◆キャッシュフロー計算書とは?
このように、利益の分析だけでは
十分な経営状態の把握ができません。
そこでお金の入出金の流れを基礎とした
「キャッシュフロー計算書」の
重要性が増してきたのです。実際の作成方法を簡単に説明すると、
二つの方法があります。
ひとつは「直接法」といわれるもので
収入と支出をすべて記載する方法です。
見た目がわかりやすいという利点がありますが、
わざわざ収入と支出をすべて
把握しなくてはならないため
作成が面倒だという弱点があります。
もうひとつは「間接法」といわれるものです。
これは、いくら収入と収益、支出と費用が
異なるといっても多くの部分では一致しています。
それであればすでに作った
貸借対照表と損益計算書を土台として
収入と収益、支出と費用の異なる点だけを
修正することで
キャッシュフロー計算書を作成する方法です。
こちらは、あらたに収入や支出を
把握する必要がないため作成は
非常に楽であり多くの場合こちらが採用されています。
ただ、その読み方はちょっとだけ
癖があるためここで簡単に仕組みを
説明しておきましょう。
まず、収入と収益、支出と費用に
まったく誤差がないことを基準にしてください。
その場合、1年間で増える資金(キャッシュ)は
いくらになるでしょうか?
それは税金支払後の年間利益である
「当期利益」となるはずです。
ですからこの当期利益を基準にして
誤差を修正していくことになります。
具体的な誤差で大きいものは
(1)売上債権の増減
(2)買入債務の増減
(3)在庫の増減
(4)減価償却費
です。
まず、売上債権(受取手形・売掛金)と
いうものをお金という面から見てみましょう。
これは、もうすでに請求をしているのに
まだお金をもらっていないものです。
つまり、得意先に無利息でお金を
貸しているのと同じことです。
ですから、この売上債権が
増加したのであればたとえ当期利益を
計上出来たとしてもその増加分だけ
お金が減少することになることになります。
買入債務(支払手形・買掛金)は
まったく逆であり、
すでに請求書が来ているものの
いまだにお金を支払っていない
ものであることから、
仕入先から無利息でお金を
借りているのと同じです。
ですから、もしこの買入債務が
増加しているのであれば、
当期利益とは別に資金が
増加していることになります。
次は在庫です。
この在庫は損益計算書上利益を
計算する際には、
プラスのものとして判断されます。
しかし、資金上はすでにお金を
支払ったもののいまだに換金
できていないものですので、
在庫が増えれば増えるほど
資金は足りないことになります。
ですから増加した資金を計算するには、
在庫の増加分は当期利益から
マイナスする必要があるのです。
最後は減価償却です。
減価償却とはご存知のとおり購入した
資産の取得原価をお金の支払とは関係なく、
耐用年数に割り振って費用化することです。
つまり、減価償却費を製造原価や
販売費に算入していたとしても現実には、
その額の支出はありません。
ですから増加した資金を計算するには、
減価償却費を控除した当期利益に
この減価償却費を加算し減価償却前の
数値に戻しておく必要があるのです。
このような調整を加え作成したのが
キャッシュフロー計算書というものです。