さて、金融機関が融資先の資産査定を行う場合に
中小企業の実情を踏まえた独自の評価基準が
金融検査マニュアル(中小企業融資編)であることは
すでに申し上げたとおり。
実は、このマニュアル、最近も改訂されているのです。(2008.11月改訂)
その改訂内容が、結構すごいんですよ。
この改訂は、昨年9月以来の急激な金融環境変化を
踏まえてのものです。
一言で言えば、
金融機関が条件変更を飲みやすくするようにしたもの
と言ってよいでしょう。
この条件変更というのは、融資期間の延長や元本の支払猶予など
当初の返済条件を変更するというもの。
俗に、リ・スケジュール(リスケ)とも言われます。
この条件変更をした融資先は、原則として要管理先以下の
不良債権という取り扱いがされます。
そうなると、金融機関は多額の引当金を計上しなくてはならない上に、
新たな融資に応じることもまずできなくなります。
まあ、約束を守らない人に追加でお金を貸す人は
まずいないのです。
そのため、従来は金融機関は、一般的に言うと
この条件変更に消極的でした。
ただ、この急激な金融環境変化の中では、
融資先の破綻回避のためには条件変更もやむをない一面もあるでしょう。
そこで、金融機関が条件変更を飲みやすくするために、
金融検査マニュアル(中小企業編)に改訂がされたのです。
具体的には、
条件変更をしても不良債権とならない条件
<改訂前>
・3年以内に経営が改善するような「経営改善計画」の策定されている
・計画期間中も一定以上の金利を確保している
<改訂後>
・5年(進捗状況が良好な場合は10年)以内に改善されればよい
・一定以上の金利の確保も不要
・「計画」がなくても「見通し」がたてばよい
・「計画」どおりに進捗しなくても、今後の「見通し」が立てばよい
と、このように基準を統一するために作られたマニュアルが
この条件変更に関しては、やたらと緩和され、
改善の見通しを金融機関が柔軟に判断してよいようになったのです。
もちろん、条件変更を認めてくれやすくしてくれたことは
私も評価しています。
しかし、進捗状況が良好ならば10年までOK。
でも計画通りに進まなくてもOKってよくわからないですね。
詳しくは、こちらをご覧ください。
いずれにしても、経営計画書による救済の道が開けたのは事実。
何とか、実現可能性の高い経営計画の作成によって
皆様のお役に立つようにしたいところです。