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よく「起業して生き残ることが大変だ」ということを表すのに「起業して10年後も生き残れるのは1割」であると言われます。
しかし、私が顧問をさせて頂いている中小企業を見る限り、残念ながら倒産をしてしまう会社はあるものの、10年以上の社歴を有する会社はたくさんあります。
少なく見積もっても「80%以上は10年後も生存している」と思うのです。
もちろん、顧問税理士をつけるのはある程度事業が軌道に乗ってからということも多いので、データに偏りはあるでしょうがさすがに「起業して10年後も生き残れるのは1割」というのは実感と大きくズレを感じるのです。
そこで、今回は、実際の統計データから起業して10年後の生存率を算出してみることにします。
起業して10年後の生存率を求めるデータはないかと探してみたところ、「中小企業白書」(2005年度版)に「開業年次別 事業所の経過年数別生存率」というピッタリのものがありました。
もう少し新しいデータはないかと探してみたのですが見つけられず、他の経済センサスのようなデータでも直接企業の生存率に言及しているものは見当たりません。
年度は少し古いですが、開業率・廃業率に大きな変化が見られないので、このデータを準用することにします。
ここでは、個人事業所、会社、その全事業所という3つ分類でそれぞれの年次別の生存率が計算されています。
なお、基データは経済産業省の「工業統計表」であり、生存率の定義は前年の事業者数を100として次年に生存している割合を表しています。
ここから、起業してから10年後の生存率を求めるには、それぞれの経過年数ごとの生存率を掛けあわせていけば良いことになります。
その結果求められる10年後の生存率は
ということになります。
なお、この中小企業白書でも言及されているように、年々この生存率は下がってきているとのこと。
今同じような分析をすると、このデータよりも10年後の生存率は若干下がることでしょう。
ということで、統計データから見る限り、起業して10年後の生存率が1割と言われるのは、個人事業所のまま継続をするような小規模事業者にフォーカスした場合で、会社組織化する場合には、1/3程度は生存できているようですね。
いずれにせよ、フリーランスやそれに類似した規模で事業を10年存続するのはかなり難しいということがデータからも伺えるということでしょう。
そのような中で、私も本日で事務所創立20周年を迎えることが出来ました。
勢いだけで26歳の時に独立して、厳しい環境の中ここまで生き延びることができたのもすべて、応援してくださった方々のお陰です。
これからも応援してくださった方に報いられるよう「既存顧客最優先」の姿勢を変えずに税理士業務に邁進致します。
20周年だからといっても一つの通過点であり、何かすることもないですが、みなさまに少しでもお役に立てるよう努力し続けて参りますので、今後とも何卒ご支援の程よろしくお願い致します。