逓増定期保険に規制がかかるそうですね。
以前から申し上げているように、この保険自体に法人税の節税効果はなく、
むしろその本質は「合法的に期間損益を歪めることが出来る」というもの。
自社株を移転するなど一時的に損益を悪化させたいのであれば
有用な商品と言うことが出来ます。
ですから、商品自体を批判することはしませんが、
どうも販売方法に納得いかないものも。
それは、・・・
「実質返戻率」というよくわからない概念。
保険料の支払いから税金の減少額(節税ではない)を差し引いたものを
「実質負担額」と表現しています。
その上で「解約返戻金」をこの「実質負担額」で割ることで
「実質返戻率」というのを明示しているわけです。
解約返戻率の高い加入して数年後でも、現実の保険料支払額と比較すると
「解約返戻率」は100%を下回るのが原則。
しかし、この「実質負担額」と比較すると
解約返戻金の方が大きい期間もあり、そこから算出される
「実質返戻率」は130%なんて表示にもなるわけです。
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ただ、これはあくまでもこの税金の減少額は支払を猶予されているだけ。
税金という手形をジャンプしているのと同じです。
要するに、解約したときにド~ンと税負担が一気に吹き出し、
その支払い後の返戻率は、当初の100%以下である「解約返戻率」に戻るわけです。
ところが、このときに「役員退職金の支給があるので、
実質的には無税!」と言うことで、堂々とこの実質返戻率が
あたかも保険という金融商品の利回りであるかのように表示されているわけです。
その効果は保険の効果じゃなくて役員退職金支給による節税効果で全く別のものですから。
これじゃ、何も知らない人は「銀行に預けていても1%にもならないのが、
保障も付いて節税にもなって利回りも高い魔法の商品!」と誤解しても仕方ないでしょう。
事実そう思っていた加入していたお客さんもいましたし。
(勧めたのはうちじゃありませんよ)
前は、保険業法違反なのに代理店がこのようなパンフレットを独自に
作っている例がありましたが、この間見てびっくり。
なんと某大手保険会社のパンフレットに思いっきり「実質返戻率」と書いてある。
それも販売しているのが税務署の天下り団体である「○○会」。
これじゃ「国税庁お墨付きの節税策」と思う人もいるでしょうに。
その「○○会」には、税務署に勧誘されて加入したんだから。
さらに小さい字で「税率を45%としています。」なんて。
加入しているであろう多くの中小企業だと
課税所得が800万円までは実効税率は30%程度です。
(注:平成25年現在は23%程度です)
そもそも、その実質返戻率自体水増しの可能性大
これは、いくら何でもマズイだろ。
あまり誰でもが見るブログに批判的なことを書くのはどうかと思いますが、
やっぱり誤解を招くような表示はやめましょう。
「販売するな」とは言いませんから、販売なさる方も、ちゃんと説明して下さい。
そうでないと、商品そのものに問題があるように思えてしまいますので。