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新たな法人成り損益分岐点はこれだ!

ほぼ月刊ワンポイントアドバイス<番外編続報>
平成18年4月1日以降開始の事業年度から、一定の同族会社の場合、オーナーの役員報酬のうち、給与所得控除額相当額については、損金不算入とあることは、何度も申し上げていますね。
そして、新設一人法事人については、「過去3年間の平均所得(役員報酬控除前)が800万円以下の者には適用しない」という規定も適用されず、初年度から給与所得控除額相当額の損金不算入となることも明らかになりました。
これにより、従来考えられていた個人事業から法人成りをした方がよいと思われる「損益分岐点」も大きく変わることになるのです。
結果は結構びっくりものですよ。・・・


従来私の試算では、「事業所得が400万円ぐらいになったら、法人成りを検討しても良い」と申し上げていました。
しかし、今回の改正を織り込んでみると相当この損益分岐点は上がることになりそうです。
私のシミュレーションに基づく結論は、法人成りの損益分岐点は事業所得が650万円!となりました。
想像以上に高いでしょう。
この原因として考えられるのは、
1,個人事業所得には青色申告特別控除65万円が認められている。
2,個人事業税には290万円の事業主控除が認められている。
3,地方税の均等割が法人では最低7万円必要。
と言ったことが考えられます。
<前提条件>
1,役員報酬は一人のみ支給
2,所得控除は150万円と仮定
3,資本金は1億円以下
4,法人成り後も国民健康保険加入を前提
5,金額は一部概算
なお、これはあくまでも税金・社会保険負担上の損益分岐点です。
もちろん、社会的信用や資金調達、将来の株式公開思考等の理由で、それ以下の事業所得であっても法人成りする事もあるでしょう。
この他にも法人設立後は、社会保険加入をする必要もあります。給付内容が異なるため単純比較は出来ませんが、資金負担は当然増大することになるでしょう。
(現実には、「一人法人」では国民健康保険に加入している方が多いので、シミュレーション上はあえて国保加入を前提と致しました。)
今までは、給与所得控除のお陰でこれらのデメリットが十分カバーで来ていましたが、今回の改正で、「一人法人設立」による節税スキームは相当制約を受けることになりそうです。
国は、新会社法で、SOHOや独立起業者の法人設立を促進しているのではないかと思っていましたが、違っていたのでしょうか。
創業を支援するための「中小企業挑戦支援法」なんていう法律を作っていたこともブラックジョークのようになってきましたね。[emoji:e-262]
それとも、これもいつものごとく、産業経済省の予算確保のために「中小企業支援を名乗った」だけの施策だったのでしょうか。
省庁ごとに目指すべきベクトルが全く逆ですね。うまくいかない経営戦略の典型例のようです。(^^)

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