ホイチョイプロダクションズ原作の
「バブルへGO!」という映画が上映されていますね。
「最後のバブル世代」である私は、本当に
あんな暮らしをしていたわけで。
今思えば、お笑いでしかないのですが
その頃は何も疑問を感じませんでしたね。
さて、その頃行われていた節税対策というものの
今となっては、もうお笑いの領域でしかない
ものもあるわけで。

ちょっとの懐かしさと大きな反省の心を持って
あえてここで少し紹介してみることにしましょう。




すぐに思い出せるだけで、あまり効果がでなくなったものは、
<所得税>
1,賃貸用マンションを購入して、給与所得と
損益通算-税制改正で規制、かつ市況の大幅変化
<相続税>
2,小規模宅地の評価減(当時は5棟10室基準)を
受けるため、地方のアパートや小口化不動産を
購入-小規模宅地の評価減の概念が大改正
3,「払込金額の70%評価」を受けるため
短期払いの養老保険に加入-税制改正で効果なし
4,自社株評価額を引き下げるための、
中小企業投資育成株式会社の活用
-監査費用、配当負担が大きく、効果に疑問
<法人税>
5,利益を繰り延べるため、航空機や映画フィルムの
レバレッジドリースを実施
-税制改正で効果なし
6,逓増定期保険を途中で払済終身保険に変更し
差益の顕在化を防止-税制改正で効果なし
まあ、正直に言うとこれ以外にも
「ありとあらゆる節税対策を講じ、
すぐに税制改正を食らう」
というのが私の勤務税理士時代の
仕事でした。(反省してます)[emoji:e-263]
そんな私が思うのは、今はかなり当時に近い状況に
なってきているということ。
不動産購入を否定する気は全くありませんが、
「もっともらしい理屈」が幅をきかせはじめているのは
ちょっと心配
です。
そして最後に言われるのは「バブルの頃とは違う」とね。[emoji:e-263]
ただ、私には同じにしか思えませんけど。
あの頃だって、最初は都心の物件でも利回りが高く収支が
均衡していたものが、なかなか合わなくなってきたので
地方の物件を探し始めたのですから。
東京-福岡-名古屋-仙台、そして最後には
花巻温泉までね[emoji:e-263]
そう考えると、もう少し地価上昇の余地は
あるかも知れません。(無責任な予想ですが)
金融機関のカネの出し方も当時とそっくりですね。
やっぱり不動産投資のうまみは、
「アービトラージ」(評価の歪みの自律解消)と
M&Aと同じ「物件再構築による価値増加」であることは
変わらないのでは。
(そう言う努力の余地があることは
大きいでしょうが)
それを抜きにして考えるとなると、建物の価値減耗などを
入れればおそらく株式信託とそれ程変わらない
利回りでしょう。
(実際もう、ニューヨークでは不動産投資の実質利回りが
国債投資とほぼ同じという記事を読んだ気がします)
単に、不動産を購入しさえすれば、「テナントが購入費用を
支払ってくれる」
だの「それだけで不労所得が
得られる」
という説明はちょっとねえ。[emoji:e-263]
単純に考えれば、収益が分配されさらに課税を受ける
不動産投資よりも、オフショアのファンドのように
満期まで課税がされず収益のすべてが再投資に回される
方が利回りは良くなる気がするのですが。
単利と複利の違い?
このあたりは専門でないので
よくわかりませんが、どうなんでしょうね。
フルローンで不動産を購入するというのは、信用で
株式を購入するのと同じものです。当然レバレッジ(てこ)
が効くので儲かったときには利益が大きいし、
反対の時には損失は大きくなります。
ですから、有利でも不利でもないですよ。投資スタイルの
問題と言うことです。最後は「不動産投資が好きか嫌いか」という。
ですから、批判する気は全くないわけですね。
まあ、毎年路線価が20%ずつ上昇するのが当然のことだと
思っていたのに、映画さながら
総量規制によって時代の流れが急激に逆回転していく様を
「ビジネスの幼児体験」に持つ私自身は、トラウマになっていて
不動産購入に消極的なのは事実ですが。
投資にしろ節税対策にしろ
環境変化に応じて組み替えられるよう
にしておいた
方がよいですよ。
結局「同じかごに卵を入れるな」と言うことなのでしょう。
<参考文献>
なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方

お金をふやす本当の常識―シンプルで正しい30のルール

私が5年前に書いたコラムもどうぞ
都心ではだいぶ状況が変わってきたようですが・・・

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