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予定利率が引き上げられてきたけど、それでも保険での資産運用はおすすめしないワケ

目次

予定利率を生命保険各社が引き上げているが

30年や40年といった超長期国債の利回りが上昇したのち、7月後半には、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは1.605%に上昇してきています。

これは、2008年10月以来、およそ17年ぶりの高水準となったと言われています。

新規に発行する国債の利回りが上がるというのは、それくらい高いリターンをつけないと国債が売れないということであることであり、新規に発行する国債の利回りが高いとなれば、既に発行された利回りの低い国債を誰も欲しがらないので、その価格は下がるということでもあります。

マーケットが、日本国債に黄色信号を出していると言ってもよいでしょう。

一方で、長期金利の上昇に合わせて、多くの生命保険会社が予定利率を引き上げています。

しかし、税理士としては、たとえ予定利率が上がったとしても、生命保険を資産運用の手段として選ぶことは、依然として非効率的だと考えています。

では、なぜ、生命保険での資産運用は非効率なのかについて、まとめてみようと思います。

そもそも「予定利率」って何?銀行の金利と何が違うの?

まず、多くの方が誤解されている「予定利率」について整理しましょう。

2024年から2025年にかけて、確かに各社は、予定利率の引き上げが相次いでいます。

・住友生命保険:終身保険の予定利率を1.25%から1.3%に引き上げ(2024年12月)
・日本生命保険:年金保険0.6%から1.0%、終身保険0.25%から0.4%に引き上げ(2025年1月)

どの数字の定期預金の金利よりはずっと高いです。

予定利率とは、保険会社が保険料を計算する際に使用する基礎率の一つで、保険会社が契約者から預かった保険料の一部を運用し、その運用収益をあらかじめ見込んで保険料を割り引く際の割引率です。

貯蓄型の生命保険で運用が検討される場合、預金にしたところで僅かな金利にしかならないのに比べて、生命保険であれば、予定利率がこれだけあるのでずっと有利だと語られることも多いでしょう。

しかし、預金の金利と生命保険の予定利率は、全く別のもので、本来比較できるようなものではありません。

というのも、生命保険の予定利率は、保険料から諸経費を差し引いた残額について適用されるものです。それに対して、銀行預金の金利は、預金額の全額に適用されます。

また、預金金利の多くが複利による計算がされるのに対して、生命保険の予定利率は単利であって計算方法も異なるのです。

ですから、「予定利率が1%は預金金利でいうと何%」ということ自体がとても難しいものだということですが、少なくとも、数字の大きさだけを見て、預金よりも保険のほうがずっと利回りが良いなどということは間違いだということです。

生命保険は制度維持のコストがメチャクチャ高い

保険は、その確率をゼロにできない多額の損失についての少額の費用負担だけですぐに準備ができるという経済取引にはなくてはならないものです。

もし、この世に保険がなければ、「クルマを乗るには、まずは死亡保障で必要な2億円を貯めてからにしなくてはならない」といったことになってしまいます。

しかし、この保険制度の維持には、莫大な費用が掛かるのです。

皆さんが払う保険料には、この保険制度を維持するための費用を賄う「付加保険料」っていうものが含まれています。

一般的な掛け捨ての生命保険では、この付加保険料の割合は、保険料全体の20-70%もかかるのです。

付加保険料の開示|ライフネット生命

生命保険っていうのは、自分が亡くなれば、掛金の何倍ものお金をもらえる代わりに、死ななければ掛金は没収されるという、まさに自分の生き死にを予想したギャンブルと言えます。

その”胴元のテラ銭”が、20%から70%も取られるとなれば、保険はコストが高い、とても割の悪いギャンブルだと言ってよいでしょう。

ですから、保険というものは、確率は低いものの、万が一発生した場合には、一人ではカバーできない損失に対して、損を承知で渋々加入をするものなのです。

貯蓄性を求めて加入がされる変額年金というものも、実際は、生命保険会社が運用をする投資信託に、おまけで生命保険がつけられたようなものです。

特に金融機関が積極的に販売をする外貨建変額年金の販売手数料は、手数料が高いと言われるアクティブファンドよりもさらに高額だとの指摘がされているのです。

保険と貯蓄は切り分けるのは予定利率が上がっても一緒

資産運用において、学習や努力によってリターンを引き上げるようなことは、誰にもできません。それは、生命保険会社であっても同じです。

資産運用でより多くの成果を目指すのであれば、可能な限りコストの低い商品を選択することこそが、最重要課題と言ってもよいでしょう。

つまり、起きる確率は低いが、起きたら一人ではその損失をカバーするためには、コストの高い保険に渋々加入を、老後など確実に起きることの備えとしては、コストが低い貯蓄でと明確に分けたほうがよい。

そのことは、仮に予定利率が上がったとしても、変わりはないということです。

なにせ、長期金利が上がったということは、保険の予定利率だけでなく、定期預金の金利だって上がっているということなんですから。

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