金の範囲内で借りられるものです。30万円以上・5万円単位、年利0.9%で利用できます(令和8年7月現在)。

無利子ではないものの、手続きが比較的シンプルで資金調達のスピードが速い点が特長です。

倒産防止共済に加入している飲食店であれば、この「一時貸付金」が活用できます。

共済の貸付と比べれば金額も小さく、無利息ではありませんが、窮余の策としては、一考の価値はあるでしょう。

なお、わざわざ、解約手付金の範囲内で一時貸付を利用するのであれば、倒産防止共済を解約してしまうという手もあります。

ただ、その解約返戻金は、全額が法人税法上の益金となるため、課税対象となります。

ですが、今回の破綻を受けて、クレジットカードの利用などの制約により、赤字転落もあり得るというのであれば、解約のタイミングとしては悪くないかもしれません。

日本政策金融公庫をはじめとして資金繰り支援策も

経済産業省は2026年7月、全東信の破産を受け、全国378カ所の政府系金融機関等に特別相談窓口を設置しました。

日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」は、取引先の倒産等により一時的に資金繰りが悪化した中小企業を対象とする融資制度で、今回の影響を受けた飲食店も対象となっています。

全東信の破産手続開始により影響を受ける中小企業・小規模事業者への支援を実施します|経済産業省

セーフティネット貸付の概要は次の通りです。

・融資限度額:7,200万円
・返済期間:運転資金は最長10年
・金利:基準金利2.65%(ただし、実際の適用利率は担保の有無や信用リスク等により異なる)

なお、日本経済新聞が「無利息融資の対象である」との報道がされましたが、日本政策金融公庫から直接「そのような事実はない」と否定されています。

それでも、国としては、赤沢亮正経済産業相が、10日の閣議後会見で「少しでも不安がないようにするため万全を期していく」と述べていることから、日本政策金融公庫や地域金融機関を通じた資金繰り支援に応じてくれる余地はあるでしょう。

個別の金融機関の対応としても、例えば、京都信用金庫は10日、自社の既存顧客を対象とはいえ、資金繰りや借入金の返済について全店舗で相談を受けつけ始め、用途を運転資金に限り、1億円を上限とする融資制度も始めたとの報道もされています。

国からの要請もあり、今後、独自に地域金融機関が、被害にあった飲食店等に対して、柔軟な融資に応じてくれるケースも増えるのではないでしょうか。

不安を抱えるくらいなら、まずは現状を把握しよう

以下の点について、早急に検討をしてみます。

・未入金額の把握:全東信経由でいくらが入金されていないかを確認する

・決済端末の停止と代替手配:全東信以外の決済代行サービスが利用できないのかを検討する

・資金繰りの把握:全東信からの入金がない場合、及び当面クレカ決済などが利用できない場合の資金繰りを予想する

・倒産防止共済の確認:上記の予測により、資金ショートの懸念があれば、中小機構「一時貸付金」の申請を行う

・日本政策金融公庫へ相談:上記の一時貸付では、資金ショートが解消できないのであれば、最寄りの支店に相談をする

・税務対応:回収不能となった売上金について、破産申立の段階で、50%の個別評価による貸倒引当金の引当を検討する

不安を抱えているだけでは何も解決はしません。全東信の破綻により影響があるのであれば、まずは現状を把握し、採るべき方策を明確にしていきましょう。

 

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