心身に障害があるご本人やその方を扶養している親族について、所得税の計算上「障害者控除」という所得控除が認められています。
認知症などの高齢者については、一人で日常生活を送るのに支障がある方もいるでしょう。
では、その認知症などの高齢者については、障害者控除が適用されるのでしょうか?
今回はその点についてまとめてみることにします。
障害者控除とは、納税者自身や生計を一にする配偶者*又は扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けられるものです。
*納税者の配偶者でその納税者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち、合計所得金額が48万円以下である者をいいます。
障害者控除の金額は、次のとおりです。
区分 | 障害者控除額 |
一般障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者 | 75万円 |
どのような人が障害者に当たるのかについては、こちらに例示が挙げられておりますが、「身体障害者手帳」による障害の程度でいうと、1級、2級と記載されている人が「特別障害者」で、それ以外は「一般障害者」となります。
また、「同居特別障害者」とは、特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方です。
なお、障害者控除と扶養控除や配偶者控除は重複して適用ができます。
認知症など介護が必要な高齢者については、一人で生活するのに支障があったとしても、自動的に障害者控除の適用があるわけではありません。
介護対象者が障害者控除の適用を受けるためには、市町村等の認定を受けることが必要です。
介護保険法上の「要介護認定」については、最も軽い要支援1から最も重い要介護5までありますが、この「要介護」の認定」と「障害者控除」の認定については別物です。
ですから、介護認定を受けていなくても、「障害者控除の適用承認」を受けれていれば、所得税法上の障害者控除の適用は可能です。
ですが、多くの自治体では、「障害者控除の適用承認」の基準として、この「要介護認定」を判断基準に用いています。
その障害者控除の認定をする基準については、65歳以上と言うのはどこも同じようですが、自治体により、「要介護1以上の方」であったり「要支援2以上の方」であったりするので、まずは自治体に確認をしてください。
いずれにせよ、「障害者控除対象者認定申請書」を提出し、承認を得ることで、はじめて「障害者控除」の適用は可能になります。
申告の際には、自治体から発行された「障害者控除対象認定書」を添付します。
そのフォーマットは、シンプルで住所、氏名、介護保険番号を記載する程度のものです。
自治体により異なるものの、認定書は即日は発行されるなど比較的時間がかからず入手できるところが多いようですが、年末調整や確定申告で障害者控除の適用をするのであれば、早めの申請をするようにしたいものです。
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