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税理士がソフトバンク的社内プレゼン資料風に提案書を作ってみたらこうなった

”外資系”以外のもう一つのブランド

来年のアライアンスセミナーのネタに
流行りの外資系仕事術の本を読みあさっていますが、
最近は、資料作成術にもう一つのブランドがあります。

それは、孫正義。

「あの孫さんが一発OKを出したプレゼン資料」というのは
どんなものなんだと。

実際、ソフトバンク流の社内資料作成術の本がいくつかでていて
それぞれ評判も売れ行きも良いようです。

そこで、税理士である私もこれらの本に書いてある
ソフトバンク的社内プレゼン資料っぽい感じで
提案書を書いてみました。

訴求力重視の提案書

社内プレゼン資料と銘打たれていますが、
ソフトバンクの決算説明会の資料などを見ても
そのテイストはほぼ同じ。

わかりやすくてインパクト重視ということが明らかに言えます。

SoftBankWorld2015基調講演・孫正義プレゼン資料より)

これなんか確かにすごいです。

さて、本で言われていることをまとめると

・本体のページ数は5-9ページで

・結論→根拠を積み上げる

・左にグラフ、右にメッセージ

・グラフやアンケート結果は読ませない

・ストーリー展開は課題→原因→解決策→効果の順で

などに加えてフォントやグラフ、画像の使用テクニックなど
非常に細かく実践的に書かれています。

そこで、実際に「早めに遺言書を書こう」というなんとも
地味なテーマをこれらの法則にしたがってまとめてみました。

まずは「現状」として、遺産分割の係争件数がここ10年間で
30%増えているという事実を明らかにしました。

よく見るとグラフの足を切っているので、2倍位に増えている
ようには見えますが、実際には30%増。

これも「当初が最終値の半分くらいになるようにして調整し、
さらに横幅を狭めて急激に変化をしている様子を強調せよ」という
指示通りのテクニックを駆使してあります。

これなど、本気でデータの分析している人から見たら
「絶対にやってはいけない」と逆鱗に触れそうな手法でしょうけどね。

キーメッセージのフォントはオススメのヒラギノ角ゴStdNで
100Pとかなり大きく、数字を赤字にしています。

よく考えたら10年で30%の増加というのは、そこまで激増している
ということではないですが、かなり増加している印象になるのでは。

もう一つ「現状」として遺産総額別の係争件数をグラフにしています。

これは「うちは揉めるほど財産なんてありゃしない」という反論に対して
「いや、実際には資産家だけでなく普通の人でも遺産相続で揉めることは
多いんですよ」ということを先回りして反論をしているわけです。

ただ、これも元々資産家の数が少ないだけで、普通の人のほうが遺産相続で
揉めやすいというミスリードも生みかねませんが、お金持ちでなくても
遺産分割で揉めることは十分ありえるということは印象付けられるでしょう。

なお、横棒グラフはNGだそうですが、他の本ではむしろ円グラフがNG
とされていることがほとんどですし(ソフトバンク流では多用されています)
縦棒ではどうしても入らないので横棒にしてあります。

個人的には特に横棒でも問題はない気がします。

次に、なぜそんなに遺産相続が揉めるのかという「原因」を
個人的な解釈として掲げています。

具体的には、遺産相続についての3つのギャップとして

「介護ギャップ」

・介護した人:苦労したので自宅は自分が引き継ぐことはみんな理解している
・介護していない人:親の家に住んで家賃を支払わずに済んだはず

「家督ギャップ」

・長男:自分が家長であり財産は自分が守っていくべきと育てられた
・長男以外:いつの時代だ。今の時代、全員平等でしょう

「事業承継ギャップ」

・創業者:継承者は0から始めたのではない楽な位置からのスタートだ
・継承者:会社を成長させたのは本当は自分だが、今まで親を立ててきた

というものがみられ、その根底には
「人間は自分の努力は高く評価し、他人の努力は低く評価してしまう」
という性質が元来あると指摘。

要するに、人間の性として、そもそも遺産相続は揉めやすい運命に
あると結論づけています。

これにより、遺産相続の事前準備が不可避であると
印象づけることを狙っています。

では、具体的にどうしたらよいのかという「解決策」として
遺言書で生前に遺産分割の道筋をつけておくことを提案します。

まずは、既に公正証書遺言の作成件数が年間10万件を超えるほど
ポピュラーであることを示した上で、有効な遺言書は
係争になった際には裁判の判決と同様という強い法的効力
があることをアピールしました。

実際には、遺留分の問題などもクリアしないといけないですが、
ここはひとまずわかりやすさ優先で。

さらに、まだ遺言書を作るとも言っていないのに
メリット・デメリットを勝手に掲げて
「作るなら、公正証書と自筆証書どっちがいい?」と
ダブルバインド的な迫り方をしながら、
結局、公正証書遺言の方が安全確実でオススメですと誘導しています。

最後に、その解決策をするとどうなるのかという「効果」については、
「うちは多分遺産相続で揉めることはないね」という反論に先回りし、
相続人間で円満な遺産分割協議が整えば、遺言書に書かれた内容とは
異なった遺産分割内容でも良いが、万一予想外に遺産分割で揉めてしまったら
初めてその遺言書を活用すれば良い。

まさに、遺言書は、「遺産分割協議の命綱」の働きをするのだが、
命綱なしで本当に大丈夫なの?というメッセージを投げかけているのです。

個別事案の提案書とはかなり違う

実際の私の遺言書作成の提案では、
そもそも、個別に相続についての相談があってからの提案なので、
個別の事例に対しての財産額や税額の試算や、
実際に作成する際のコストや留意点と手順に加えて
いきなり遺言書の作成を迫るのはハードルが高いという人向けに
「まずできることはなにか」という説明の方が多くなります。

 

もちろん、ソフトバンク流でも詳細なデータ等については、
別途付属資料で絶対につけるべしと言っています。

BCG当たりの提案書とも全くテイストが違いますが、それでも
「多くの人に必要性を強く認識してもらう」には、
こういう提案書も良いかなと思います。

ただ、調子に乗ってあんまり煽るとなんだか情報商材の
ランディングページみたいになって、仕事は仮に取れても、
知らないうちそれ以上に大事なものを失っているなんてことも。

何事も節度が大事なんでしょうね。

<参考書籍>

社内プレゼンの資料作成術

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