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税金対策特集-その2:「繰延型節税」の本当の意味

◆生命保険を活用した役員退職金の事前準備
「繰延型節税」の代表格に
「全額損金型役員保険」の活用があります。
具体的に説明すると、将来の退職金支払いに備えて
利益の上がっているうちに支払額の全額が損金
となるような生命保険に加入します。
その後でその保険を解約し、その保険解約返戻金で
役員退職金を支払うというものです。
よく「帳簿外に保険解約返戻金という
もうひとつの財布を作ることが出来るので
内部留保を作る仕組み」と説明がされます。

しかし本当にそうでしょうか?



◆生命保険でしか役員退職金は準備できないのか?
確かに、役員の退職など多額の費用発生が
将来見込まれる場合、
事前にその準備をするという意味では
非常に有効な方策です。
しかし、それは定期積金で準備することも
十分出来ますよね。

「定期積金をしても節税にはならないだろう!」
確かにそのとおりです。
しかし、役員退職金を支給したときに
支給額全額が損金となるため
その時点での法人税の負担は大幅に引き下がります。
要するに節税効果を「役員退職金支給時」に
ちゃんと受けることが出来るのです。
つまりこの仕組みは、よく考えると
生命保険に加入するから節税になるのではなく、
役員退職金が支給されることで節税になるのです。

◆手取額で考えましょう!本当に保険が得ですか?
それに、生命保険の解約返戻金は最も返戻率の
良いときでも掛金総額の70%から90%程度です。
それに比べて定期積金であれば、
いくら低金利であっても100%を下回る
ことは絶対にありえませんよね。
つまり掛け金の10%~30%を捨てることで、
純粋な意味での役員の死亡に備える保険
としての意義と、
もうひとつは一気に退職金を計上すると
大赤字になってしまうものを数期にわたって
分割計上することが出来る
という
メリットを追求することがこの対策の本質なのです。
別に内部留保の創造とは全く関係がないのです。
むしろ、繰り延べることが出来る税額も、
支払保険料の最大で40%程度であることを考えると、
保険料の支払いによって、
確実に資金繰りは悪化します。

税金の節約額よりも保険会社への支払金額の
方が大きいので当然でしょう。
万一内部留保をしようと思って支払った保険料
の支払いで資金ショートなどしたら本末転倒も
はなはだしいことになりますよね。
◆今期の税金を翌期に繰り延べる対策はもっと短命
そう考えると、もっと先送りできる期間の短い
「短期前払費用の特例」のように
「来期の費用を何とかして今期の費用で落とす」
というような節税策は、
どうせ来年その分の税金を支払うことになるので
決して内部留保(自由に使えるお金)の創造などにはなりません。

もちろん、経済環境自体どう変わるかわかりません。
ですから今期いくら儲かっても来期儲かる保証は
全くないわけです。
その点から、合法的に繰延型の節税をすることは
推奨されるべきことでしょう。
ただ、やっていることは「税金」という支払手形を
ジャンプ(支払日の変更)
しているのと同じなのです。
それが「自由に使えるお金が増えることには
つながらない」
と言うことがご理解頂けることでしょう。
(生命保険活用も事業承継コストを小さくするため、
自社株評価額を一時的に引き下げるためなど副次的な
メリットを追求するのであれば、有効な対策です。)
また、やみくもに節税ばかりに頭とお金を使う前に、
税金対策の効果がどれだけのものになるのかを
冷静に分析する必要がある
と言うことでしょう。
では、次回はもう一つの「永久型節税」について、
説明することにしましょう。
えっ、続きを早く知りたい?
それでしたら、是非こちらをお読み下さい。[emoji:e-319]
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PS なんだか逓増定期保険が売り止めになるとか。
元々あった「長期平準定期保険の通達」
をかいくぐりながら、
如何に前払保険料を多くするかという
視点で普及させたような商品ですからね。[emoji:e-263]
(一応大義名分はインフレ対応ですけど)
度重なる規制をかいくぐりながら「進化」
しているというか何というか。
おそらくまた規制をかいくぐり抜けるような
ことを考える人が出てくるかもしれません。
なんか、ウイルスとワクチンの
攻防みたいですね。[emoji:e-263]
って、バブル時代に散々勧めたオマエが言うなと。
いやいや自社株引き下げ対策には役立ってたんですよ~

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