日経BP社では、中小企業オーナー向けの会員組織として「日経トップリーダープラチナ会員」の運営をしています。
そのメンバー向けに、一流の経営者の話が直接聞ける「プラチナフォーラム/経営者懇親会」、社長のための実務セミナー「社長力アップ講座」、各種のプロフェッショナルが登壇する「経営セミナー」などが定期的に開催されています。
その「経営セミナー」のダイジェスト版をはじめと社長が知っておきたいホットな情報を一枚にまとめた「トップの情報CD」が、日経トップリーダー本誌とともに会員にお届けされるのです。
その「トップの情報CD」で冒頭に毎月のトピックなテーマについて話をするレギュラーコメンテータを務めさせていただいております。
最初のお話では、私の担当は、隔月であったのですが、一月早く収録した音源を送ったら「助かりました!これで今月分が埋まります。ついでに来月分もお願いします」と言われ、すでに今年に入って5月以外はすべて私が担当しているので、むしろ私が5月だけ「原稿を落とした」みたいになっているなと。
今月は、「会計的損益計算と意思決定的損得計算は別のものである」という話。
その取引によっていくら利益を上げたのかという「会計的な損益計算」では、いくらで買ったものをいくらで売ったのかという「過去から現在」で金額を算定します。
しかし、その意思決定をしたほうが得なのか損なのかという「意思決定的な損得計算」では、どんな意思決定をしても変えることができない過去のことはないものとし、「現在から将来」を予測するのです。
この意思決定な損得計算のことを「経済性工学」といいます。
数字に強いと言われる会計の専門家であっても、経済性工学を理解している人は決して多くはありません。
この経済性工学での損得の判断基準は、「その意思決定をすることで将来のキャッシュ・フローがやらなかったときよりも増えるのか」ということです。
そして、正しい損得計算をする上で重要なことが「比較対象以外の前提条件をきちんと揃える」ということなのです。
これがきちんと理解できるようになれば、実は効果のないおかしな節税に騙されることもなくなり、借入の功罪を正しく理解できた上での適切な資金調達ができるようになることでしょう。